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未来


 目が覚めると家のベッドに寝かされていて夢だったのかとよぎったけど、胸の上に1箇所だけ赤いそれがあって思い出して熱くなった後、夢じゃないと確信した。悠輔に電話をする。もし今日時間があるなら来てくださいと伝えると今から行くと言ってくれたので準備をする。

 朝ご飯を食べコーヒーを飲んでいると悠輔が現れた。


「日曜の朝からごめんね。とりあえず座って。」


「ああ、おはよう。別に暇だったから。」


「ありがとう。コーヒーどうぞ。単刀直入に言うね。私、浮気したごめん。」


 悠輔はコーヒーを一口飲んで話を聞いている。落ち着いているのでもしかしたらと思う。


「言い訳をするね。気が狂ったと思われるかもしれないけど。まず琥珀にあなたは鬼だと言われた。それでその後鬼が現れた。あなただと思ったの。私を助けてくれたから。でもあなたは知らない振りをしたから違うのかとも思った。でもたまにあなたにとても似ているの。だからあなたを重ねて鬼を愛してしまった。何も話さないあなたより。なんでも話してくれる鬼を好きになった。あなたを愛しているけど、先に鬼と関係を持ってしまった。」


「俺はどの俺が本当の俺か分からないんだ。」


「えっそれって。」


「そうだよ。俺は鬼だ。でも悠輔も鬼もあの時分からなくなった後作った人格だ。だからまだ俺は自分が何か分からないままなんだよ。」


 泣いている悠輔を思わず抱きしめる。やっぱり悠輔だったのか。あの鬼は悠輔だった。あの笑顔の面影はやっぱり悠輔だった。


「雪乃、この頃あたってごめん。雪乃が鬼に惹かれてる事の嫉妬と自分を失った悲しみが俺を押しつぶそうとしていたんだ。」


「私もごめんなさい。でも性格って変わるものでしょう?だから前の自分なんて分からなくても問題ないのよ。今何が好きか。何がしたいかそういう事は変化するものなのだから。今、何がしたい?」


「じゃあ悠輔を温めて。過去が気にならない位。」


「分かった。じゃあ行きましょう。」


 悠輔の手を引き寝室へ案内した。寝室までずっと唇を重ねて息も絶え絶えにベッドへ倒れ込んだ。

 服を脱ぐ時間も惜しい程早く悠輔を温めてあげたかった。

 

 全て終わって少し眠った後、2人で桜を見に行った。今年最後の桜。もう葉桜が混じっていて土の上はピンク一色だ。悠輔と桜を見上げる。この森の桜は本当にきれいだ。


「鬼に変わらない。」


 悠輔がつぶやく。


「どうしたの?」


「鬼に変わらないんだ。いつもなら桜の下なら変わるのに。」


「えっ。」


「変身もしない。できないんだ。」


「それは。」


「鬼じゃなくなった。」


「それは悠輔にとってどうなの?手放しで喜んでもいい?」


「ああ。嬉しいよ!」


「良かったね!良かったね悠輔!」


「ああ。良かった。」


 私達はその後ずっと桜の下で抱き合っていた。




 今はもしかしたら呪いに近いものだったのかもと考えている。悠輔が自分にかけた呪い。


「雪乃!来てくれ!未来が体を拭かせてくれないんだ!」


「やーい。パパここまでおいでー。」


「未来!」


「ママもここまでおいでー。」


「駄目だ勝てる気がしない。」


「私もよ。パパ頑張って!」


「よし。頑張るぞ!」


 結婚してすぐに子供を授かった。私の未来も悠輔の未来も閉ざされなかった。誰からも未来を閉ざされないように生きていく。


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