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~ミランダ視点~ 夜のお仕事2

 ディル様はお土産を持って元気にお戻りになられた。

 感情表現が(ゆたか)な人で本当に可愛らしい主様。

 こんな事を思っているなどとは、口が裂けても言えません。


 「さて、我々もあの没落貴族の老人に会いに行こうか」


 「ええ、私達の印象は良くないと思うのだけど、失敗すれば次の街で別の人物にアプローチをかけましょう」  


 アトラスと共に老人の屋敷に着くと、部屋からは光が漏れている。

 

 「居るようね。 それじゃあ潜入の得意な私が行くから、アトラスは外で様子を見ていて」


 「分かった。 君が危ない目に合うようだと判断すれば扉を叩き割って君の元へ向かおう」


 「任せたわ」と返事をした後、≪流体移動≫を使って物音一つ立てずに隙間から、人間の気配のする部屋へと侵入する。


 「ほう、アサシンか。 儂なんぞの首に金を払う馬鹿がいるとは思えんが?」


 ……嘘? 私の存在に気が付くなんて……音も匂いも無いはずなのに……やはりこの老人は只者ではないのかもしれない。


 「さて……殺すか。」


 「待って!」


 恐ろしい殺気を感じた。


 この男は剣士、斬撃に関してはほぼ完全な耐性を私は持っているけど、確証はないけど確信はある。


 この男は私を殺せる。


 「その声は……ああ、馬車で遺体を運んで来た冒険者じゃな。 やはり人外であったか。 はっはっは」


 私は姿を現し、この男に話しかける。


 「こんばんは。 別にあなたに害意(がいい)を持って近づいたわけじゃないわ。 あなたを勧誘しに来たの」


 「嘘は言っておらんようじゃの。 儂の様な老いぼれを勧誘か。 物好きな奴もおったもんじゃ。 儂に何をやらせようと?」


 「それは私の主が決める事。 恐らくは一緒に旅をするか、拠点の防衛、主の剣術指南役も務めて貰うかもしれないわね」


 「退屈しとったし、内容は悪くない。 それで儂の報酬はなんじゃ?」


 「不老と不眠不休で動ける体、そして若さよ」


 「儂をアンデッドにでもするつもりか? いや、お前さんを見る限りそうではないか……しかしあの遺体を見るにお前さんの主も残酷で惨たらしい事を好むのか?」


 「主は慈悲深き寛大な心の持ち主よ。 あの遺体は訳あって甚振(いたぶ)る必要があったけど、そこに私達の趣向が混じり楽しんだと言うのも事実だけど主様は違うわ」


 「そうか、人外の主に仕えると言うのであれば儂は人間社会と離れると言う事でもあるな。 そうかそうか、断ったらどうする?」


 「何もせずこの街を立ち去り、次の街で別の人を勧誘するわ」


 「冷たいのぅ。 実は儂に恋慕の情を抱いているとかじゃったら二つ返事で引き受けるんじゃがの……そうじゃ、儂を勧誘すると言うのならセクシーに勧誘してくれんか?」


 「……?」


 しばらく老人を見つめていたけど、冗談を言っているようには見えなかったので、来ている服を下着姿にして「どう? 私の主に仕えて見ない?」と誘ってみると……


 「いかんいかんいかんいかん、そんな平気な顔で脱ぐ奴がおるか」


 っと言って、老人が膝を温めていた毛布を私に羽織(はお)らせた。


 「こんな物なくても私は能力で服を着る事が出来るんだけど、服を着た方がいいのかしら?」


 「いや、その感じがええ! そうじゃな。 一度その主とやらに会わせて貰えるか?」


 この男の思考は読めないし、妙に勘が鋭い。

 ディル様に会わせるのは危険かもしれない……


 ガチャっと扉の空く音がしてアトラスが姿を現した。


 「いいだろう。 私達の主に会わせてやる」


 「アトラス、何を勝手な事を!」


 「問題ない。 私と君の二人であればこの老人にしてやられるような事は無い」


 「ほう、そうか。 ならば今からでも会いにいけるがどうする?」


 「構わん。 何か用意があるなら準備をしろ」


 「準備などないわい。 この剣だけ持っていけば事足りる」


 「そうか、では着いてきて貰おうか」


 アトラスに先導されて、宿の方へと向かう。

 急に出てきて何を勝手な事を……でも確かにこの老人に気圧(けお)されて、弱腰になりすぎていたかもしれない。


 それにしても……人間の男はどうしてこうも女性の体に興味があるのかしら?

 この老人さっきからずっと私の下半身を見ている。


 「しかし人外とは言え、美人じゃのう。 明るい髪色に真っ直ぐな髪! 薄い唇に大きなおめめ! お人形さんみたいじゃぁヘヘヘ!」


 「あなた程下品ではないけど、あなたと似た趣向の女性がいる。 主に仕えるならきっと仲良くなれんじゃないかしら?」


 「それは本当か!? いやいや! 儂はこう見えて一途じゃからな! あんたと結ばれたらあんた以外の女性は見ん!」


 「ご安心を。 私にはそもそも性別がない」


 「構わんよ! 儂が勝手に恋に落ちるから! そばに居てくれるだけで満足なんじゃ。 儂のそばに居ってくれんかの?」


 「宿に着いたので静かに。 日も登ってきたし主様は戻って来ているかしら?」


 「ああ、セリルと共には部屋に戻って来ている」


 先に部屋で待っていたディル様に事情を説明して、本来のお姿に戻って頂き、部屋へ老人を通すと、案の定セリルを見て気分が高揚しているよう、無視して≪ゲート≫で拠点との扉を繋げて貰って全員揃って拠点へ辿り着いた。



 

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