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プロローグ

現実恋愛で新作を投稿しました。応援をよろしくお願いいたします(#^^#)

応援してくださっている読者様、何卒よろしくお願いいたします(*^▽^*)感謝いたします(#^^#)

ありがとうございます(*^▽^*)

 剣斗ケント兄貴、公輝ゴウキ兄貴は優勝した。



(自分だけ負けられない)



 刀祢トウヤは竹刀を握りしめ息を吐いて、余分に緊張している力を抜く。


 相手も同じ小学校6年生の男子。自分より2歳年上の小学生である。


 毎日、剣斗ケント兄貴の剣の相手をしている刀祢トウヤが負けるはずがないと、自分に喝を入れる。


 激しい脚捌あしさばきをして、竹刀を上下に細かく振って、相手を挑発する。



「キィエィ――!」



 相手選手が刀祢に隙があるとみて、面を狙いに来る。


 刀祢は相手の竹刀に自分の竹刀を添わせるようにして相手の竹刀の軌道を変えさせ、そのまま、飛び込んで面を狙う。


 相手選手は首をひねって、間一髪の所で面撃ちから逃れる。



(後、少しだったのに! さすがに簡単に勝たせてくれない!)



 相手との鍔迫り合いをしのいで、一旦、距離を取って両方共に体制を立て直す。



「刀祢、頑張って―――! 約束守ってー!」



 遠くから、心寧ココネの応援の声が聞こえる。



(そう言えば、試合の前の日に、絶対に優勝してやるって約束してたんだった! これは負けられない!)



 心寧の声を聞いて、深く深呼吸をして、息を吐く。



(心寧にだけは無様な負けは見せられない。心寧は俺のライバルだからな!)



 同級生の新垣心寧アラガキココネは小学校1年生の時に、京本刀祢キョウモトトウヤの父親が経営する風月流剣術道場ふうげつりゅうけんじゅつどうじょうに通うようになった門下生だ。


 風月流剣術道場ふうげつりゅうけんじゅつどうじょうでは竹刀を使わない。木刀を使う本格的な剣術を教える道場だ。


 その厳しい稽古についてきて、腕をどんどんと上げてきている、負けず嫌いの心寧は努力家だ。


 今は刀祢のほうが強いが、これから先、心寧のほうが強くなる可能性もある。



(ここで勝って、心寧に良い所を見せておきたいな)



 刀祢は脚を前後にすり足をして、竹刀を相手選手の面の前で上下させて、相手選手の意識を面に集中させる。



「ウォリャァア―――!」



 今度は刀祢が奇声を上げる。相手選手が刀祢の竹刀を叩いて払って、横薙ぎに胴を狙ってくる。


 刀祢は横薙ぎの竹刀の先を叩き落として、そのままの勢いで相手選手の籠手を狙って、剣を小さく振る。



 審判達が赤旗を上げる。


 なんとか勝てた。後1本勝てば、優勝だ。すぐに第2試合が始まる。



「キィエィ――!」



 相手は奇声を発して刀祢を挑発する。相手選手には後がない。ずいぶんと焦っているようだ。


 面の中で息を整えて、竹刀を中断に構えて、ゆっくりとした姿勢を取る。刀祢はゆっくりと構えを固めて、一気に飛び出せるように準備する。



「キィエィ――!」



 相手が気合と共に飛び込み面を狙ってきた。それと同時に刀祢は相手の懐へ飛び込んで、胴を横薙ぎに一閃する。



「胴1本!」



 誰も文句のない1本だ。白旗が3本上がった。これで優勝が決まった。


 刀祢は礼儀正しく礼をして、試合場の外へ出る。


 面を取って息を吐く。すると心寧がタオルを持ってきてくれる。タオルをもらって、首に流れる汗を拭く。



「すごく恰好良かったよ! 約束を守ってくれてありがとう!」


「ああ、約束を守れて良かったよ」



 喜んでいる心寧と楽し気に刀祢は話をしていると、剣斗兄貴と公輝兄貴の2人が近寄ってくる。



「最後の1本は良かったが、最初の1本はなんだ。籠手など狙って、俺達の流派を汚すつもりか。もっと練習をしろ」



 刀祢は優勝できたが、剣斗兄貴と公輝兄貴の目からすれば、まだまだだったようだ。



「わかったよ! 訓練すればいいんだろう!」



 いつも、この2人は刀祢を褒めたことがない。いつも上から目線で刀祢を見下ろしてくる。


 そのことに刀祢は我慢ができず、俯いたまま黙った。悔しさに手が震える。心寧が刀祢を庇って両手を広げる。



「刀祢の試合はきれいだった。1撃ではなかったけど、すごくきれいな試合だった。誇っていいと思う!」



 心寧にそう言われて2人の兄達はそれ以上、刀祢に対して説教をすることはなかった。


 刀祢は心寧の見ている前で表彰台にのぼり、表彰状とメダルとトルフィーをもらい、片手を上げて、照れながらガッツポーズをする。


 心寧は顔をピンク色に染めて、小さく拍手をして、刀祢のことを満面の笑みで喜んでいた。



「刀祢、恰好いい! 大好きよ!」



 心寧は誰にも聞こえないような小声で、刀祢に向かってささやいていた。







 高校生2年生になった刀祢と心寧は、小さい頃の、そんな出来事も遠い思い出として忘れられていた。


 今の2人は2年1組の同じ教室で勉学してるが、2人の間には距離と壁ができ、クラスでの立ち場も大きく変わっていた。


 

            


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