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想いと背徳感と

(。・ω・。)ぬあぁぁぁぁぁ~!!!!


ミノタウロスの角を切り取り終え、二人は再びエインハルの街へと帰還した。辺りはすっかり日が暮れて真っ暗であったがヨウがお世話になっている武器屋の店主である〈ザート〉は店のすぐ外で待っていたらしく、彼女達を出迎えてくれていた。ヨウは(もし宿に泊まってたら一日待ってたのかよ)と心の中で思っていたようだが、ありがたくまた部屋を借りることにしたのだとか。次いでリルのことを話すとすぐさま納得して快く出迎えてくれたようだった(流石にレッドカード持ちであることは伏せたが)。


「……ヨウはなんで服飾を?」


「私のいたところでは、好きなキャラクターや憧れの人物の服を真似て作るコスプレっていうのが流行っていてね。服を仕立てて自分の好きな人物になりきろうとしてる人たちの表現力の高さや情熱に惹かれて……まぁ憧れてたんだ。」


ヨウは自分のかつていた世界の話をしみじみとした表情でリルに打ち明けた。彼女にとってかつての世界は16年という長い一生を過ごしたもの。簡単に切って離せるものでもなく、価値観と行動が身体に染み込んでしまっていたらしい。


「でもヨウ自身はコスプレするのに憧れてるわけじゃないんだね。まったく僕にあんな服着せて……。」


「自分には合わないってだけだよ。リルの方が可愛いし、何でも似合うと思ってね。」


そう言われたリルは「はぁっ!?」とすっとんきょうな声を上げ、再び顔を赤く染めて恥ずかしそうにしていた。ヨウはというとその初々しい反応を悪戯に楽しんでるかのように微笑んでいる。


「……別にヨウだって何でも似合うと思うよ。」


「別に似合わないし単に恥ずかしいのさ……って言わせないでよ。自分で自分のコスプレ衣装をなんの目的もなく作るなんて無駄じゃないか。……まぁ作ってくれるなら着てあげてもいいんだけど。」


リルはヨウの言葉にふーんと短く相槌を返した。


「さて、私は明日に備えて寝るよ。明日もよろしくね。」


「う……うん。お休み。」


ヨウはベッドに横になり背を向ける。その無防備さは明らかにリルにとってはチャンスであった。名前も知られてデメリットはあるが、自分の本業である“盗み“がようやく働けるのだと。リルは恐る恐るヨウの持つ剣に手を伸ばし─────




(なにをやってるんだ僕は……。)


と手をひっこめて力強くベッドに乗り出した。彼女には既に盗みを働くという頭はないらしく、あっけなく踏みとどまったようだった。


≧≦


「~♪」


リルが目を覚ました時には既に、ヨウはミシンと向かい合っていた。生地は前回と同じ黒色であるらしく、机上にはより艶を見せるための黒や赤の染色液や装飾に使われるであろう様々な素材(パーツ)が置いてあった。その中には勿論、二人で狩ったミノタウロスの角も置いてある。


「……おはよう。」


「おはよ。」


リルの呼び掛けに振り向いて笑みを見せるヨウ。よく見ると彼女はミノタウロスの角になにやら加工を施しているようだった。荒削りだった角は見違えるように滑らかな曲線を描き、三日月にも似た丸みと鋭さを誇っている。それはさながら悪魔の角のようなものであり……。


「これどうするの……。」


「あぁこれ?カチューシャみたいにしようかなって思った。」


ヨウはふと気づいたようにその角を自身の耳の上……頭に手で押さえるようにして着けた。リルもそのジェスチャーでなんとなくヨウがしようとしていることに気づいたようで、こころなしかその顔はしかめっ面をしているように見えた。


「まぁ……悪魔コスプレなんだけど。」


「それは出来ればしたくないかな。」


目付きを鋭くして、あくまでもやんわりと断るリルに「ですよね~。」とヨウは苦笑いで言葉を返した。元世(もといたせかい)なら可愛い程度で済まされるであろう悪魔コスも、国や宗教によっては禁忌だったりするだろうと納得するのに時間はかからなかった……のだが。角を弄る手は一向に止まる気配を見せず、布を縫い合わせるミシンの音もガタガタと鳴り続けている。リルはというと、手を止めないヨウに「なんで」と絶句しているだけだ。



「寧ろ背徳感がしててアリだと思った。」


「背徳感って……」


そこまで言ったところで、リルは「ああ、無駄なことなんだな」と察して口を閉じた。自分に拒否権などあってないような物なのだと改めて気づかされることになった。


「そしたらここに穴を開けて……リルの頭の大きさからしてこのくらいがフィットしそうだね。一応ずり落ちないように耳に掛けるタイプにしようか……それでここを……」


ヨウはぶつぶつと一人呟きながら角付きカチューシャの作成を進めていた。彼女は既に一人世界に入り込んでおり、もはやリルの様子など気にも止めていないようだ。リルはその様子を真横から呆然と眺めており、時が過ぎるのをただ待っているしかなかったのである。


「そういや昨日また盗もうとしてたもんね~。未遂とはいえその罰ってことで。」


「ば……バレてるっ!?」


再び呆気にとられているリルを尻目に、ヨウはコスプレ衣装の仕上げに取りかかっていた。

ちょっとタイトル変えてみてもいいかなぁって思ってる(。・ω・。)ブクマふえろ……ふえろ……知名度……知名度……

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