魔獣との戦闘
戦闘が始まり突撃したアトラスを四匹の魔獣が取り囲む。
距離を取られアトラスの攻撃は届かないが、持ち前の索敵能力で、後方で隙を窺う魔獣にも警戒を怠らない。
僕達が距離を徐々に詰めて行き、セリルは≪ストーンバレット≫を狙いを定めて打ち続ける。
たまらず二匹の魔獣がこちらに向かって走って来たので僕とミランダで一匹ずつ対処する。
魔獣の動きは素早いが、オウルの動きと比べればまるで大した事はない。
ミランダは攻撃を交わして細剣で的確に急所を突き、交わるごとに目や鼻、足の付け根やお腹の毛の薄くなっている部分に細剣を突き立てていく。
僕も負けじと剣を振り回して殴り倒す。
先に魔獣を倒したミランダが僕の方の魔獣にも止めを刺して、三人でアトラスの応援に向かう。
アトラスも一匹仕留めているけど、手傷を負っている。
再生能力もあるし大した事はなさそうだ。
僕達が接近して来ているのに気付いたのか、残りの魔獣は逃走しようとして、二匹はアトラスが取り押さえて、もう一匹はミランダの≪流体移動≫で先回りされて、細剣が深く目に突き刺さり、動かなくなった。
アトラスが取り押さえている二匹の魔獣を僕が頭を叩き割って戦闘は終わった。
アトラスが頑張ってくれたおかげで楽勝だったけど、こっちに三匹来ていたら少し手を焼いていたかもしれない。
「セリル、左目の魔眼のスキルを使って宿までこいつらを運ぼう」
セリルの魔眼が仮面の下で光輝くが何も起こらない。
「あれ? ここだと使えないみたい」
どういう事だ? そういえばここに入った時、妙な感覚を覚えたけどそれと関係があるのか?
「恐らくここでは転移系のスキルは封じられているのだろう。 似たような魔法がダンジョンや魔境では使えないと言う話を聞いた、魔眼は魔法を封じられても固有能力の発動が出来ると聞いていたが、ここでは無理なようだな」
「それは困ったな。 解体用のナイフも持ってきていない、俺の剣で代用は無理だ」
「私に任せて下さい。 肉と血が無くなれば楽に持ち帰る事が出来る思います」
ミランダが魔獣の口の中に手を突っ込むと、どんどん魔獣の体がしぼんでいく。
少し時間は掛かったけど、六匹全てが骨と皮っだけにだけになったので全部アトラスが担いで持って帰る事となった。
ミランダは湖の方へいって水の中に手を突っ込んでいたけど、何をしていたのかは気にしないでおこう。
帰り道もアトラスのお陰で、迷わず安全にダンジョンの入り口まで辿り着く事が出来た。
六体の獣を担いだアトラスを見て回りの冒険者達からちょっとした歓声が聞こえてくる。
目立つ事は避けた方がいいと分かっているけど、頑張った分、僕達に向けられた歓声は素直に嬉しいと思う。
そそくさとその場を離れ、人の気配が全くない場所で、セリルの魔眼の力で宿へと戻った。
セリルはこのスキルを≪ゲート≫と呼び、同じような魔法も同じく≪ゲート≫と言うので、もし見つかっても魔眼の力ではなく、魔法で作り出した扉だと言い張るつもりでこの名前にしたようだ。
魔法の≪ゲート≫もかなり希少で見つかれば色々と厄介事に巻き込まれそうだけど、魔眼の力だとばれるよりはマシだ。
ギルドの買い取りカウンターまでやって来たので魔獣の骨と皮を見て貰う。
「これ……どうやったんだ? 素材として使えない部分だけ綺麗に抜き取られたみたいになっているけど、特殊なスキルか何かかな?」
「企業秘密です」
「そうか、それじゃあ仕方ないね。 これだけ綺麗に素材を持ってきてくれるんだったら高値で買い取らせて貰うよ」
魔獣の素材を売って得たお金は、大体僕達の受けられる依頼の報酬の七倍くらいの価格になった!
これでしばらくはお金で困る事はないだろう。
アトラスとミランダにギムロスのお酒を買いに行って貰い、僕とセリルは薬師のおじいちゃんの店に行って育てられる薬草を買い込み、宿へと戻った。




