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街の北のダンジョン

 宿に戻ると三人揃って僕を迎えてくれた。


 アトラスとミランダは目的の剣士には出会えたようで、接触した印象は普通の人間だが、強いのは間違いないと言う事なので今夜勧誘の為の接触を試みるらしい。


 後はギルド内で魔境の事を少し聞く事が出来たらしく、一般的に魔境はアンデッドの巣窟と思われているそうだ。

 原因は分からないけど、他の魔境と呼ばれる場所はアンデッドが沢山いて、砂漠か荒れた山など、魔獣も住み付かないような場所らしい。


 魔境には高難易度のダンジョンがあるらしく、攻略に挑む冒険者もいるみたいだ。


 それにしてもここは物価が高くて、(ふところ)心許(こころもと)ない、少し金策をしないとな……


 「アトラスとミランダは今日も情報を集めにでるの?」


 「そのつもりでしたけど、御用があるのでしたらそちらを優先させて頂きます」


 「金策の為にダンジョンで狩をしようと思ったんだけど、どうかな?」


 「ダンジョンですか……四人での戦いの訓練にもなりますし、ダンジョンには冒険者も多いので情報収集にも向いてそうですね。 私は構いません」


 アトラスとセリルも僕の意見に賛同してくれた。

 今日は四人でダンジョンを攻略する!


 アトラスの情報によると第二階層にまでに出てくる魔獣はさほど金策には向いてないらしく、第三階層以降に出てくる魔獣の素材が高く売れると教えてくれた。


 街を出て北に進むと人だかりが出来ている。

 ダンジョンの入り口付近には冒険者達が集まっていて、地図を売っている人や保存出来る食材、ポーションなんかを売っている人も多くいる。


 相場は街で買うより二割増しって所か。

 僕達は自前のポーションもあるし、解毒薬も持っている。

 食事は必要ないし、地図だってアトラスが居れば道に迷わないだろうし、一度通った場所はミランダが記憶してくれる。


 遺跡のような入り口からダンジョンへ入ると階段を下る途中で妙な違和感を感じたけど、問題なく引き返せるようなのでそのまま進む事にした。


 ダンジョン第一階層は地下通路のようになっていて、空気がひんやりとして冷たい。

 四人分の足音が響き、アトラスが先頭を切ってどんどん進んで行く。


 最短で次の階層に行く道は、他の冒険者達もよく通るせいか魔獣と出くわす事もなく第二階層へ辿りついた。


 第二階層も見た目に変化はなく、最短の道を選んで突き進むと他の冒険者達とよくすれ違う。

 ここで狩をしている冒険者達だな。


 アトラスとミランダがその冒険者達の気配から、ここの魔獣は大した事がないと判断し、第三階層での狩も僕達なら問題ないだろうと判断する。


 第三階層へ辿り着くとダンジョンの雰囲気がかなり変わった。

 さっきまで薄暗い地下通路のような場所だったのに、湖のある荒野(こうや)のような場所が目の前に広がる。


 太陽は見当たらないけど、空? は明るい。

 普通に考えれば空なんて見えるはずがないんだけどここには空がある。


 「不思議だな。 なんで空があるんだろ?」


 「私にも理解出来ない。 そういうものと割り切る他あるまい。 それと、気を引き締めていこうか、ここに来て人の気配がかなり少なくなっている。 先程すれ違った冒険者では手に負えない魔獣が出ると言う事だ」


 そういえば演技をするのを忘れていた。

 僕からダンジョンへ行こうと言い出したのに、僕が気を緩めてしまってはいけないな。


 ここからは、アトラスが魔獣の気配を辿って狩をする。

 アトラスが警戒するように(うなが)すと、前方から黒い影が見える。


 見つけたのは、大人の人間と変わらないくらいの大きさの狼の姿をした魔獣で、しっぽが二本生えていて真っ黒な毛並みをしている。

 

 群れで行動しているらしく、全部で六頭。

 魔獣達も僕達に気が付いたようで警戒しながらこっちを見ている。

 

 「私が一人で突っ込み、奴等の統率(とうそつ)をかき乱す。 ディルとミランダはセリルを守りながら距離を詰めて来てくれ。 セリルは魔法攻撃で奴等を弱らせるんだ」


 アトラスの「行くぞ!」の掛け声と共に魔獣との戦闘が始まった。

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