~ユング視点~ リストとマンドレイク達
ハイエルフ。
エルフの中でも稀に生まれるエルフの上位種。
普通のエルフの時は、森の精霊から力を借りて魔法を使ったり、風の魔法も使えた。
ハイエルフとなってからは、光と水の魔法まで使えるようになって、魔法の能力も強くなった。
こんな力をポンとくれたディル様。
魔境の主とは一体何者なのだろうか?
いつかこの手で同胞を手に掛けたりはしないだろうか?
私は恐ろしいと思った。
「ユンユン! あそぼー!」
彼女はドライアドのリスト。
このクラークスの街で住み慣れて居ない私の世話をしてくれている。
見た目は私と同じくらいの歳だけど、随分子供っぽい。
一日中話しかけて来て、一日中遊びたがる……
寝る必要がなく、不眠不休で活動出来る様になって逆にこんなに疲れるなんて……
それに、魔法の講師なんて、出来るのだろうか?
人前で話したりなんて私には出来そうにない。
「ユーンユン! みてみてー」
リストを見ると何かを並べて……え?
マンドレイクを鉢に植えて並べてる……
「あ……危ないよ」
引き抜くと叫び声を上げて、それを真面に聞けば、抵抗の弱い者であれば発狂して死んでしまうかもしれない。
そんな植物を街の中に持ち込むなんて、とても危険。
「大丈夫。 リストが育てた子達は大人しくてとってもいい子!」
「そう……」
「これ! 生徒ー! ユンユンの授業を聞いてくれるよ!」
私の事を応援してくれているって事かな?
でも、マンドレイク相手に……いや、マンドレイクくらいなら私も出来る……かもしれない。
リストも席に座って、私の授業が始まる。
とりあえず、エルフの里で教えて貰った事を出来るだけ分かりやすく説明を始める。
一通り説明が終わると、マンドレイク達から歓声が聞こえる!
リストも「森の魔法大好き! もっと教えてー!」とマンドレイク達と一緒に叫んでいたので、森の精霊の力を借りた魔法や、木の精霊との会話の仕方などの話もする。
また歓声が上がった……私は魔法の講師に向いているのかもしれない。
そして授業を続ける私は魔法の演習まで始め、驚いた事にマンドレイクが自ら鉢を抜け出し、私を真似て演習に参加してくれる。
リストは演習で見せた魔法は全て初見で覚えてくれて、マンドレイク達は苦戦している様なので、一人一人丁寧に教えていく。
マンドレイクの一人が、出来なくて泣いてしまったので、慰めながら出来る様になるまで教えて上げる。
時間は掛かってしまったけど、そのマンドレイクもようやく、出来るようになり「ヤッタ!センセイ!ダイスキ!」と叫び始めたので、思わず私も泣いてしまった。
ドンドン! とドアを叩く音がしてカイゼル先生が部屋の中に入ってくる。
「随分と騒がしいね。 マンドレイク相手に授業を?」
「はい……」
「そうか、私もユング先生を見習わなくてはな。 私も授業の練習をしても良いかな?」
そういってカイゼル先生がマンドレイク達とリストを相手に授業を始める。
カイゼル先生の授業は分かり易くて、エルフの常識とは違った魔法の知識を教えてくれる。
とても参考になった……私の時は歓声を上げていたマンドレイク達も聞き入っている見たい。
「成程、勉強になったよ。 それでは私は研究に戻ろうとしよう」
「ありがとうございました。 研究ってどんな事をしているんですか?」
「簡単だよ。 魔法はイメージを形にして使う事が出来るだろう? だから私は魔法の形を作ろうとしているんだよ」
「どういう事ですか?」
「例えば、今いるマンドレイク達に同じ名前の魔法を使って貰うとしよう。 ≪水弾≫これをイメージした魔法を使って見てくれ」
マンドレイク達はしばらく練習した後、それぞれが≪水弾≫の魔法を使うと、強さもバラバラで全員が全然違った魔法を使用している。
「それじゃあ次は≪ウォーターボール≫この魔法を使って見てくれ」
カイゼル先生はマンドレイク達が練習している間も≪ウォーターボール≫の魔法を使って見せてくれていた。
そして、マンドレイク達はカイゼル先生と全く同じ魔法を全員が使う事が出来た。
「そう、見本通りの魔法を使うだけ。 でもイメージもしやすいし形にするのも容易だ。 だからまずは、その形を作って見ようかと思ってね。 強力な魔法も容易くイメージ出来れば中々の効果が期待出来ると思うんだよ」
凄いと思った。
確かにこれなら多くの人が効率的に魔法を覚えられる様になるかもしれない。
私にも研究出来るかもしれないし、色々と試したい事が出来た。
不安に思っていたけど、何とかやれそう!
再び講師の練習をしながら私は研究の題材を考える様になれた。




