反省会
拠点では眷属達が僕の事を慰めてくれる。
僕は厳しく叱られたいと思っていたのに……
オウルも僕の事を抱きしめて、「よく頑張りましたね」と頭を撫でてくれる。
誰かが正解を言ってくれるのだと思っていた。
しかし、誰も教えてはくれなかった。
僕は自問自答するしかなかった。
結局僕は何も思い浮かばず、只々、眠る必要のないこの体を疎ましく思うばかりだった。
「少し、落ち着きましたか? 今はセリルが目覚めるのを待ちましょう。 セリルが目覚めればきっと色々な事が分かるはずです。 ディル様が今やるべき事はなんでしょうか?」
「……。 僕に出来る事?」
「そうです! ディル様が今、一番欲しい物は何か、どうしたいのか、まずはそれから考えましょう」
「欲しい物なんてない。 どうしたいのかなんて分からないよ……」
「そうですか? 沢山ありますよ!きっと!」
アリアドネは薄い桃色の瞳で、俯いた僕を覗き込んで来る。
普段ならユリアンとしていたみたいに、色々な考察や状況の整理、そこから何をするのが得になるのかとか考えてくれるのに……
そうしないのは、僕に力がないからなのだろうか?
力が欲しい。
主として眷属達に誇れるような。
僕が主なんだ! 僕がしっかりしなきゃ!
「アリアドネ……セリルが目覚めるまでに、何が分かる?」
「そうですね、マニエルと言う道化師の男の話では、王子を殺害するのが目的だったような言動をしていましたね。 ですが、その男の実力は周囲に居た精鋭を軽く葬る程の実力があったと。 それなら、暗殺すれば済む話なので、王子殺害が虚言である可能性もありますし、愉快犯のような性質を持っているのかもしれません。 相手がどういった勢力なのかは不明ですが……戦力的は面や突然現れた悪魔の軍勢の事を考慮すれば、そのマニエルは別の魔境の主、もしくは眷属の可能性はあります。 今ある私達の知識で言えばの話ですが」
「わかった。 それなら僕達は更なる情報を集めよう。 セリルが目覚めるまでに出来る限りの事をやって、同じような事が起こらないように、力をつける! 今回の件の黒幕を僕は絶対に許さない、必ず打ち取ってやる!」
「はい! 良く出来ました! それでは、まずはディル様のホムンクルスと、セリルの体を治す事に専念して下さい。 やる事が沢山あっても逃げたりはしないので」
アリアドネに言われたように、宿へと戻り、回復に専念する。
リストの作ってくれたポーションは数に限りもあるので、全てセリルの為に使用するようにミランダに告げる。
僕のホムンクルスは回復傾向にあるし、市販のポーションがあれば使うし、療養している今の状態なら焦って使う必要もない。
セリルもまだ気が抜けない状態ではあるけど、顔色も良くなって来ているので、そのうち良くなるはずだ。
外からは未だに喧騒が聞こえるけど、戦闘をしている様子はない。
沢山被害が出たんだ、まだ街の人は戸惑っていたり、混乱している人もきっと多くいるはず。
明日にはきっと、今よりも落ち着いているはずだ。
ガチャっと言う音が聞こえ、ドアの方を見ると、ボロボロで裸になったアトラスが部屋に入ってくる。
「ディル様。 ご無事で何よりです――が、私は少々、体を休ませる必要があるので、少し睡眠をとらせて頂きます」
アトラスはそう告げた後、バタンと床に倒れた。
ミランダは眠りに着いたアトラスについて、「何の心配もありません。 明日には目を覚ますでしょう」と言っていたので、僕も気にしない様にする。
アトラスはあの後、悪魔達と戦闘をしたんだと思うけど、どういう状況で裸になって、こんなにボロボロになるまで戦ったのか、僕が回復するまでに時間もあるし、アトラスが目覚めたら聞いてみるか。
ヴァジールの街には長く滞在する事になりそうだなとか考えながら、僕達は日が昇るのを待った。




