【閑話 グランエルの日常①】
生存報告がてらの更新。
次はいつ更新が出来るのだろうか……。
2話更新の1話目です。
【閑話 グランエルの日常①】
「クソ芋がァ!!」
「その気持ち分かるわ」
「え?あっ…」
味方チームの芋スナにキレてるプレイヤーを撃ち殺す。
キレるその気持ちは凄い分かるけど周囲への警戒を疎かにするのは無いな。
一瞬の油断が命取りになるこの戦場、常に狙われていると思わないとすぐに死ぬ。
まぁ……だからこそ、楽しいんだけどね。
「さて、リスキルして遊べば獲物が全部こっちに来るだろ」
腐ってもプロゲーマー。
上位陣以外には苦戦すらしない。
苦戦しないなら練習にすらならない。
なら、どうするか。
「質が無いなら数で補わなきゃね……あー楽しっ」
「めっちゃファンメ来てるんですけど」
楽しい。
蹂躙して終わった次の試合で味方だった芋スナが敵になった。
だから、殺した。
1度や2度ではなく、執拗に狙い、彼だけで30Kill稼いだ。
「こいつのファンメ微妙だなー……もっとこう………面白くないとダメだよ」
俺はとても優しいからな、晒さないでおこう。
そして、優しいからな。
ちゃんと返事を書いてあげよう。
『クソ雑魚芋スナの隠れそうな所はスレに画像付きで解説されてますけど知っていますか?ちゃんと情報収集した方が良いですよ^^』
間違いなく俺は優しいな。
これは全米が泣く、間違いない。
「……にしても…だ。キルレ落ちてるなー…………どっかで戻さないと仕事に支障が出るな」
MMOが原因ではない。
どちらかと言えば、闇金……DMGが原因だ。
「やっぱり少しの時間とは言えRTA1位だったのがダメだな。負けて悔しいからもう1度ってなってる」
VRとは言え、一応はRPGを名乗っている。
だから、一定数の人がRTAをする。
俺も面白そうだからって理由で参加し、一時的に……具体的に言えば約1日だけ1位になっていた。
「でもなー……新しいルートが見付からないと微妙な更新しか出来ないしな―……」
最初のRTAの記録は8時間台だった。
普通に狩りをし、金を稼いでステータスアップを図りつつプレイヤースキルでゴリ押す。
どこにでもある普通のRTA動画だった。
けど、俺はまったく違うルートを選択した。
初手両親殺害だ。
これで両親の装備と金と家を手に入れ、全てを売ってステータスに変える。
あとは普通のRTAルートと同じように四天王と魔王を殺してエンディングだ。
クリアタイムは大幅更新の5時間台。
ぶっちぎりのクリアタイムに誰もが驚き、初手両親殺害に追加で驚いていた。
「発想がサイコパスってめっちゃコメント付いてたけど皆真似してるんだよなー。いつも思うけど日本人サイコパス多過ぎじゃね?普通に受け入れすぎでしょ」
叩かれてこの方法は誰もやらないと思ってた。
が、クリアタイムの為なら平気でやってた。
海外勢やどっかの権利団体が見たら何て言うんだろう……気になる。
「んー………どっかでエンディング買えないかな……………………買えそうだな。探すか」
朝食を食べつつ、情報を漁りつつ、新しいルート構築を考えていた。
「で?どうだったの?」
「まだ見付かってない」
「レギュレーション的には大丈夫なの?」
「多分だけど魔王倒すルートとは別にする必要があると思う」
「だろうな……」
「何の話してんの?」
「「闇金」」
「え?…………あ、あぁ。あのゲームね」
エンディングの購入できるかの調査が難航し、気分転換にログイン。
そしたら、知り合いが結構いるクラン『ASTK』に捕まった。
あとは流れでダンジョンアタック。
おいしいダンジョンだといいなぁ……。
「着いたぞ」
「わーい………うっわ虫は嫌だぞ?」
「花のダンジョンかー……妖精ワンチャン?」
「妖精だと忙し過ぎるから逆に困る」
「蜜蟻かもよ?」
「「「「アリだー!!」」」」
「うるっさ……」
不朽の名作をVR版で再リメイクが行われている。
ドット絵の方がいいとか、VRだと何かが違うとか色々言われているけど、結構面白い。
何年、何十年と語り継がれてきたネタが今もまた使われるようになるのは感慨深いよね。
当時の事知らないけど。
「さてさて何が出るのか楽しみですなー」
「自動回復系の装備が欲しいからよろしく」
「SAN値の?」
「それもある意味欲しいね……HPで」
「ホームページ……」
「ヒットポイントだよ!!」
「うるっさ……」
いつものようにぐだぐだとしたやり取りをしながら洞窟型の入り口に入る。
俺だけ適正レベルに届いていないけど、まぁ問題無い。
回避能力だけを見れば俺が余裕でトップだからな。
なお、耐久力の無さは一番下だ。
「草原……いや、所々にでっかい樹と花畑があるな」
「……………………蜂が見える」
「種類は?」
「あー………蜜玉付いてるからミツバチじゃない?」
「盗まなきゃ」
「食べたいから売ってくれ」
「こ、子供が頑張って手に入れたアイテムを無理矢理奪うつもりなの……?ひどいよ……」
「中の人は余裕で大人だからセーフ」
「中の人などいない!………あ、中の人ってなぁに?」
「遅いから」
「探索しながらボス探すぞー」
「「「あいよー」」」
草原タイプは無駄に広いから大変。
どっちに行けばいいのか、どこを目指せばいいのかが全く分からない。
他のダンジョンは道があるからはずれか当たりかは別としてもどこを目指すかはすぐに分かる。
フィールド型のダンジョンはめんどくさいねぇ……。
「1番、グランエル。突っ込みます!」
「いけいけー」
逆に言えば、周りが全て見えているから奇襲に合い辛い。
視界が開けている分、普段よりも警戒がやや楽になる。
まぁ、そう言ってサボった瞬間に上や下から襲われて全滅ってのはよくある話なんだけどね。
高品質で美味しい蜜玉を盗む為、花畑に居る蜂に突っ込む。
集団で戦うミツバチなら俺のレベルでも―――
「ッ!?」
全力で下がる。
急停止でかなり身体に負荷が掛かっているけど、そんなのは無視だ。
「どうした?」
「………花が動いた?」
「は?」
「………擬態系の敵?花だと………ハナカマキリとか?」
「分からん……けど、風で動いた花とは違う動きだった」
本当に一瞬だけど、何かが違うと感じた。
右から風が吹き、それに合わせて揺れる花達。
けど、俺が近付こうとしていた花は違った。
「重いって言えばいいのか?他の花と違って、こう……揺れ幅?が違った」
「言いたい事は分かるけど………よくあの状況で引けたな」
「VRSプレイヤーは一瞬の判断ミスで死ぬからね。少しでも違和感を感じたら即危険信号を出すんだよ」
「はー……相変わらずあのジャンルの人間は意味が分からんね」
その気持ちは少し分かる。
普段と少しでも違う部分があればとりあえず攻撃する何て思考回路は独特だからね。
俺の発言を受け、索敵に特化したメンバーが確認に向かう。
擬態している敵がいる場合は一気に難易度が上がるからな、ここで存在するか確認しておきたい。
「ん?………んー……………うん」
「どうしたの?」
「あの蜂の巣があるやや上にさ、宝箱っぽいの見えない?」
「んー……………箱っぽいのは見えるね」
「箱よりも女の子のパンツが見たい今日この頃」
「分かる」
「でも最近パンツよりも太ももに注目してまして」
「マジッすか!?グランさんも遂に太ももに目覚めましたか!!」
やっべミスった……。
のんびり雑談してる中で下ネタを入れたらめんどくさいのが釣れてしまった。
「細い派ですか?それともむちむち派ですか?」
「チラリ派です」
「見え方重視派っすか………あー………そっすか………」
「すまんな。けど、ニーハイ上のちょっとお肉が乗ったのは、おっ……ってなったぞ」
「最高です………もっと語りましょう………」
「ここダンジョンだから今度な」
「はい!!」
よっしセーフ。
俺も人の事言えないけど、語られると長いからな。
流石にダンジョン内で安全じゃないのに延々と語られると大変だ。
「お前の守備範囲広くない?」
「正確に言うと守備範囲が定期的に変わるが正しいな。前は鎖骨だった」
「あー……分からなくもないかな?」
「おーい!確定!擬態してるのいる!」
また雑談をと思ったタイミングで索敵組から声が掛かる。
どうやら俺の見間違いじゃなく、実際に擬態した敵がいたらしい。
ふっ………流石俺だな。
「ドヤ顔やめろ」
「ふっふーん」
「はいはい………で?ハナカマキリ?」
「ですねー。あと、木の方にもナナフシ……でしたっけ?隠れてるっぽいです」
ナナフシ………えー……あー………枝みたいなのだっけ?
覚えてないけど木に近付くと危ないってことは理解した。
「んー……となると、だ。見えてる敵は囮だと思った方が良さそうだな」
「はちみつ……久しぶりに盗みが使えると思ったのに……」
「場所が分かればそこ避けて行けない?」
「行けるけど危ないかな?俺が死に戻る可能性をどこまで許容できるかだね」
「LUK100を危険に晒すのはないな」
「ボス!俺、いつでも行けるっすよ!」
「何キャラ?」
「………元気がある馬鹿舎弟?」
「…………あぁ、うん。なんとなく分かる」
さて、茶番をしつつもきちんと考える。
探索だけなら木と花畑に近付かなければいい。
けど、宝箱は木の上にある可能性が高い。
目の前にお宝があるのに無視する必要はない。
「敵殲滅してから宝箱が安定行動か?」
「俺達が囮になってる間にグランさんが上から宝箱回収して即撤退はどうでしょう?」
お前……お前ぇ!!
サブリーダーの分際で今までサボってるなーとか思ってたらやばい提案を出しやがった。
確かに、確かに俺の早さと判断能力なら敵を避けつつ宝箱に近付けるよ?
けどさ、俺はお前らの固定メンバーじゃない、所謂お客様だよ?
何で一番危険な役目を勤めなきゃいけないの?
って、目で訴えてみた。
「よし、採用」
…………………知ってた。
だって、βテスト時代でも同じ作戦やって全部成功させたもん。
タンクがヘイトを集めれば余裕だったもん。
「ぼく、おきゃくさまだよ?」
「お客様に活躍する場を譲る俺達優しい」
「ふぇぇ……」
「ふぇぇ……って言う奴の9割はおっさん」
「残りは?」
「おばさん」
「クソかよ」
可愛い幼女なんていなかったんだ……。
俺達の心の中にのみ存在する幻影だったんだ……。
「真面目な話行ける?」
「俺の知ってる敵のままで、蜂蜜を諦めるなら余裕」
「最優先宝箱で。一旦戻ってから余裕があれば蜂蜜狙いのムーブをしよう」
「わかったぁ!」
「そこで唐突にキャラ変えるのやめろ」
「このゲーム以外じゃキャラ作ってないから結構忘れるんだよね……」
「VRSでキャラ作る必要とか無いからしょうがないと言えばしょうがないな」
「ね~……。じゃあ、行ってくるねっ!」
「てら~」
凄いやる気の無い送りだしの言葉を背に、空を駆ける。
安全マージンを多めに取り、万が一にも擬態している敵の攻撃範囲に入らないようにする。
余裕だからと言って油断するのはダメだからね。
一度木の上、宝箱付近に着地し、即離脱する。
空中を駆ける回数の回復と敵や罠の確認の為だ。
特に何も無かった為、もう一度宝箱付近に着地する。
すぐさま宝箱を開け、アイテム回収。
中身は………ポーション。
はい、ゴミ。
「リジェネ系ポーション」
「撤収!ゴミ確定!」
ゲームによるがリジェネ系は強い。
けど、このゲームではゴミに分類される。
リジェネ効果中に他のポーションが飲めないからだ。
前衛は徐々に回復してては間に合わない。
後衛はそもそも耐久が紙である事が多く、徐々に回復してたら普通に死ぬ。
更に、MP関連のポーションも飲めないので追い打ちをかけている状況だ。
一応、βテスト時代に自動回復の回復量を増やしてみたり、MPも一緒に回復したりと試行錯誤はされていた。
が、共存出来るようなバランスが見付かっていない為、現在も産廃のゴミ扱いされている。
ゲームのバランス調整って結構難しいからしょうがないね……。
因みに、リジェネ系ポーションを使っていても同時使用出来るようになっていた時期がある。
リジェネ系を複数飲むことによる毎秒最大HPの5割回復可能って壊れになった。
それ以来、同時使用はずっと禁止されてる。
ちゃんと確認しないから……。
「撤収完了」
「自動回復は合ってたのになぁ…」
「装備の場合はレア以上じゃないと付かないって制限あるからね。あんまり壊れてない」
「一時期壊れてたからなぁ……調整頑張ってくださいって感じだな」
一応、全員に渡しつつ感想を聞く。
そこそこ難易度の高いダンジョンに潜って産廃ゲットとか普通に笑えないんだよな。
まぁ、次以降の階層に期待しますか。




