闇魔法
「あ! おかえりなさーい! ディル様ー!」と出迎えてくれたのはリストでアリアドネの姿は見当たらない。
「アリアドネは何処へ?」
「アドネーさんわー、オウルとおでかけ? 森に誰かが住み付いた?みたい?」
二人で向かったのなら何か重要な事であるのは間違いないし、それなら仕方がない。
しばらくの間ここで魔法の訓練でもしておくか。
「あー魔法のたまぁーリストも遊ぶー」
僕が闇の素養で作り出した玉の形を変えると、リストも同じように水の素養で作り出した玉を同じ形に変える。
訓練で作り出す玉の扱いにも慣れた事だし、そろそろ僕も魔法として使えるようにしたい所だけど、闇の魔法って何をすればいいのか思いつかないんだよね。
イメージする事が肝心だって言ってたし、賢者のクラスを習得しているアリアドネに聞いてみたほうがいいか。
しばらくリストと遊んでいるとアリアドネが帰ってくる。
「あーん。 ディルさまぁ! すぐにお迎えする事が出来なくて申し訳ございません」
「アリアドネ、主をお慕いする気持ちは眷属として構わないけど、そんなに体を擦りつけたらディル様が困るでしょう」
「あらん。 オウルだってディル様の事抱きしめたいって思うでしょ!」
アリアドネはいつもこんな感じだな。
夢魔って種族の習性のようなものだとオウルは言っていたし気にしないけど。
「リストから聞いたんだけど、森で何かあったの? 誰かが住み着いたみたいだけど」
「はい、別の森からエルフ達がやってきて、この森に住み付いたようなので少し話をしてきました。 どうやらエルフ達の森が焼けてしまい、住処を探してここへ辿り着いたようです。 大した力は持っていなかったので、眷属にする価値はないかと。 ディル様が追い出せと命じるならそうしますが、どうなさいますか?」
「アリアドネ、エルフが住み着いて何か問題はあるのか?」
「数は三十人程でしたし、この広大な森で生態系にも影響を及ぼす心配はないですね。 悪意があるようならアリアドネには会話が筒抜けですし、むしろ情報源としては飼いならした方が無難かと思いますわ」
「分かった。 エルフがこの森に住む事を許可しよう。 でも、もしこの森で悪意のあるような行動を取る様なら殺して構わない」
「分かりました。 それでは私はエルフ達にディル様のお言葉を伝えてきましょう」
オウル出ていき、残ったアリアドネとリストに今日得た情報を報告する。
「魔眼の力は有用ですね! 新たな眷属はアトラスとミランダの報告しだいになりますし、ダンジョンですか……もし、行かれるのであれば情報を集め、安全な階層までにして下さいね! 大切なディル様に何かあっては困りますから」
「ああ、分かった」と返事を返すと、アリアドネからギムロスが酒を欲しがっていると聞かされて、それを聞いたリストも「薬草ほしー」と言って来たので今度買ってセリルの扉を使って持ってこようと思う。
しかし、リストは見た目はホムンクルスの僕と同じくらいの歳に見えるのに子供っぽい所があるな……ドライアドやアウラウネってそういう性格なのだろうか?
「アリアドネ、闇の魔法を使いたいんだけど、良いイメージが湧かないんだ。 何か助言してくれるとありがたいんだけど」
「闇の魔法はアリアドネも訓練をしていくつか使えます。 相手の視界を暗闇で遮ったり、どんな武器を持っているのか見せなく出来ます。 後は精神汚染を及ぼす効果もあるようなので、暗闇に閉じ込めればそれなりに影響を与える事が出来ますね。 魔力の力や精度によればピンポイントで狙った状態異常も引き起こす事も可能と思われます!」
「ありがとう。 イメージが固まったら試してみるよ」
攻撃にも防御にも使えそうだけど、やっぱりイメージしにくいな。
それからイメージも固まらないまま、夜が明けるまで魔法の訓練を続けてホムンクルスへ精神を移した。




