カチェスタのギルド
カチェスタの街か……久しぶりだな。
それにしても商人は大変だな、僕達も荷物を多く持っているので、街から街まで行くだけでも結構な税を取られる。
この街で滞在しようとは思ってなかったけど、馬を休める必要もあるし、二、三日ここに泊まろうかな。
僕達は馬車を預け、適当な宿を取る。
休んでいる間、何もしないのも勿体ないので、アトラスに留守番を頼み、ギルドで仕事を探してみると……周りが騒がしい。
ヴァジールのギルドと比べると、若い冒険者が多く、白金級の冒険者である僕は注目を浴びているようだ。
となりのミランダも、ここで見かけるのは珍しい金級の冒険者だし、仕方がないか。
仕事の依頼に目を通すと、獣人の夜盗が頻繁に商人の馬車を襲っているらしい。
報酬もかなり高く、数も多い事から、銀級の冒険者以上の冒険者じゃないと受けられない仕事だ。
獣人や亜人は不遇な扱いを受けている者もいるし、彼等にも生活はあるんだろう……
でも、夜盗をやっている獣人のせいで、他の獣人の迷惑にもなっているはずだ。
カウンターへ行き、この仕事を引き受け、夜盗の出る夜まで宿で待機する事にした。
アリアドネ達にも今夜は帰らないと伝え、暇を持て余していると、アトラスが話しかけて来た。
「ディル。 この仕事なら私とミランダに任せて貰えるか?」
「別に構わないぞ。 それなら俺はセリルの事を見てるから、二人でこの仕事をやってくれ。 それと、夜盗とは言っても獣人にも色々事情があるんだろうし、その辺りの事を聞いてみて貰えないか?」
「了解した。 ミランダが以前調べていた事と関係はありそうか?」
「そうね。 以前貴族の依頼で調べた時は、小さな獣人の組織が出来ていて、問題視するまでには至ってなかったんだけど、一年経って組織が大きくなっていれば、関係してる可能性は高いと思うわ」
「それならば、慈悲を掛ける必要もないとは思うが、善処しよう」
「ああ、そうしてくれ」
僕の街では住人の受け入れもやって行こうと思うし、獣人や亜人にとっても住みやすい環境を作れるならそうしたいと思っている。
獣人だけじゃないけど、悪事に手を染める者の話も知っておく必要が、僕にはあると考えているので、この仕事を引き受ける事が出来て、丁度良かったかもしれない。
日は沈み、アトラスとミランダは宿を出て行った。
いつまでも目覚める気配の無いセリルを横目に、魔法の訓練を開始した。




