手強い剣士
行動を開始し始めた僕達は≪ゲート≫で街の外に一度出てから街の中で目的の人物を探し始める。
僕の目的である人物は、アトラスの教えてくれた三人の中で、最も権力を持っている貴族の男で、アトラスの持つ能力でなければ、第三王子派閥の諜報員だと言う情報は手に入れる事が出来なかったと言っていたな。
常に護衛も着けている為、見つける事はそれ程難しくないけど、あまり屋外を移動する事はないので、尾行するのは難しいらしい。
目的の貴族の屋敷まで来てみたものの、ここからどうしようかな?
中に居るとも限らないけど、潜入するしかないみたいだな。
闇魔法≪インビジブルシェイド≫を使い、潜入する。
この魔法は僕の姿を消し、陰に同化する事で存在感を無くす事の出来る魔法で、僕なりの潜入用魔法だ。
足音も立たないし、匂いも周りと変わらない様になるので、使い勝手は良い。
弱点はこの状態で攻撃すると殺気が倍増するので、すぐに気づかれるし、視線を送ると、闇魔法特融の妙な気配を感じさせてしまうので、注意が必要な事くらいか。
屋敷内には人も物も多いため、隠れる影には困らない。
部屋をいくつも周り、部屋で書類に目を通している目的の人物を見つけた。
机の陰に身を潜め、どうやって見つかるのかを考える。
このままここに居ても目的は達成出来そうにないし、何か重要機密でも漏らせばその情報が漏れたと情報を流す事も出来るんだけど……
しばらく待っていても、紙をめくる様な音と、文字を書いている音ばかり聞こえて来る。
部屋を出て行ってくれれば、書類を盗み出す事で目的を達成出来るかもしれないと、考えていると、コンコンとノックをする音と共に部屋に誰か入って来た。
目的の貴族が立ち上がり、扉から入って来た人物に近づくと「壊していいぞ」と声を掛けている。
壊していいぞ? 何をだ?
扉の前に居た人物が僕の隠れている机の方へやってくる気配と共に、いきなりその机をたたき壊した!
仕方なく僕は陰から表に出て難を逃れると、「こいつの始末は私がやっておきます」と一人の騎士風の男が僕の前で剣を構える。
貴族の男はそのまま部屋を出て去って行ってしまったけど、これで目的はほぼ達成したし、後は逃げてもいいけど、この男を倒してしまった方が相手の派閥の警戒も強くなって、動きやすくなるだろう。
僕も双剣を構えて、騎士風の男と対峙する。
ジリジリと距離を縮め、相手の間合いに入るけど攻撃は仕掛けて来ない。
僕からの攻撃を誘っているのか?
それにしても、どれだけ探っても隙が無い。
時間を稼がれて他の護衛なんかが来ても面倒だし、僕から仕掛ける!
双剣を突き出した瞬間に剣を二つ共弾かれたので、瞬時に距離を取る。
ジャレイフ程ではないけど、かなり腕の立つ剣士のようだ。
騎士風の男が両手で持つ大検の切っ先が目障りだな……
相手の剣は重いし、小回りを利かせて攻撃を続ければ隙も生まれるだろう。
僕は回り込む用にして、突っ込み、攻撃を仕掛けるけど、綺麗な動きでそれを防がれる。
最小限の動きで、僕の攻撃を受け流し、僕が直ぐに引くと分かっているのか、追撃するような動作もない。
僕は全速力で突進して、剣が交わるその瞬間に≪飛燕≫で背後を取って攻撃をする!
辛うじて防御されてしまったけど、さすがに焦ったのか、足を動かし、バランスは崩れた。
その隙を突き、双剣を前に出すと、避ける動作に入ったので、≪ブラインドアロー≫で目を潰し、首を狙ったけど、避けられてしまい、肩に左腕に持った剣を突き刺した。
男は傷を負いながらも、僕から距離を取って元の構えに戻る。
効果が無かったとも思ったけど、目を閉じて集中している様子なので、≪ブラインドアロー≫の効果は効いているようだ。
僕は畳み掛ける様に攻撃を始める。
先程回り込んだ方とは逆方向から、距離を詰めて、剣を振ると、また最小限の動きで防がれてしまう。
しかし、彼は肩に傷も負っているし、構わずに攻撃を繰り返す。
上下左右に打ち分けても、中々この男の防御を突破出来ない。
更にスピードを上げて攻撃を繰り返しても全てを防がれてしまっているが、だんだん僕のスピードに大検を持つ手が着いてこれなくなっている。
息を呑み込み、自分の限界までスピードを上げる事で、ようやく隙が生まれて脇腹に一撃を叩き込む事が出来た。
地竜の闘いを見てから、僕何て大した事はないのだと思っていたけど、僕は弱くないし成長する事が出来る。
そう思い感謝の気持ちを彼に抱き、最後の一撃を入れて意識を立った。
こちらに向かって走って来る足音が聞こえて来たのでタイミングも丁度いいだろう。
窓から屋敷を飛び出し、逃走をするけど、追っては無いみたいだ。
再び≪インビジブルシェイド≫を使い、屋敷から離れてからそれを解除した。
宿の前まで来るとアトラスとばったり会ったので、二人で部屋に戻ると、セリルとヘンリーナも僕達の帰りを待ち、魔法で遊んでした。
四人集まっているし、これから情報を交換して、この後の事を考えようと机の椅子に腰を掛けた。




