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悪魔の軍勢

 ジャレイフとの訓練の途中、急にセリルが走って来て、息も荒いまま言葉を口にする。


 「すぐに街に戻って! 魔物の軍勢が押し寄せて来ているの! 助けなきゃ!」


 僕は何の事かも分からないまま、セリルに言われるがまま街へ戻った。

 ユリアンはセリルと共に拠点に帰ったらしく、今いるのはいつも旅をしている四人だ。


 「ディル。 情報交換と悠長(ゆうちょう)な事は言っていられないな。 ここは危険だ。 一度拠点に戻り全員で待機しよう」


 「駄目! 街の人を助けなきゃ! お願いディル! 皆を守って!」


 「どうしたんだセリル? 様子がおかしいぞ――でも、俺達四人が固まって動けば大丈夫だと思う。 名声を得る事が出来れば情報も得やすくなるかもしれないし、少しくらいなら活躍したっていいんじゃないのか?」


 「安全が最優先だ。 しかし――ディルがそう言うのであれば、私達はそれに従うまでだ」


 「ありがとう。 宿を出るぞ!」


 宿を出ると空を覆う真っ黒な影が目に入った。

 第四階層で見た様な悪魔達の軍勢だ……


 あんなのに攻め入られたらこの国は亡ぶんじゃないだろうか?

 そんな事を考えながらも、悪魔達が集まる方へ向かうと、そこはヴァジール帝国の城だった。


 貴族街の奥にある城は、今は兵士も立っておらず、城の防衛に(つと)めているようだ。

 城の周りは騎士達に囲まれていて、すでに悪魔との戦闘を繰り広げている!


 悪魔の一撃で何人もの兵士が命を奪われるが、帝国の戦力も負けていない。

 帝国の精鋭部隊は悪魔に押し勝っており、数多くの魔術師達が空にいる悪魔達目掛けて一斉に魔法を打ち放つ!


 他にも弓兵が矢を打ち、悪魔達もどんどん撃ち落され、足の速い精鋭部隊員に止めを刺されていく。


 僕達の方にも悪魔がやって来たけど、アトラスがしっかり食い止めてミランダと僕で止めを刺していく。

 セリルは突然走り出し、何処かへ向かっているようなので、僕達もその後を追いかける。


 「セリル! 何をしている! ここは危険なのだ! 勝手な行動は(つつし)め!」


 アトラスの怒声も気にせずセリルは走り続け、一つの小隊と出くわす。


 「君達は冒険者か! 国の危機に手を貸して頂き感謝する!」


 名乗る事はなかったけど、周りと比べ、高貴な人間の指揮する部隊だとすぐに分った。

 そして、悪魔達の戦力もなぜかここに集中している事も……


 選りすぐりの精鋭部隊であろうこの小隊は悪魔が押し寄せてきてもまるで動じない。

 次々に悪魔達を返り討ちにして行くこの小隊を率いている彼は一体何者なのだろうか?


 僕達も負けじと悪魔を葬りさり、なんとか凌ぎ切った……


 しかしまだ空には悪魔達が残っていて、今にも総出で押し寄せて来そうな気配を感じられる。

 すると、空に居た悪魔達が散り散りになり、再び城を攻め始めた。


 ここにはその悪魔達の大半は来ないようだけど、代わりに別の悪魔が突然現れた。

 ただでさえ大きな悪魔達だったけど、それよりも更に巨大な悪魔が一体。


 目の前に居るだけで押しつぶされてしまいそうな重圧を感じる……


 さすがの精鋭部隊達もこれには(ひる)み、撤退の声が聞こえるが、この悪魔はそれを許してはくれないようだ。


 僕達の方にはさっきの悪魔が数体飛んで来て、彼等の心配をしている余裕はない。

 

 激戦は続き、ついには精鋭部隊達の戦線が崩壊してしまう!

 こっちもセリルの魔法の援護が急に無くなると言う非常事態が発生するが、なんとか悪魔達を片付ける事が出来た。


 セリルは何処だと視線を移すと、走って精鋭部隊の方へ突っ込んで行く。

 何を馬鹿な事を! あんな悪魔を僕達が相手にする必要はないのに!


 陣形が崩壊してしまった精鋭部隊に、巨大な悪魔は無情な一撃を振りかざす。

 セリルは何故か精鋭部隊を指揮していた青年を弾き飛ばし、セリルがその一撃を叩き込まれてしまう。


 (かす)っただけなのに、セリルは地面に叩きつけられて、跳ね返ったセリルの体は宙を舞った……



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