~ミランダ視点~ アトラスの来訪
ディル様から来た伝言書による返事を返した。
今はカチェスタの街にある獣人の多くが集まる場所で、小さな教会のシスターとなって過ごしている。
何故こんな事になったのかと言えば、リックが養っていた獣人の子供達の為に、人間達の真似をして、教会を立てたらしく、その手伝いをさせられているから。
小さな獣人の子供達は、突然現れた私の事をもう慕ってくれてるので、投げ出すわけにもいかなくなってしまった……
リックは獣人でもないし、魔物であるコボルドなので、ギルドにも登録出来ないし、お金を稼げない為、夜盗をして、稼いだお金は子供達に買い物を頼んで、食い繋いでいたみたい。
街の中心部に比べたらここも十分治安が悪いし、子供達を攫って売ろうとする輩もいるけど、比較的にまだ治安はいい方で、子供達を守りたい獣人も沢山いる。
カチェスタの街では、獣人の組織は大きく分けて二つあり、簡単に言えば獣人の為に治安をよくして行こうとする組織と、お金の為ならなんでもする組織で分かれている。
リックは後者の組織としか繋がりが無かったみたいで、私から前者の組織に協力をしてもらい、仕事を引き受けるように伝えた。
リックに任せるのは不安だったので、組織のリーダーには私から話を付けた。
今はそこで貰った仕事をリックが引き受けて、私は子供達の面倒を見ている。
コンコンっと教会の扉をノックする音が聞こえたので、扉を開く。
「ご機嫌は如何かな?」
「アトラス……」
「私なら簡単に見つけられる事は知っていただろう。 何を驚いている?」
「……。」
「セリルが目覚めた」
「そう……それは良かったわね」
「嗚呼、ディル様は……御嘆きになっていたぞ」
「……。」
「主を――主を――あるじをあるじをアルじをアルジをおおおお……何故……成せ哀れがらせき?」
「ごめんなさい。 今はそれしか言えない……」
「嗚呼――嗚呼アアアアー! ディル様は貴様をそっとしておいてやれと言われた。 セリルが目覚めた時のディル様の顔を見て私は胸が張り裂ける思いだった。 私はそれだけを伝えに来た。 達者でな」
アトラスはそのまま去って行った……
教会の隅では子供達が怯えて固まっている。
私はその子達を優しくあやしながら仕事に出ているリックの帰りを待った。




