~リック視点~ 皇后の導き
(力が欲しいか?)
ん? ミランダか?
(……力が欲しいか?)
まだ寝てるってのに……
(力が欲しいか?)
「ミランダ……何か用なのか?」
「何の事?」
「俺の耳の中でずっと力が欲しいかって言ってただろう?」
「寝ぼけているの?」
ん? なんかおかしいな。
そもそもミランダって冗談とか言わないしな……
(その子じゃなくて私よ! 力が欲しいの?)
誰だよ……
(私はヴィジール帝国の皇后で、今は悪い奴に囚われているのよ。 直接あなたに思念を届けているんだけど、どうなの? 力が欲しくない?)
頭の中で考えた事を読み取っているのか……気持ち悪いな……
力は欲しいが、何かあるんだろ? 要件を言ってくれ。
(私には≪導く力≫があるわ。 それで、力を授ける代わりに色々と助けて欲しいの)
悪い奴に囚われているって言ってたな。
助ければいいのか?
(それもあるんだけど、あなただけじゃまず勝てない敵よ。 だからまずは、ヴァジール帝国の金獅子に会って! 私から伝言を預かったと言えば必ず会えるわ)
んー……小っこいのの面倒もあるしな。
金も稼がなきゃならねえ。
(私を助けたらお金なんていくらでも手に入るわ)
んー……
「ミランダ、なんか変な声が聞こえるんだけど、ヴァジール帝国の皇后って知ってるか?」
「会った事ないけど、知っているわ」
「んで、金獅子に会えって言われて、お金も沢山貰えるって言ってるんだけど、どうしたらいいんだ?」
「皇后は今、行方不明になっているらしいけど?」
「悪い奴に捕まっているらしいぞ?」
「そう…‥胡散臭いわね。 悪い奴って誰なのかしら?」
おい、悪い奴って誰だ。
(ルファインド・リー・ベリルと、その臣下のマニエルと言う道化師のような男よ)
「ルファインド・リー・ベリルとその臣下のマニエルって道化師みたいな男だそうだ」
「リック。 金獅子に会いに行くわ」
「どうした、急に……」
「マニエルの事は私も知っている。 その男を調べる必要があるの」
「そうか、小っこい奴等はどうする?」
「獣人は成長も早い、大人になった子に世話を任せればいいし、組織の連中にも頼んでおくから問題ないわ」
「分かった。 それじゃ、さっさと用意済ませるから、待っていてくれ」
俺は旅の支度を整えて、ヴァジール帝国へ向かう。
皇后の話によれば、カチェスタ第三階層で狩をしている俺の事をマニエルって奴が見ていたそうだ。
その事を皇后の目の前で話していたから、俺に声を掛けたらしい。
力を与えるには忠誠を誓わないといけないらしいから、仕方なく誓ったけど、それなら金獅子に直接頼めばいいんじゃないのかと尋ねると。
金獅子は国に忠誠を誓っているので、無理とかなんとか……
まあ、いいか。
面倒な事考えていたって仕方ねえし、さっさと助けて帰るぞ。
「んで、ミランダはマニエルって奴を何で調べているんだ?」
「詳しくは言えないけど、そうね……私の最も大切な人の敵になると厄介なのよ」
「そうかー」
ミランダにも何か事情があるんだな。
仇敵だったとは言え、和解してからはずっと助けて貰ってたし、ミランダの為になるんなら悪い話でもないな。




