天狐召喚
ミランダからの返事はシンプルな物だった。
私は今、戸惑っています。
ディル様と言葉を交わして良いのかすらも分かりません。
自身と向き合い、折り合いを付ける事が出来れば、必ず連絡をします。
今はそっとしておいて下さい。
何があったのだろう……それでも、一つだけ分かった事がある。
ミランダは僕の元を、ただ、離れて行った訳じゃなくて、何か理由がある。
それは、ミランダの中でしか解決出来ない事なのだと悟り、連絡があるまでは彼女の好きなようにさせて上げよう。
この事を今いる三人に伝えると、アリアドネが旅を続ける為に、新たな眷属の召喚をしようと提案した。
ミランダの代わりなら必要がないと答えると、そう言う訳ではなく、今後はダンジョンの深部攻略も考えた上で必要だと、説明をされた。
ダンジョン攻略に関しては、先人達の成功や失敗例を感じ取る目的と、敵対する魔境の主が、今後現れる可能性も考慮しての事で、ミランダが居たとしても同じ提案をしていたと言う。
僕もその言葉に納得したので、新たな眷属の召喚を試みる。
与える役割はミランダやアトラスの情報収集目的ではなく、戦闘面に置いて活躍出来る眷属。
特に回復魔法を使える事が必須で、自身も身を守り、戦う術を持った眷属が求められる。
さらに、状況によって適切な判断が出来る、物怖じしない人格を持っていれば非常に頼もしいと言えるだろう。
今回は条件もシンプルで目的も単純なので、種族の選別は、選び出された中で最高の種族を僕が選らぶ。
天狐、聞いた事がない種族だけど、最も僕が望んだ眷属としての適性が高い。
スキルを使って召喚すると、見た目は狐の獣人の少女で、魔法の素養は光、炎、無だった。
この子にヘンリーナと言う名前を付けたけど、種族の変化はなかった。
太い尻尾が四本あり、その毛色は、輝いて見える程の美しい金色をしていて、赤い模様がある。
髪も同様に金色で、こっちには赤い模様はなく、大きな耳は垂れていた。
「素敵な名前を頂きありがとうございます。 今後ともこのヘンリーナを宜しくお願いします」
「ああ、ヘンリーナには僕と共に旅をして、ダンジョンなどの攻略に励んでもらう。 よろしく」
アリアドネのスキルによって現在の状況などをヘンリーナは問題なく処理出来ているようだ。
声が小さくて話し方も、顔の表情も一定だけど、人懐っこそうな表情を保っていて、可愛げのある女の子って感じだな。
それにしても、見た目が幼いので本当に戦闘に加えて良いんだろうか?
といっても僕の実年齢よりも、少し上、十二歳くらいの見た目をしているし、僕の求めた能力は持っているはずなので大丈夫だろう。
ダンジョンの攻略は、馬車に積んであるお土産を拠点まで運び、その中にある装備作成に仕える、良質な素材で、ギムロスに装備を作って貰ってから始めようと思う。
それまでは、ミランダが抜けている事で、潜入の必要がある情報収集が出来なくなったので、白金級の僕であれば、貴族達からの重要な依頼も受けられるようだし、そこから情報を収集する。
依頼を熟して、金剛級になれば、詳細は不明だけどもっと重要な、それこそ国の機密にまで関わってくるかもしれない依頼を、受ける事も予想出来るので、全員のギルドランクを上げて、貴重な情報の供給源にして行くつもりでいる。
とにかく、まずは馬車の荷物を運ばないといけないので、カチェスタの宿に戻ると……
なぜか裸のアトラスが立っていた。




