地竜討伐
魔境の何もない広場に≪ゲート≫で地竜を放り込んだけど、まだ地竜は眠っている。
オウルが地竜に手を触れて、第五階層のボス部屋に転移した。
大森林の眷属達は全員揃い、何かあった時にも対処できる手筈は整った。
オウル、ジャレイフ、リスト以外の眷属はボス部屋の上部に作った踊り場から三人の闘いを見守る。
まず、リストが水魔法によって地竜の首を攻撃する。
地竜は水に弱いのか、目が覚めて、凄まじい咆哮を上げる。
それと同時に、ダンジョン内は体が跳ね上がる程の地震をし、その場にいる眷属達の殆どは地面に叩きつけられてダメージを負う。
セリルとオウルとアリアドネは、飛翔して難を逃れたけど、他の眷属は無事ではない。
止まない地震の最中、地竜の方からギャン!っと金属が摩擦したような音が聞こえ、地震が止まった。
オウルが足の爪で地竜に攻撃したようだ。
その隙にヘンリーナは僕達に回復魔法を掛けてくれて、リストもジャレイフと自分の回復をしている。
オウルは物凄いスピードで飛びながら、何度も地竜の首を攻撃し、その度にギャン!っと言う音が鳴り響く。
あまりに早くて目で追うのがやっとだ……
攻撃が当たる度に地竜の首からは火花が散り、リストも水の魔法で首を狙い攻撃している。
ジャレイフはいつもの剣を腰に据え、オウルが攻撃をして過ぎ去った後に、地竜の首にいつもと違う太くてギザギザの、剣と言っていいのか分からない棒のような物を擦り付けるようにして叩きつける。
ジャレイフの斬った後にも火花が散り、ギイイイイインと言う、聞いた事が無い騒音が振動と共に耳に届く。
地竜もやられてばかりでは無く、突進したり飛び掛かったりして暴れているが、ジャレイフは距離を取るのが上手く、近づけず、空中にいるオウルにも攻撃する事が出来ないようだ。
地竜がリストに突っ込むけど、ジャレイフもオウルも首に狙いを定めたまま何もしない……
このままだとリストが体当たりを食らい、潰されてしまうじゃないか!
僕はリストを守りに飛び降りようとするけど、それをアリアドネが静止する!
そんな事をしている内にリストが地竜に押しつぶされてしまった……
セリルとユングは僕と同じように、リストの様子を不安気に見ているが、他の眷属は気にも留めていないように感じる……
足の止まった地竜にオウルとジャレイフは攻撃を続ける。
どうしたらいいのか分からなかった僕はただ、茫然とその状況を見ていると、水の魔法が地竜の首に当たる。
押しつぶされたはずのリストはケロっとした表情で水の魔法で攻撃を続けている。
「アリアドネ……リストは攻撃を交わしていたのか?」
「いえ、真面に攻撃を受けて居ました」
「でも、リストは全然平気そうだけど……」
「リストは直接戦闘に置いて、攻撃力で言えば眷属で最弱かもしれませんが、眷属総出でリストを攻撃しても恐らく倒しきれないくらいに耐久面では強いですよ?」
「そうなのか……」
意外だと思ったけど、完全に回復と治療に特化して生み出したのだから、耐久力が凄まじくても不思議ではない。
そもそも情報収集に特化したアトラスが前衛としては、それに並ぶ冒険者が見つからない程の実力だったし、ミランダも剣士として召喚した訳じゃないのに、細剣使いとしてはかなりの腕だった。
戦闘サポートがメインのヘンリーナもワイバーンを素手で八つ裂きにしていたし、そう考えると納得が出来る。
戦闘は続き、首への一点集中は続く。
地竜がタイミングに慣れたのか、オウルやジャレイフにカウンターで尻尾や前足で攻撃を仕掛ける。
しかし、当たっても瞬時にリストが治療してしまうので、地竜の攻撃は実質的に無力化されている。
ジャレイフが「そろそろだな」と言い、いつもの剣に持ち替えて構える。
オウルは更にスピードを上げて首に攻撃すると、首から血が噴き出して来た。
ジャレイフが「行くぞ!」と叫ぶとオウルは空中高く舞い上がり、リストが地竜の前に立つ。
視界に入ったリストに地竜は突進し始めるとジャレイフが横から渾身の一撃を放つ。
ジャレイフの出した技は奥義、≪牡丹≫。
≪スピリットオブボルケーノ≫を首を刈る為だけに力を集中し、圧縮して繰り出す技だ。
この技でジャレイフは過去にドラゴンを討伐した事があるので、英雄と呼ばれていた頃にはドラゴン殺しとも呼ばれていたらしい。
地竜の首はゴトッ!と音を立ててその場に転がると、戦闘を見ていた眷属達から拍手を向けられる。
僕は飛び降り、ジャレイフ達に労いの言葉を掛けると、オウルもジャレイフも嬉しそうにしていたけど、大した事はないと言うような言葉返し、リストだけは「ディル様! 遊ぼー」と僕を何処かへ連れて行こうとしていた。
今日も色々な事を学んだな……
僕は眷属達の事を一番にと考えていたけど、もっと深く知る必要があるかもしれない。
地竜を運び終ったらアリアドネに聞いて見よう。




