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二人の魔法講師

 「もう一つのダンジョンが手に入り、無力化されていた最下層の眷属達ですか。 そうですねー……その刺さっていたナイフと言うのは持ち帰って来たのでしょうか?」


 「いや、無理やり抜いた後、すぐに消えてしまったよ」


 「そうですか、そのナイフはスキルで生み出した物のようですね。 状況は把握しました。 何よりも問題なのは、ダンジョンを第六階層までなら踏破(とうは)する者が居ると言う事ですね」


 アリアドネはダンジョンの強化が必要だと提案する。

 その為にしなければならない事は、ダンジョンに獲物を誘い込んで狩る。

 溜まった魔境ポイントで魔境の拡張やダンジョンの強化を行い、拠点レベルを上げて、強力な眷属を召喚したり、階層を増やす。


 今までとそれ程変わりはないけど、敵となりうる勢力が居る事で、重要性は高まったと言えるだろう。


 それに、僕が新しく得たダンジョンは、やはり魔境だったらしく、アリアドネの推測通り、魔境自体は生態系の破壊によって維持できなくなっている状態だった。


 しかも、その魔境で新たな眷属達を召喚出来る。

 僕が新しく召喚出来る眷属の数は、合算すると召喚が出来る数が二十二、眷属化出来る数が十五となった。


 僕の力で魔境を復活させ、新たな拠点を作り、更に他の魔境も手に入れる事が出来れば防衛力も増し、危険も減る。


 しかし、出来る事が増えるのも大変だな……

 アリアドネに魔法使用者を育成する施設の準備が整い始めたので新たな眷属の召喚を頼まれる。


 召喚するのは魔族で、僕の望む眷属は、育成が得意で、魔法に特化した眷属だ。


 スキルを使おうとした時に気が付いたけど、もう一つのダンジョンの眷属はここでは召喚出来ないみたいだ。

 どちらも同じ僕の眷属ではあるけど、別の魔境の眷属として扱われるようで、その違いによって出来る事や出来ない事も出てくると思う。


 気を取り直し、新たな眷属の召喚を試みる。


 出て来たのは魔族のおじいさんで、カイゼルと名付けた。

 見た目は白髪頭で、立派な髭が生え、どちらも綺麗に切り揃えている。

 背は僕より少し高いくらいか。


 話し方は丁寧で、口調はアトラスに似ている。

 さっそく、クラークスの街へ行って貰い、ユリアンの指示で活動を始めてくれと頼んだ。


 「素敵な紳士でしたね! 魔法の講師としては、もう一人くらい欲しい所ですね……ディル様着いて来て頂いて構いませんか?」


 僕は「大丈夫だ」と言ってアリアドネに着いて行く。

 拠点である屋敷を抜けて、大森林を北の方へ進むと、エルフ達の住む集落があり、僕達はその中へと入って行く。


 「エルフの民の皆様、これより魔境の主であるディル様がお見えになりました。 集まって頂けますか?」


 アリアドネが呼びかけるとエルフ達がどんどん集まってくる。

 僕は主としての尊厳(そんげん)を保つ為にも、堂々とした態度でアリアドネの横に立っている。

 

 エルフ達は腰を落とし、頭を下げる。

 そして、代表となる一人のエルフが顔を上げる。


 「偉大なる魔境の主様、私達を受け入れて頂いて感謝しております」


 ん? アリアドネに全部任せておけばいいかと思っていたけど、何か返事を返さないといけないなぁ……


 「構わない。 それに(かしこ)まる必要もない。 君達は僕の配下にある訳ではないからね」


 「寛大なる我が主のお言葉です。 受け止めなさい。 それで、ここに来た目的をお伝えします。 魔法の得意な者をディル様の眷属として迎え入れたいと思いやって参りました。 我こそはと言う方はいらっしゃいますか?」


 エルフ達はざわついて、相談している様だけど、すぐに話は決まったようだ。


 「申し訳ありません。 私達に主様が求める程の魔法の使い手は……」


 「そうか、なら……」


 アリアドネがこっちに視線を向けている。

 僕は何かを求められているようだけど、正直分からないな……でも、要は無理やりにでも眷属として連れて帰れと言う事のような気がする。


 「心配はいらない。 僕の眷属となれば能力も向上する。 魔法の知識があれば研究を続け、成長すればいい。 僕の眷属になるのが嫌だと言う訳でなければ勇気を持って着いて来て欲しい」


 「……もし、それでも断った場合はどうされるおつもりでしょうか?」


 「何もするつもりはない。 僕に悪意を向けなければ、君達の繁栄を祈り、見守るだけだ」


 アリアドネから少し残念そうな表情を向けられるけど、こういうのは慣れていないし期待されても困る……


 「そうですか……一人だけ、群を抜いて魔法の得意な者が居ます……ユング、前に出ろ」


 そう言われて前へスタスタ歩いて来たのは、気の弱そうなエルフの女性で、僕達の前にストンと座った。


 何も言わずに地面に視線を置いて眺めている……


 「ユング、挨拶だ。 顔を上げて挨拶をするんだ」


 「あ、お、おはよ、ござます」


 「そうじゃない! ええと……申し訳ありません。 ユングは人見知りでして、仲間のエルフ達に対しても言葉を発する事の少ない子でして……しかし、魔法だけは特別出来る子でして!」


 「構わない。 ユング。 眷属になれば僕達は家族同然。 気を使ったりはする必要はない。 僕の眷属になってくれるか?」


 僕は手を差し出し、眷属化のスキルを使うと、ユングはその手を取って眷属となった。

 アリアドネの顔を見ると僕は失敗した様だけど、眷属となった以上はユングを大切にして行こうと思う。


 エルフ達に礼を言って、その場から去り、拠点へと戻って来る。

 ユングに新しい名前として、同じだけどユングと名付けるとエルフからハイエルフへと進化した。


 「ユングには凄く大変な事だと思うけど、これから魔法の講師として働いて貰う。 最悪研究に没頭してくれても構わないから、これからよろしくね」


 見た目はリストと同じくらいの歳で、耳に違いがあるけど、ちょっと似ているな……

 リストは植物が好きだし、社交的でもあるから二人を一緒にすればいい影響が出るかもしれない?

 

 僕はリストを呼び、ユングの世話をするように頼んだ。


 「かしこー!! ユンユン! あそぼー!」


 リストにはユングの仕事内容や場所も伝えているし、上手くやってくれるだろうか?

 その後、僕はアリアドネにいくつか駄目だしされて、更に話を聞いていたオウルにも諭されるような感じで、注意を受けた。


 頑張ろう……ちょっとやる気が失せてしまったけど、前に進むしかないんだと僕は自分に言い聞かせた。

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