新たな眷属ジャレイフ
アトラス達を待っていたらミランダが入って来て眷属になるかもしれない没落貴族の老人を連れてきていると説明を受け、今は本体の方で彼を待っている。
一応危険がないようにと言う事で、オウルとアリアドネが待機している会議室に彼を通し、僕はその後で登場してくれとの事だ。
「ディル様、アトラスとミランダが老人を連れて来られました。 こちらへ」
僕はオウルに連れられ、老人の前に姿を現し、席へ座る。
夜通し改装とかしてた甲斐もあって、それなりに綺麗に見える。
「拠点はまだ作ったばかりで、こんな場所で顔を合わせるのを許して欲しい。 僕がここの主、大森林の魔境の支配者ディルだ。 僕の眷属、君達人間の言う所の家族になって欲しくて君を連れてきてもらった。 んーっと……どうかな?」
僕を見る老人の姿は何故か酷く動揺しているように見えた。
しばらくその場で立ち竦んでいたけど、急に膝をつき、腰に下げていた剣を床に置いてから頭を下げて口を開いた。
「偉大なる魔境の主ディル様! この儂を止ん事無き御身にこの身を捧げ、お仕えする事をお許し下され!」
まだ眷属化もしてないのに、なぜこんな忠誠心剥き出しの言葉を向けらているのか僕には分からない。
オウルと目が合うと、首を横に振ってくれるけど何を伝えたいのかは、分からない。
彼と接触したアトラスとミランダならと思って視線を移すと、二人も困惑した表情だったので、二人にとっても想定外だったと言う事か……
「うん。 いいよ」
僕が近づきに手を差し出すと、周りの眷属達の緊張が伝わってくる。
老人は微動だにせず、剣にも手を掛けていない。
老人の肩に手を触れ眷属化のスキルを使うと、問題なく眷属となった。
「今日から君は僕の眷属ジャレイフだ」
光に包まれ、ジャレイフと名付けた彼は魔族へと進化し、若返る。
白髪の目立っていた髪は金色の美しい輝きを取り戻し、歳で言えば二十台前半くらいだと思われる容姿となった。
「新たな名前、そしてこの体! このジャレイフ! 心の底より感謝を申し上げる!」
意外な反応を続けるジャレイフだけど、僕への忠誠心は眷属化も出来た事から本物のようで、なぜ忠義を尽くそうとするのかなんて、主である僕から聞くわけにもいかない。
彼の役割はオウルとアリアドネと軽く相談して既に決めてある。
「うん。 よろしくね。 それで、僕は日が昇る間は人間の街を旅をしていて、夜はこの魔境で活動しているんだけど、僕は剣の扱いが下手でね。 それで夜はここで僕に剣術を教えて貰いたいんだ。 それと、この拠点の防衛も任せようと思う。 有事の際はアリアドネの指示に従ってくれるといい」
「御意!」
これ以上どう対応すればいいのか分からなかったので、「後はアリアドネに任せるよ。 それじゃあ僕は街へ戻るから」と、この場に居たセリルとアトラスとミランダに宿に戻るよう指示を出し、僕はホムンクルスに精神を移した。
「ねえ、あれはどういう事?」
「私が接触した時にはあのような人物ではなかったのですが……ディル様に心当たりがないのだとすれば、ジャレイフに何らかの都合があったとしか……」
「そうか、一応アリアドネ達にも後で聞いてみるけど、ミランダも接触する機会があればそれとなく聞いておいて」
「畏まりました」
何はともあれ、これで眷属化と眷属召喚も、今できる上限まで達成する事が出来た。
そして……僕を含め、魔族が三人になった事が条件だと思うけど、魔族を魔獣と同様に召喚する能力に目覚めた。
今戻ってアリアドネに伝えるのは気まずいから、今夜戻った時にでも伝えるか!




