魔法と魔眼
僕はこの街で三日間外で過ごしただけだし思い入れもなければ、どこに何があるのかも分からない。
セリルはこの街で生まれたとしたら色々な場所を知っているかもしれないな……目を閉じたままでどうやって生きて来たんだろう?
出会った頃は碌に食事もとってなかったようだし、さすがにその事を聞くのも悪い気がするし、気に留めないでおくようにしておこう。
「あの場所は……ディル様。 あの教会に行ってみていいかな?」
「構わん、私に敬称は不要だ。 ディルと呼びなさい」
「アトラスの……真似?」
「子供っぽいって言われただろう? 変だった?」
「うーん……多分もっと若い人の話し方の方が合っている気がする。 私くらいの年の男の子の真似をすればいいんじゃないかな?」
「今の俺は見た目で言えば十七歳くらいだし、セリルと比べてもう少し大人っぽい方がいいかな。 こんな感じでどうだ?」
「うん! さっきよりいい感じね! それでいこう」
なんとなく話ずらいし少し格好つけているようで気恥ずかしい、このまま続ければすぐに慣れると思うしけど……慣れるかなぁ?
セリルと共に教会の前に立つ。
「ここには親を失った小さな子の面倒を見てくれる神父様がいるの。 私もこの街に来た時は最初はここで面倒見て貰ってたんだけど、追い出されちゃった。 それでも毎日じゃないけど仕事をさせてくれて、食事も与えてくれた」
「いい人なんだな。 どうして追い出されたんだ? 言いたくないなら別に話さなくていいが」
「いい人なのかな? 私にくれた仕事って小さな荷物を渡すお仕事だったんだけど、渡す人は決まって碌でもない人達だったの。 追い詰められているっていうか、人じゃない感じの……追い出されたのは私には働く能力がなくて、そんな人間の面倒までは見れないって言われたの。 だからその荷物を渡す仕事はきっと教会の人間がしちゃいけない仕事だったんじゃないかなって思う」
「そうか。 ここへは何をしに来たんだ? その仕事を確かめたいとか?」
「ううん。 お世話になって助けられたからね。 今は眼も見えるし、顔だけでも覚えておこうかなって思って。 でも、いきなり訪ねても変だよね……」
「確かにそうだな」と返事を返し、しばらくの間、立往生していると、教会の扉が開き、中から神父服を着た男が出て来た。
「おや? 何か用ですか?」
なんだ? この男は僕達二人を必要以上にジロジロと視線を上下させて見てくる。
セリルは何も答えないようだし、僕から「用はない、花壇の花が綺麗だから少し見ていただけだ。 もう行くから気にしないでくれ」と伝え、その場から離れた。
「あの人がセリルの言っていた神父か?」
「うん。 あの人の声で間違いない」
「街の人と比べるとなんだか太ってたし、あまりいい印象は持てなかったな」
「そうね。 でも顔が見れて良かった気がする。 街の探索に戻ろ」
それから夕暮れになるまで街を徘徊して宿へ戻ると、すでにアトラスとミランダは戻って部屋に待機していた。
僕達は特に有用な情報を持って帰らなかったけど、アトラス達は多くの情報を持ち帰って来てくれた。
まず、ミランダが文字の読み書きを習得した。
そして二人で魔法の事を調べている過程で、セリルの瞳が魔眼と言われるものの可能性が高いと言う事が分った事。
魔眼は他の種族にはなく、人間種のみが先天的に持っている事があるらしく、魔眼の持ち主は総じて体が弱く、魔眼の目は閉じている事が多いみたいだ。
ただ、両目共魔眼と言う記述は見つからなかったらしく、セリルが魔眼であった場合は物凄い希少な存在となってしまう。
魔眼の能力は絶大で、持っているだけで常に魔法を発動している状態になるらしく、魔法の精度や魔力量は普通の人間とは比べ物にならない程の成長をする事が出来るらしい。
さらに、魔眼には固有能力があるらしく、同じタイプの魔眼は発見されてないみたいだが、魔眼に溜まった魔力をいっきに開放する事で途轍もない威力の攻撃である魔眼砲は共通して使えるみたいだ。
魔眼持ちは希少な上に生き残れる事も殆どない為、世界には魔眼使いは五人と居ないとされる。
魔眼の持ち主で有名なのは、すでに討伐されて死んでいるが、魔女と呼ばれた女性で、たった一人で一国の軍の力も凌ぎかねない程の強さだったらしい。
魔法に関しては、まずどの属性の素養を持っているのか調べる必要があり、その為のアイテムはすでに購入済みだ。
属性は光、闇、炎、風、地、水、無、があり、どの程度の魔力量を込めた魔法が扱えるのかによって魔法使い専用の位があるようだ。
無はどの属性にも属さない魔法の事で、そこそこ珍しいと言う事だ。
他にも情報はあるけど、まずは魔法の属性を調べてみる事にする。
調べた結果、僕は闇と無、セリルは闇と地と無、アトラスは闇と地、ミランダは闇と水の属性に素養があるみたいだ。
素養は多くて三つ、それ以上持っている人はかなり稀らしいけど、僕達の中に三つ以上の持ち主はいない。
素養が分ったら魔法の訓練だ。
魔法は魔力を操る精度と、込める魔力、そして形をイメージするセンスが重要で、手の平の上に魔力を集中して、丸い玉を生み出し、それを持続する事で初歩的な訓練になる。
慣れれば玉を大きくしたり、別の形をイメージしたりして応用させるのも良い。
魔法に関してはこんな所だろう。
次は冒険者ギルドに着いてだ。




