表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/17

3人の料理教室


 今日は金曜日だ。松岡さんと付き合い始めて最初の料理教室。今日は鯖の味噌煮か。あれから毎日涼さんは来てくれる。そういえば涼ちゃんだ。


「お姉さんに敬語使われるのも、涼さんって言われるのも気持ち悪いからやめて。」


 と昨日言われて言い直しているんだった。なんとも可愛らしい女の子だ。優しいし。琥珀が来ないか、何かしてこないか見張りに来ているようだ。大丈夫だと言っても気遣って来てくれるのだから申し訳ない。


「お姉さん来たよー。」


「涼ちゃんいらっしゃいませ。」


「今日はねオレンジジュース。」


「はい。お待ちください。」


 今日は一人のようだ。高校生で毎日カフェで飲食は財布には優しくないだろうな。本当に申し訳ない。


「はいオレンジジュースです。涼ちゃんこれはサービス。」


 そう言ってポテトフライを出した。せめてものお礼として。


「お姉さんありがとう。あのさ今日泊まっていい?今日ママとパパ旅行に行ったのそれで一人はなんか寂しくて。」


「うん。いいよ。今日前にいた松岡さんが料理習いにくるけどいい?」


「うん。私は別に大丈夫!」


「じゃあ今日の食事はお金いりません。」


「えーいやそれはお姉さん。」


「いいの今日は私のお客様だから。カフェのお客様じゃなくなったの。さあ噂をすれば。」


「こんばんは。雪乃さんと涼ちゃんだよね?」


「そっちは幼稚園の先生だ。あの時はどうも。料理習いに来たんでしょ。」


「そうだよ。君も食べていきなよ。鯖5切れ入ってるパックしかなくてそれにしました。」


 そして料理が始まり一通りレシピを伝えたら松岡さんは鯖の味噌煮を作ってしまった。涼ちゃんは料理を見ながらずっとポテトを食べていて私は涼ちゃんの為にポテトの追加を揚げている。涼ちゃんは本当によく食べる子で見ていて気持ちがいい。


「ねえお兄さんとお姉さんって付き合ってるの?」


 急に涼ちゃんが松岡さんに話しかける。松岡さんは驚きもせず答える。


「さてどうでしょう?」


 松岡さんは私を見ている。にやにやしながら見続ける。私は目を逸らしポテトを新しいお皿へよそう。涼ちゃんはポテトを食べてしまったようで新しいのを食べ始めた。


「まさか、お姉さんをいつの間に!」


「へへお兄さんはやる時はやる男なんですよ。」


「まさか手は出してないでしょうね?」


「ええまだ出していません。」


「うわあ。お姉さんなにかあったら助けてあげるからね。」


「うん。ありがとうそうする。」


 私は涼ちゃんの前のお皿のポテトをつまみながら頷く。


「大丈夫雪乃さんを傷付けたりしませんよ。」


 松岡さんがつまもうとすると涼ちゃんは皿をさっとひいて食べさせなかった。それでも松岡さんは笑顔のまま何も言わずに私の手からポテトをとって食べてしまう。なかなかできるな。


「へーどうだか。」


「さあご飯たけましたよ。ご飯にしましょう。」


 もう話題を変えてしまおう。何故2人は言い争っているんだろう。


「わー美味しそう。私魚も好きだな。早く食べようよ。」


「ええ食べましょう。お腹空いたよ。」


 涼ちゃんも松岡さんも大人しく席についた。ご飯をよそい鯖の入った皿を並べる。


「二人は何を飲みます?今日は珍しくお酒もありますよ。勿論涼ちゃんはだめですけど。」


「私ソーダで我慢しますー。」


「ふふ、どうぞ。松岡さんは?」


「じゃあビール飲んじゃおうかな?」


「はいありますよ。どうぞ。私もソーダにしよう。」


「じゃあいただきます。」


 皆、それぞれ食べ始める。涼ちゃんはポテトを全てたいらげた後なのにもりもりご飯を食べている。松岡さんはビールを飲みながらちびちびと鯖を食べている。意外と飲めるのだろうか顔色1つ変わらず1本あけてしまった後ご飯を食べ始めた。


「ご馳走様でした。私はそろそろ帰ります。涼ちゃん雪乃さんを困らせないようにね。」


 カフェの入り口で松岡さんが立ち止まり涼ちゃんをたしなめる。涼ちゃんは席から動かず食後のアイスを食べながら舌を出してべーっとしている子供っぽいところも可愛らしい。入り口から出たところで松岡さんが確認するように繰り返す。


「雪乃さん、日曜日!」


「駅前、11時!」


「はい、いい子だね!よしよし。」


 よしよしと口で言いながら頭を撫でられる。松岡さんは背が高いので見上げる形で話す。


「楽しみにしています!」


「ええ、私もです。じゃあおやすみなさい。」


「おやすみなさい。気を付けて。」


 手を振って見送るのもなんだか照れる。こんな感情久しぶりだ。カフェの中に戻ると涼ちゃんはまだ何かを食べている。2つめのアイス?


「お姉さん幸せそうだね。」


「そっそうかな?でもいい人なの。」


「そうだね。女子高生にあれだけおちょくられて怒りの感情が一切わかない人もすごいよ。いい人なんじゃない?まあ幼稚園の先生だしね。」


「もしかして試してたの?」


「それはどうかな?さあお風呂いただくね。」


 涼ちゃんが不敵に笑いながら2階にあがっていくのを少し呆れて見ていた。そこまで心配されていたのか。高校生に心配される大人って。せめて明日、朝ごはんたくさん美味しいものを作ってあげよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ