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ミスリル鉱山に眠る竜

 現在、僕達はウィルフェン南西にあるミスリル鉱山に来ている。


 山の頂上付近にはワイバーンが飛び()い、ワンバーンより小さいけど、動きが早い鳥の魔獣が三種類くらいいて、洞穴(はらあな)の中には蝙蝠の魔獣も多く、ミスリルスライムと呼ばれる水銀の塊みたいなスライムも多く発見した。


 採掘場らしき場所へ行くと、何年も掛かって掘り進めただけあって、中は結構奥まで続いているようだし、運搬に使うレールも見られた。


 今は人も居ない様だし、ここを僕達も利用するか。

 アトラスと僕は中に居るかもしれない魔物の殲滅を行い、セリルは≪ゲート≫を工房の裏手に作った素材を補完する倉庫につなげ、魔族の採掘隊を動員する。


 セリルの視界で外から来る魔獣の索敵を行ってヘンリーナと共に迎え討つ。

 この辺りの魔物は僕達にとっては大した事はないし、作業は順調で、どんどん奥から鉄鉱石や、ミスリル鉱石が運ばれてくる。


 「すいません。 一番奥の壁が崩れて、空洞(くうどう)が見つかったんですけど……そこで何か眠っているみたいなんで見て貰えますか?」

 

 魔族の一人がそう言って来たので、僕とアトラスが急いで現場に向かう。

 

 「アトラス……これはなんだ?」


 僕の目に映っている魔物は、見るからに堅そうな(うろこ)に、背中からは金属の(とげ)が生えた鱗状(うろこじょう)の板が張り付いていて、顔や姿は爬虫類の様だけど、足は太くて鋭い爪が着いている。


 大きさは大した事はないけど、眠りから覚めたら、狭い洞窟の中だし、面倒になるかもしれない。


 アトラスはそうっと手で僕に下がれと合図を出す。


 「撤退だ。 ここから離れるぞ」 


 アトラスの指示に従い、採掘隊も引き揚げさせる。


 「あの魔獣? の事を知っているのか?」


 「見た事がないので、確証はないが、恐らくあれは地竜だ」


 「地竜?」


 「冒険者の間でもドラゴンの話等を聞く事はあるだろう?」


 「うん。」


 「地竜は伝説級のドラゴンとされていて、まず見かける事はないそうだが、見た目は同種でも生活環境等で見た目が変わるらしく、共通して爬虫類のトカゲ等に似た形をしている。 鉱物や土を食らい、鉱物を沢山食べている地竜の方が強いとされている」


 「ここはミスリル鉱山だし、地竜の中ではかなり強い可能性があるのか」


 「そういう事だ。 ちなみに弱い地竜でも、怒った時には天災級の地震を引き起こすらしいぞ」


 「あんな場所で地震を起こされたら無事じゃ済まないな、どのくらいの規模になるかも分からないから手を出すべきじゃないか……」


 「ああ、倒しても旨味はないしな」


 「そうなのか? あの固そうなら爪とか背中の甲羅見たいなのは加工すればいい素材になるんじゃないのか?」


 「確かに良い素材かもしれないが、加工出来ればの話だ。 ギムロスに確認をする必要がある。 それに地竜はかなりの耐久力もある。 倒すにはあの固い甲羅や皮膚をこれでもかと言うくらいに痛めつけなければダメージにはならないだろう」


 「ううーん。 せっかく見つけたし、何とかして持って帰りたいな」


 「了解した。 まずあの場所での戦闘をするのはあまりに危険すぎる。 拠点の眷属達に相談して、捕獲(ほかく)手段を考え、戦える場所を用意し、万全な状態で挑むとしよう」


 話し合いをする為に僕達は拠点へ戻る。


 「地竜ねぃ……加工出来るかと言われれば出来る。 地竜を倒す為に素材をボロボロにしちゃ台無しだがな」


 「地竜を誘き出して、地震が起きても大丈夫な場所に連れて来て、素材を傷つけずに倒すのか……地竜自体もかなり強いだろうし、難しいな」


 「地竜と戦うのに向いている場所ならありますが、どうやって誘き寄せるのかと、どうやって倒すのかが問題ですね」


 「アリアドネ、場所って言うのは何処だ?」


 「ダンジョンです。 ダンジョンでは地震をいくら起こされても街に被害も出ませんし、ダンジョンは崩れたりはしないようなので」


 「それなら場所はダンジョンで決まりとして、後は誘き寄せる方法と倒し方か……」


 「セリルの≪ストレージ≫で運んだり出来ないのか?」


 「生きている生物は無理。 死体なら運べるけど、それじゃ意味ないよね」


 「少し無理やりな手段になりますが、地竜はちょっとした事では起きないと思いますので、寝ている間に無理やり≪ゲート≫を潜らせて、魔境内から眷属のダンジョンへの転移を使って運ぶのはどうでしょうか?」


 「地竜はそれ程大きくなかったし、それならいけるかもしれない。 当面はその作戦でダンジョンに連れ込もう。 後は倒し方だけか……」


 「その(めい)、このジャレイフが(うけたまわ)っても宜しいでしょうか?」


 「出来るのか?」


 「首を落とせば地竜も絶命に(いた)るでしょう」


 「それじゃあ地竜討伐はジャレイフに任せる」


 「御意! 後は共にオウルとリストを連れて行く事をお許し下さい」


 「いいけど、リストは戦えるのか?」


 「問題ありません。 攻撃に関しては不得意ではありますが、支援としては眷属の中でも随一ですので」


 ジャレイフは自身があるみたいだし、任せてみよう。

 ダンジョンの第五階層にボス部屋を立てて、そこに地竜を運び、戦闘を行う指示を出す。


 僕や他の眷属も戦闘を(のぞ)けるように部屋を広く作って、上から見下ろせるスペースも確保する。


 地竜の眠る場所までセリルは≪ゲート≫を開く。

 そして、アミューゼンの丈夫な糸を網のように束ねて、地竜を包み込み、眷属の中で腕力の優れている、オウルとジャレイフとアトラスが思い切り引っ張って≪ゲート≫へ放り込んだ。


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