眷属会議 交易品
交易品を考える為、一時的に眷属達を会議室へと招待した。
ギムロスだけは、他の眷属達に任せると言って今も僕達の為に装備を作ってくれているのでここには来ていない。
「それでは会議を始めます。 まずは我らが主、ディル様から挨拶のお言葉を頂きましょう」
アリアドネに進行を丸投げしたから文句は言えないけど、そんな挨拶をするなんて聞いてないぞ。
僕が立ち上がると、眷属の皆が注目する……
「んーっと……忙しい中集まってくれてありがとう。 クラークスの街は今後、最も重要な情報源になり、資金源にもなるだろう。 それで皆に交易に使える品を考えて貰いたいんだけど、僕には魔獣が召喚出来るし、その事も踏まえて、何か案を出して貰えるかな?」
「ありがとうございます! それでは何か案を思いついた方から挙手して頂き、聞かせて頂きます、はい! リストいい案があるのかしら?」
「はーい。 リストは沢山遊びたい」
「ん? 遊具と言う事でしょうか……アトラス、人間はどの様な遊びをしていたか分かりますか?」
「道具であれば、人間の貴族達はカードを用いた賭け事や、弓を使ったハンティングや的当て、湾曲した細い金属を投げて木に引っかける遊びや、木で作った板の上でルールを決めて、何かしらの遊びをしていたくらいか……孰れも何かを賭けて奪い合うといった事をしていたように思える」
「成程、人間は賭け事が好きな様ですね! それなら安価で作れる物から順に試して行って魔族達に試して貰い、面白いと思った物を私達で改良して他の街でも流行らせる手引きをしていきましょう」
僕は話を聞きながら、リストの方を見ると、残念そうな顔を浮かべて居た……
リストはきっと眷属達と純粋に遊びたいと思って、話したんじゃないのだろうか?
その様子を見てか、セリルが魔法でカラフルな土の玉を空中に浮かせて、ゆっくりリストの方へ飛ばす。
リストがそれにタッチすると、その玉が僕の方へ飛んで来て、僕もそれに触るとまたリストの方へ戻って行く。
リストの表情は明るくなり、嬉しそうだ。
僕がその玉が帰って来た時にキャッチすると、もう遊んでくれないの?といった表情で潤んだ目を僕に向けて来たので掴んだ手を離して、その玉がリストの方へ飛んで行くとパアーっと表情が明るくなった。
話に集中していたせいで、玉に触れるのを忘れていると、僕の辺りで勝手に玉が跳ね返り、リストの方へ向かっていくと、リストはそれでも楽しそうにしていた。
「他に何か案はありますか? はい! それではオウルお願いします」
「人間はわざわざ肉を焼いて食べると聞いている。 焼くのに便利な道具があれば交易品にも使えるんじゃない?」
「調理器具ですね。 調理器具に関しては既に人間達の手によって多く作られています。 我々がそれを凌ぐような器具を作れるかと言われれば、難しいかもしれませんね」
「調理器具ではないが、料理と言えば人間の街では香辛料が高値で取引されていた。 リストならそういった植物も育てられるのではないか?」
「それはいい案かもしれませんね。 リストは植物を育てるのが好きですから」
「かしこ!」
「余、いや、私から調理器具に関しての提案なんだが、街の魔族達は火で炙って調理する分には問題ないようだが、鉄鍋などを使って焼く時には火の調整が難しいようだ。 火力を調節できるような調理器具ならコストは掛かるかもしれないが、流行るのでは? それと、火で焼く為の鉄鍋ももっと手軽に使える物があればいいかもしれん」
「それはいい案かもしれませんね。 ギムロスは工房で火の調節を行う事も得意なはずですし、後で作れそうか聞いておきます」
「私からも宜しいでしょうか?」
「勿論です! ヘンリーナあなたの案を聞かせて下さい!」
「私の今来ている服は虫の糸から紡ぎ出された絹と言う素材です。 素材としては丈夫と言う訳ではないですが独特の光沢があって、貴族の女性達の間で人気が出ると思われます」
「虫の糸ですか、アミューゼンの出す糸はどうでしょうか?」
「んー? きぬー? わたしの糸はきれーだけど服には向かない。 蚕が居れば作れるはずー、ディルさまー、蚕の魔獣はいますかー?」
「んー……蚕は……いないなーそもそも蚕ってどんな生き物なんだ?」
「蛾、ですー」
「蛾の魔獣ならいくつか種類がいるぞ」
僕は数種類いる蛾の魔獣を全て召喚して見せた。
「この毛場だった子を飼育するので、街の近くに大きめの小屋を二つ建てて下さいー、設備などは私が手で作るのでー」
「分かった。 後で作ってこの魔獣も召喚しておくよ」
ここで話し合った事はアリアドネが纏めてくれて、拠点に居る眷属達で試作品や取り組みを行ってくれるみたいだ。
僕も忘れない内に、街から少し外れた場所に大きめの小屋を二つ作って、中に魔獣エクラファレーナを十匹程召喚しておく。
会議は色々考えたりして疲れたけど、拠点にいる場合はアリアドネが全部纏めてくれるし本当に頼もしく思える。
日も登って来た事だし、ギルドの仕事をする為、宿へと戻った。




