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セリルの魔眼

 今回二人が集めてくれた情報は三つある。


 まず、次に行く予定の街であるヴァジールの相場はここと同じか少し安いくらいらしい。

 そして、この街には若い冒険者が多く、北にあるダンジョンに潜る者が多いようだ。


 ダンジョンとは、特殊な地形をしている洞窟のような物で、いくつかの階層があり、先に進むと別世界にでも転移したような、それまで居た階層とは全く違う種類の階層があったりする不思議な場所らしい。


 冒険者達はそこで何をするのかと言うと、そこでは変わった魔獣や魔物達が出てくるらしく、その素材が高値で取引されると言う事と、マジックアイテムなどの遺物と言われる装備や道具なんかも稀に取れる事があるらしい。


 しかし、ダンジョンを踏破した人間は今の所いないようで、第四階層以降はあまりにも強力な魔獣が出現するので殆どの冒険者は第一から第二階層で狩をしている。


 第三階層も十分危険で、よほど腕に自信のある冒険者しか向かう事はないようだ。

 

 他には街のはずれにある屋敷に、若い時には名誉貴族の称号も受けた凄腕の剣士が居るらしく、眷属に勧誘してみてはどうかと言う話だ。

 

 その剣士は今では街の没落貴族と言われる程落ちぶれており、なんらかの事情で身元の引き受けがない遺体なんかを処理しているとか……人も多い街なのでそういう仕事もあって、それで食いつないでいるようだ。


 彼との接触はアトラスとミランダが引き受けてくれるそうなので、眷属として勧誘するかどうかは二人に任せるとしよう。


 そういえば聞きたい事があったんだった。


 「聞きたい事があるんだけど、魔獣と獣の違いってなんだろう?」


 「大きく違うのはその生態系にあるでしょう。 魔獣は魔法を使える者も多く、非常に知能が高いですが、獣は最も高い種でも人間の子供くらいの理解力しかありません。 魔獣は人間よりも知能が高い者もおります。 獣との違いで最もな部分で言えば、獣は子供を産まなければ繁栄出来ないのに対して、魔獣は自然発生する事があると言う事ですね。 その他には魔獣はかならずしも獣の姿をしておりません。 眷属であるリストと私は種族的に言えば魔獣ですから」


 そうなのか……知能は段違いで獣とは違う独自の生態系を持っているとかそんな感じかな?

 ミランダも魔獣か、説明を聞いてもいまいちピンと来ないし、結局どう対応するのかにそれ程の違いはないんじゃないのかって思う事と、どうやって見分けるのか良く分からないな……


 「わかった。 ありがとう。 後はセリルの魔眼には特殊な固有能力と魔眼砲を使えるみたいなんだけど、魔法も使えるようになったしどうなのかなって?」


 「そうね――魔眼砲は危ないと思うし、固有能力を試してみるね」


 しばらくセリルは集中して黙ってそれを見ていると瞳が光ったりしている。

 突然大きな扉が現れてその中へセリルが入っていくと、しばらくして戻って来た。


 「うん。 左目の瞳の能力は自分の記憶にある指定した座標と繋がる扉を作る事が出来るみたい。 川の上流にあった薬草を採収した場所を指定したら問題なくそこに繋がったわ。 右目の瞳の能力はベクトル操作。 指定した場所に矢印の形をした魔力を飛ばしてそこに加わった力を矢印の方向に向ける事が出来るわ」


 説明したセリルが実際に持っていた硬貨を投げて力の方向が変わるのを見せてくれた。


 「強い力には対しては効果がないみたいだけど練習すれば出来るようになるかもしれない」


 右目はともかく左目は凄い力だと思う。

 拠点と繋げればいつだって大量の物資を補給出来たり、逆に送る事も出来る。

 他の眷属を連れてくる事だって出来るし、ギムロスの作ってくれた装備だってすぐに取りに行ける。


 僕がセリルを褒めると「お姉さんだからね!」とまたお姉さんぶって自慢げに笑みを向けてくる。

 アトラスとミランダの話も聞くと、右目のベクトル操作はかなり厄介な能力らしい。


 「ベクトル操作、自分の周りに配置すれば飛び道具の(たぐい)は防ぐ事が出来る。 相手が踏み込み、力を加えた方向を変えられると言うのなら、近接戦闘を好む者に対して絶対的優位が取れるはずだ」


 アトラスの言う事は最もだ。

 聞いてるだけでこんなに厄介な相手はいないだろうと思うし、使い慣れればどんな相手にも優位に立てるのか……羨ましい。


 そういえば僕にも眷属の能力を僅かに得られるって特性があったな……


 僕の素養にはなかった水の魔法をイメージして手の平の上に魔力を込めると、闇の力の球体が浮かび上がった。

 どうやら素養の無い魔法は使えないみたいだ。


 オウルの翼をイメージしても翼が生えるわけではなく、飛燕を使うイメージをすると僅かに体がブレたような気がする。


 恐らく僕は魔眼を持っていないのでセリルの能力は使えないだろう。

 アトラスの嗅覚の恩恵はあるようで、目を(つぶ)っていてもはっきりと嗅ぎ分ける事が出来た。

 

 さすがにアトラスがやったように、ゴブリンが何処に潜んでいるのかまでは分からないとは思うけど……


 情報共有の時間は終わりだ。

 アトラスとミランダは再び情報収集の為に街へ行き、僕は拠点に戻ってアリアドネとまた情報共有をする。


 新たに眷属を増やすかもしれない事とセリルの能力、あとはダンジョンの事か、アリアドネがどんな反応をしてくれるか楽しみだ。

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