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冒険者ビルとの出会い

 宿へ帰ると何故か裸のアトラスとミランダが膝を着いて謝罪の言葉を口にする。

 僕に危険が及んでしまった事を不甲斐ないと思っているようだ。


 これからはすぐに駆け付けられるように、いつでも連絡が出来るマジックアイテム等の情報を調べてくれたみたいだ。


 伝言書と言う封筒に紙が入っているマジックアイテムで、かなり高価なものだったらしいけど、手持ちのお金でなんとかなったので一つだけ購入してくれて来たようだ。

 何かあった時にはアトラスに連絡を取るれば良いみたい。


 他にも魔法によって通話が出来る者もいるらしい。


 他に有用な情報は特にはなかったけど、ダンジョンから更に北に行った所に山があって、そこには恐ろしい魔獣がいたそうだ。


 もう討伐されてしまったらしいけど、その魔獣の素材から作った装備はヴァジール帝国の英雄が身に着けているとの事だ。


 そして、一つ悪い知らせがあった。

 アトラス達に渡していたお金が底をつき、装備を修繕(しゅうぜん)するお金を渡すと、物価の高いこの街の宿だとあと三日分の宿代くらいしか残らない……


 服を着る事が出来ないアトラスは宿で待機して、魔法の訓練にでも(はげ)んで貰うように指示をだす。

 ミランダには僕に着いて来て貰って、金策の為、三人でダンジョンに潜る。


 行動が決まった僕達は、街へ出てアトラスの防具の修繕を近くの鍛冶屋に出して、その近くの店で適当な服も選ぶ。

 日の沈む前くらいに取りに来ると伝えて、僕達はその足でダンジョンに向かう。


 人目のつかない場所で≪ゲート≫を使い移動時間の短縮をする。


 あれ? いつもいるはずの冒険者達が今日は見当たらず、ダンジョンの入り口の前に数人いるだけだ。

 僕達がダンジョンに入ろうとすると、その人達が声を掛けて来た。


 「坊主達、その様子だとギルドに顔だしてないようだな。 ここはしばらく通行止めだ。 詳しい情報はギルドで聞いてくれ」


 ギルドの関係者か。

 何か事情があるなら仕方がないし、僕達は(かかと)を返してギルドへ向かう。


 ギルドで事情を聞くと、どうやら一本角の獣人が出たらしく、ダンジョンは未だかつてない程の危険な場所となっているらしい。

 一本角の獣人? 一人心当たりがあるけど普段街で情報を集めているアトラスが原因と言う訳じゃないだろう……


 伝説の獣人とまで言われているのなら、今すぐ調べる必要もない。

 そんな事よりも金策が奪われてしまった為、仕事を探さないと。


 掲示板を見ていると(ろく)な仕事がない。

 ダンジョンに潜っていた冒険者達が一斉に仕事を持って行ってしまったから、僕達の受けられる仕事がそもそもない。


 最悪≪ゲート≫で全員拠点に戻れるし、宿がなくても困らないけど、冒険者すらまともに出来ない主はさすがに格好が悪い。

 立派な主となるにはこれくらいの困難は軽く超えなければならないだろうと、ミランダとセリルに話すと、二人共僕を褒めてくれた。


 ギルドの職員に何か良い仕事がないかと相談すると、お手上げの手振りだけして相手にしてくれなかったので、自分で考えないといけない。

 

 普段冒険者達はダンジョンに潜ったりする人が多くて、仕事に手を焼いている人もいるのではと考え、ギルドの職員に許可を取り、手を焼いている仕事があれば、報酬の半分でそれを手伝うとミランダに書いて貰った紙を張り出す。


 ギルド内でしばらく待機していると、屈強そうな冒険者の男性に声を掛けられる。


 「俺はビルって冒険者だ。 普段は二層で一人で狩をしている。 いい仕事があったんだが、一人じゃ手に負えなくてな。 手伝ってくれるんなら有難いんだが、聞いてくれるか?」


 「ああ、勿論! 俺達も仕事がなくて困ってたんだ。 報酬は半分渡してくれればいい。 それでどんな仕事なんだ?」


 「コボルドの巣の駆除だ。 奴等はすばしっこいし攻撃力も高いからな。 仕事がなくて我先にと手に取ったまではいいんだが、一人じゃ厳しくてな。 他の奴を雇おうと思ったんだが、ここぞとばかりに吹っ掛けて着やがる。 違約金も払いたくなかったしな。 それであんた等の書き込みを見つけて声を掛けたってわけよ」


 「なるほど、こっちは問題ない。 道が分ってるなら案内してくれ」


 「ビビらねえって事は腕に自信がありって事か。 あんた等に頼む事が出来て良かったよ」


 ビルの話によると、近くの平原でコボルトが集落を作っているらしく、それなりの武装もしているようなので、頭目とされるコボルドはなかなか手強(てごわ)いとの事。


 集落に着くまでの間、冒険者の話を聞く事が出来て一本角の獣人の話も聞く事が出来た。

 といっても今回の事ではなく、御伽噺(おとぎばなし)の方だ。

 かつてあった獣人の国の物語で、王女と恋に落ち、駆け落ちをしようとするが、それがばれてしまい、男は捕まり、王女は死を選ぶ。


 男は怒りに打ち震え、呪いの声を上げて一本角の獣人となった。

 呪いの体は赤く、どの獣人よりも大きな体になり、国が亡ぶまで暴れまわったと言う物語だ。


 そんな奴が現れたなんて信じられないけど、それならダンジョンを封鎖する事も分からなくもないか……

 それにしてもビルはミランダの方ばかり見ているな……

 何か(かん)ぐっているのか?


 「ビル。 ミランダが気になるのか?」


 「あ、い、いや! こんな美人近くで見た事がないからな。 ジロジロ見るのは悪いと思うんだが、見ちまうんだよ。 気を悪くしないでくれ」


 そういう物なのか? ミランダが美人なのは分かるけど、いつも見ているし、ビルの感覚っていまいち分からないな……

 

 そうこうしている内に、目的の集落に着いた。

 思っていたより数は多く、百近くいるんじゃないかと、ビルは言う。


 殲滅すればコボルドの爪や牙は安価だけど、数があれば馬鹿に出来ない事を教えてくれる。

 コボルドから取れる素材も半分貰える事になった。


 目的は殲滅だが、真正面から立ち向かえば、半数以上は逃げてしまう。

 その為、コボルドの仲間意識の高さを利用し、女、子供のいる場所を先に攻め落とせば逃走を阻止し、殲滅が出来るとビルが提案した。


 綺麗事を言いたいわけじゃないけど、ビルの作戦を聞いた時、嫌な感じがした。

 殲滅するつもりだし、それをやるだけの理由もある。

 けど、最初から女、子供を狙って攻撃して、残ったコボルドの掃討を行うのか……


 どう決断していいのか迷ってしまう。

 どうせ殲滅するんだと思って、このままの作戦で行くのか、コボルド側から見て非道な行いを避けるべきか……


 僕が考え込んでいるとセリルが横から口を開いた。

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