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30話 付き合ってから1週間後

最終章 恋愛編の開始です。 2人を温かく見守ってくださる読者様に感謝いたします。誠にありがとうございます。これからも2人を温かく見守ってください。よろしくお願いいたします。

 心寧の告白で、2人が付き合い始めてから1週間が経った。


 なぜか、心寧と刀祢が付き合っていることは五月丘高校の生徒達に噂として広まった。


 心寧は五月丘高校でも美少女として有名である。そして刀祢は、険しい顔と不機嫌な態度で有名だ。その2人が付き合ったのだから、噂にならないはずがない。心寧と刀祢は美女と野獣に例えられて噂が広まった。


 心寧を狙っていた男子生徒達は、なぜ心寧の相手が刀祢なのかと不満をもらし、納得する者はいなかった。男子生徒達は心寧が思い直すように説得することに決めた。


 刀祢と付き合ってから心寧に告白する男子生徒達の数が増えた。



「心寧さんは、絶対に騙されている。目を覚ましてほしい」


「刀祢は良い人です。皆が誤解しているだけです。私が好きになった人です。刀祢を信じてあげてください」


「あんな野獣のような男はやめておいたほうがいい」


「私はそんな刀祢が好きなの! だから諦めてね!」



 心寧は告白される度に丁寧に断って、刀祢が良い人であり、皆が誤解していることを丁寧に説明していった。


 心寧の刀祢を想う、献身的な説得で、男子生徒達は心寧に惚れ直し、涙に暮れる日々を送った。刀祢のことが怖いのか、誰も直接的に刀祢に心寧のことで文句を言ってくる男子生徒はいなかった。


 昼休憩、刀祢はいつものように、机に顔を伏せて眠っている。刀祢の席の近くでは、心寧と莉奈が椅子に座ってお弁当を食べている。


 昼休憩に刀祢が寝ていても心寧が刀祢を起こすことはない。刀祢の寝顔を見て、安心したように微笑んでいるだけだ。莉奈はそんな2人を見て、ニコニコと笑顔でお弁当を食べている。



「刀祢くんって、起きてる時は不機嫌な顔をしているのに、寝ている顔は可愛いよね」


「莉奈、そのことは言ってはいけないの。刀祢が照れて寝顔を見せてくれなくなるから。刀祢は警戒心が強いから、静かに見ないとバレちゃう」


「心寧が黙って、いつも刀祢くんの寝顔を見て、満足しているのね。もう何だか聞いてるほうが照れるわよ」


「だって可愛い寝顔をみたいもの! だから黙って傍にいるの!」



 実は刀祢は熟睡している訳ではない。寝ていても耳だけは聞こえている。いつもの通りにしていたいので、寝ているだけだ。


 心寧と付き合い始めたが、男女の付き合いというものがわからない。心寧と顔を合わせるのが照れくさく、気恥ずかしい。



「刀祢くんは心寧と付き合って、照れてるんだと思うわ」


「莉奈、そのことも言ってはダメなの。刀祢の前でそれを言うと、もっと照れて、恥ずかしがって、私の顔を見てくれなくなるから」


「心寧は刀祢くんの性格をよく知ってるわね。熱い、熱い」



 寝てはいるが莉奈と心寧の会話は全て聞こえている。だから余計に顔をあげられない。刀祢はいつもの通りに眠りにつく。


 心寧は刀祢と付き合ってから少し変化している。まず髪をポニーテールからロングストレートに変った。これからは剣道の時だけ髪を結えばいいという。


 髪を下ろしている心寧を見ると、刀祢は未だに胸がドキドキする。まだ心寧が髪を下ろしている姿になれない。こんな美少女が自分と付き合って良いのか、自問自答してしまう。以前に刀祢は心寧にお願いしたことがある。



「心寧、普段からポニーテールにしてくれないか」


「髪を下ろしているほうが、刀祢が気に入ってくれてるから、下ろしておくね」


「――――――!」



 刀祢が密かに心寧のロングストレートを気に入っていることを心寧に見透かされていた。そのことが恥ずかしくて照れくさかった。


 心寧は毎日、お弁当を作ってくれるようになった。刀祢が早弁をしても以前のように文句を言ってこない。嬉しそうに刀祢が食べている姿を見て微笑んでいる。



「美味しい?」


「今日は美味しい」


「よかった。味がおかしかったら、いつでも言ってね。練習するから」



(そんなこと言えるはずないじゃないか!)



 そんなことを言われると緊張する。照れる。


 この1週間の間、心寧を見ては刀祢は照れている。そんな刀祢の姿を見て直哉がニコニコと爽やかに笑う。



「心寧と付き合って良かったな。2人が仲良さそうで見ていて嬉しいよ」


「直哉まで俺を冷やかすなよ!」



 直哉に言い返したいが、言い返す言葉が見つからない。刀祢は直哉から顔を逸らす。顔が真っ赤である。


 杏里は心寧の元に走って来ては、心寧に彼氏ができたことを羨ましがる。



「心寧が刀祢のどこが良かった――教えてよ!


「そうね。刀祢の優しい所かな。後、色々あって、全部言えないよ」


「刀祢は心寧のどこが良かったの? 女性のどこを好きになると付き合いたいと思うの?


「――――――!」



 刀祢は顔を真っ赤しに俯いて、無言のまま椅子に座っている。



「いいなー! 心寧は彼氏ができて! 早く直哉も私に振り向いてくれないかな! ねー直哉!」



 そして心寧に、刀祢のどこが良かったのか、色々なことを聞きたがる。心寧は杏里に問われても微笑むだけで答えない。


 杏里は噂好きで、聞いた噂を流す癖がある。だから、心寧は杏里には何も言わない。心寧は杏里の扱いに慣れている。



「心寧と刀祢のことをもっと聞きたいな。私も彼氏がほしいから。参考にしたい」


「杏里、直哉は直哉だよ。刀祢とは違うから参考にならないわ」


「そっかー! そうだよね!」



 刀祢は付き合うという意味がまだわからない。心寧は一緒に傍に居てくれるだけでいいという。だから、刀祢はいつもの自分のペースで暮らすことに決めた。わからないことで悩んでも仕方がない。



「刀祢は刀祢らしくしていればいいからね。そういう刀祢が好きなんだから」


「ああ、そうさせてもらう。 俺はやっぱり、俺らしくしかできない!」



 付き合い始めてからも、刀祢と心寧の暮らしには大きな変化はない。変化したことは、刀祢の近くには心寧が黙って一緒にいることだ。


 最近の心寧は以前より口数は減った。刀祢が心寧を見ると優しく微笑んでいることが多い。心寧の微笑みを見ると刀祢は安心する。


 心寧と口喧嘩ができないので少し寂しく思うが、常に一緒にいるので嬉しい。こんな繋がりが、付き合うということかもしれないと刀祢は思う。こういう付き合いも良い。

ブックマ・評価で、この作品を応援してくださった読者様に誠に感謝いたします。皆様のおかげで第2章を書くことができました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。



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