ミランダの離反 セリル目覚める
日が昇るにはまだ時間もあるけど、仕事を終えたアトラスが戻って来た。
闇の魔法もかなり使えるようになって来たなと考えていたら突然アトラスが変な事を言い出した。
「ミランダが離反した」
「え?」
「ミランダが離反したのだ」
そんな馬鹿なと思いつつも僕はアトラスから詳しく事情を聞き出す。
どうやら、夜盗の中に、コボルドが居て、アトラスが殺そうとした所、そのコボルドを抱えてミランダは逃走したようだ。
なんか言葉が足りないな……
「獣人との話は聞けたのか?」
「聞けなかった。 聞く前に殺してしまった」
僕は現場に居なかったから状況が掴めないけど、アトラスにしては珍しく、状況説明が足りないと言うか……何かややこしい事情でもあったのだろうか?
それについては置いておこう。
「ミランダの離反に関して何か他にはないのか? 理由もなくそのコボルドを連れて逃げたりはしないだろう?」
「それに関してはまるで分からない。 ただ、見つけた時にはミランダはかなり追い込まれた様子だった。 そこで戦闘があった事は分かるが、それ以外の何かについては分からないな」
「精神支配などの可能性は?」
「それも分からないが、私はそれを警戒して追うのを止めた。 ただ、状況から見て、コボルドがミランダに攻撃を仕掛けていたので、何故躱さないのかと言う疑問はあったが、ああ言った行動をする精神支配を受けていたとは考えにくい」
「そうか……なら、ミランダに何か事情があったと考えるべきか……わかった。 今は追わずに様子をみよう。 アリアドネに相談した後、伝言書を使って三日以内に連絡するように伝える。 それで連絡がなければ……場合によればミランダと敵対する事になると思っていてくれ」
「……了解した」
僕は拠点に戻り、アリアドネに精神支配について聞いてみると、色々な種類があるようだけど、アトラスの意見と同様に精神支配を受けた可能性は、低いとアリアドネも判断した。
もし、ミランダが精神支配を受けての行動だった場合、連絡を取る事自体が危険な行為に繋がる可能性もあるし、僕達の情報を話してしまうようなら直ぐにでも見つけ出す必要がある。
最善は尽くすけど、もし眷属達に危害が及ぶようであれば……
考えたくはないけど……最悪ミランダを打ち取る必要も覚悟していなければならない。
それが主として正しい判断だと思うから。
僕は伝言書を使い、ミランダに言葉を伝える。
事情を話せないなら僕は聞くつもりはない。
それでも、眷属達を守る為に主として判断をしなければならない。
三日後に捜索を始め、敵対するようなら迷う事なく、攻撃を仕掛けるつもりだ。
それまでに連絡をしてくれ。
帰りを待っている。
後は返事が来ることを祈ろう……
宿に戻り、日が昇るのを眺めていると、急に寝ていたセリルが体を起こし、目を覚ました!




