ヴァジールダンジョン 第三階層
話し合いの結果アトラスとユリアンが一緒に街の探索をして、ミランダがダンジョンや魔境の数を調べる。
そして僕とセリルでダンジョンの第三階層の探索をしてみる事にした。
ダンジョンの場所はこの街の北西にあって、そこまでの道は舗装されている為、すぐ分かるとアトラスが教えてくれた。
街の北西に向かうと、確かに道が補装されている……
もしかしたらこの街が実は魔境なんじゃないかと勘繰って見るけど、セリルが問題なく≪ゲート≫を使えるので、魔境ではないと判断した。
ダンジョンへ行く途中の道に、門と兵士が立っている。
ここで税を取られるんだろうけど、冒険者の荷物を見る訳ではなく、通行料と称して人数分の税を取るみたいで、僕達もそのお金を払いダンジョンへと侵入する。
アトラスやミランダが居ないので、せっかくなので地図を購入する。
地図には第二階層までのざっくりとした道が掛かれていて、セリルの視界と併用すれば迷わなくても済むと思う。
帰りは税を取られる事はないみたいだけど、道も補装されているし、人目が多いから≪ゲート≫は使いにくいかな?
僕達の足ならそう離れた距離と言うわけでもないし、気にせずに徒歩で通うとしよう。
カチェスタのダンジョン同様、第二階層までは人も数人いて、最短距離で進めば魔獣とも出会わないようだ。
ただ、このダンジョンは丘のある草原になっていて、とても広い。
セリルの指示に従い、歩いて行くと、問題なく第二階層への入り口も見つけて、第二階層も草原だったので問題なく第三階層まで辿り着いた。
「ここも草原か。 セリル、魔物の索敵は任せるぞ」
「うん。 任せて!」
僕は道に迷わないように、セリルに聞きながら大雑把に地図を書き込んで行く。
いくつか丘があるので、そこを目指して歩いて行くとセリルが魔物を見つけてくれた。
僕は地図を鞄に入れて戦闘態勢を整える。
「相手はどんや奴だ?」
「あの丘の麓に群れを作っているみたい。 数は五、鳥の魔獣よ」
「鳥かぁ……僕の出番は少なそうだな」
「そうね! 私が全部やっつけて上げる! お姉さんだから!」
獲物に近づき、セリルが≪グラビティサークル≫で動きを鈍くした所を狙って、僕が突っ込んで行く。
鳥の魔獣は逃げようとしたけど、飛び立つ前に二匹狩る事が出来た。
セリルは飛び立った魔獣を≪ストーンバレット≫で狙い撃ち、さらにベクトル操作を使ったのか、急に鳥達がバランスを崩し地面に落下していく。
そのうちの一匹を僕が止めを刺し、セリルも残り二匹に止めの≪ストーンバレット≫を打ち込んだ。
「カチェスタと比べると、大した事ないな」
「私達が強くなったのもあるけど、私が居なければもっと厄介な相手だったよ」
「確かにそうかもしれない。 こいつ等は軽そうだし、あと一回くらい魔物を倒しても大丈夫かもしれないな」
僕の言葉の後にセリルは笑みを浮かべ、左目の瞳が輝き、何かの魔法を使う。
すると鳥の一か所に固めていた鳥の魔獣達が光の中に沈んで消えてしまった。
「何をしたんだ?」
「左目の魔眼の力よ。 私専用の空間があって、そこに魔獣を収納したの。 マジックアイテムの本を参考にしてやってみたら出来たわ。 名前とか決めてないけど、ストレージビジョンって事にして、≪ストレージ≫でいいかな?」
「分かりやすくていいな。 それにしても便利な能力だな……どれくらい収納出来そうなんだ?」
「イメージ的にかなり大きな部屋だから、カチェスタのトロルくらいの大きさでも五体くらいはいけると思う!」
「それじゃあ、まだまだいけるな。 よし、奥へ進もう」
次の丘の辺りまで行くと大型の魔物を見つける。
大きな猿のような魔獣が二匹。
僕が突っ込んで行くと、猿の魔獣は咆哮を上げて僕を迎え撃って出る。
猿の攻撃を受け止める事も出来るとは思うけど、僕は叩きつけてきた腕を、切り刻みながら受け流すようにしてさらに前進する。
懐に飛び込んだ僕は、魔獣の脇の下辺りに剣を差し込み距離を取る。
差にがにこれだけじゃ致命傷にはならない見たいで、猿の魔獣は元気よく僕に突っ込んでくる。
セリルは≪グラビティサークル≫で足止めしながら≪ストーンバレット≫を打ち込んでいるようだ。
猿の魔獣は体も大きいし、≪グラビティサークル≫の効果が高いようで、ノロノロと動く魔獣はセリルにやられ放題にされている。
僕の方も出血によって動きも鈍っているし、首を狙い、届かない時は足の付け根あたりを狙って動きを鈍らせていく。
猿の魔獣も大した危険もなく、倒しきる事が出来た……
「セリル……第四階層に行ってみないか?」




