リザードマン達の頼み
僕とセリルとヘンリーナは護衛をしながら湿地帯へ向かっている途中だ。
貴族の男はドリエルと言う名前で、太っていて剣を腰に据えているが、この体格で使えるのどうかは怪しい。
僕達以外にも、魚を取る道具を運んでいる、フリントと呼ばれる男性が一人着いて来ている。
体力的に疲れる事がないので、普通の人間の速度に合わせていると凄く遅く、大した距離でもないのに、湿地帯までの中間地点で休憩している。
「こうやって釣りに出掛けるのは久しぶりだ。 戦争でずっと忙しかったからな。 今日はよろしく頼むよ!」
「任せてくれ。 リザードマン達は良く表れるのか? あと、他の魔獣などの危険は?」
「そうだな。 リザードマンは必ずと言って良い程見掛けるが、襲って来る事は滅多にない。 人間の護衛を連れていると知っているからな。 向こうも警戒している。 他の危険は今まで無かったな。 大きな蛇が泳いでるのを遠くで見た事があるくらいか」
「それなら、蛇にも注意しよう」
「ああ、そうしてくれ。 君は白金級の冒険者で、奈落の銀貨と言うチームだったかな?」
「そうだ、何か問題でも?」
「いや、そう言う訳ではない。 ただ、ウィルフェンには白金級の冒険者が何人かいるのだが、君の様に若い人物は初めてなのでね、期待しているんだよ。 それじゃあ出発しようか」
他の白金級冒険者には会った事がないけど、あまり若い人物はいないのか。
金剛級も会った事がないけど、話す機会があれば話を聞くのも悪くない。
しばらく歩いて湿地帯に到着する。
泥沼みたいな場所を想像していたけど、沢山白い花が咲いていて、水も透き通ってるし、水に浮いた花もあって綺麗な場所だった。
鳥も沢山いるし、魚も沢山いる事が分かる。
「それじゃあ釣りを始めるから、よろしく頼むよ」
ドリエルは釣竿を使って、のんびりと釣りを楽しんでいるようだ。
辺りには魔獣などは確認できないけど、リザードマンがこちらの様子を見ている。
襲って来る気配はないけど、気を付けないと。
「蛇の魔獣を見つけたわ。 徐々にこっちに近づいてきている」
「セリルだけで対処出来るか?」
「んー……」
何か悩んでいるようだけど、どうしたんだろう?
セリルが対処出来ない程の野良の魔獣がいたら、それはそれで大問題なんだけど。
「三人で戦えるかな? かなり大きいの」
「分かった。 セリルは視界を広くして依頼主の注意も払って置いてくれ」
「分かった。 それじゃあ前衛は任せたわ」
セリルが合図を出して、僕が蛇の居る方へ走り出す。
あまりドリエル達の近くで戦うわけにもいかないし、遠くに居るうちに倒す!
湿地帯の水の中から大きな蛇の魔獣が飛び出す。
確かに大きいけど、セリル一人でも対処出来そうだ。
力を見せるのを避けたって感じかな。
僕に噛みつこうとして来た蛇の首を蹴って跳ね上げ、暴れないようにセリルが≪グラビティサークル≫で押さえつける。
効果は薄いようだけど、動きは鈍くなっている。
ヘンリーナは遠くから炎を飛ばし、蛇の頭を攻撃している。
やはり大した事はないな、セリルの魔法が解除され、蛇が急に暴れはじめた。
セリルの方を見るとドリエルの方へ向かったようだ。
リザードマンが六体向かって来ている。
蛇の魔獣に止めを刺し、ドリエルの方へ向かう。
リザードマンが近づいて来ているけど様子がおかしい。
武器は持っているけど、戦う意思はないらしく、腰に据えているだけだった。
「我々ではどうしようもない事が起こっている、頼みを聞いてくれないか?」
リザードマンが話しかけて来たけど、僕達なら言葉が分かる。
しかし、普通の人間はどうなのだろうか?
言葉が通じないはずなのにリザードマンと会話するのはさすがにまずい。
「んー? すまないが人間に君達の言葉は分からないよ」
リザードマン達も察したのか、地面に絵を書いて説明し始めた。
色々絵を書いて説明してくれているけど、それを見てもさっぱりだった。
ただ、リザードマン達がゴチャゴチャ言いながら絵を書いていたので僕には内容が分かる。
しかし、それを伝えたくても、僕達がしゃべれば、リザードマンにも言葉が伝わってしまう……
内容は、大昔から居る花の化け物が、湿地帯に向かっているらしく、猛毒を持っているので、このまま放っておけば、湿地帯猛毒に汚染されて、無くなってしまうから、僕達になんとかして貰いたいらしい。
ヘンリーナが自分に何らかの魔法を掛ける。
「私の魔法で言葉が通じ合うようにしています。 もう一度言葉で説明して貰えますか?」
ヘンリーナが機転を聞かせてくれてなんとかなった。
リザードマン達の話を聞いたドリエルは、この湿地帯が好きなので、協力したいと僕に伝えて来たので、追加の報酬を貰う事を条件に、僕達は引き受けた。
リザードマン達にドリエルの護衛を任せる訳にもいかないし、一旦街へ戻ろうと提案したが、時間がないらしく、そのままリザードマン達に着いて行き、花の化け物が向かって来ている場所までドリエル達も連れてやってきた。




