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【第24話 大賢者の話……あ、うん】

年度末は敵。


今回は2話更新です。

【第24話 大賢者の話……あ、うん】



『戻ったか……』


「はい」


『全部見ておったが……お主の心境は分からぬ。答えよ。何を思い、何をしたい』


大賢者は勇者をストーカーする?~これも全てあなたの為だから~……あ、睨むのやめてください。

いつも思うけどこの大賢者は何でこっちの考えを読み解くのかな?

いやまぁ……システム的には出来るだろうけど……ストーカーの分際d……睨むのやめろ。


「………正直に言えば、分かりません」


あ、ほら。

トトがしゃべり始めたよ。

だから睨むのやめろ。

こっちを見るな。


「あんな光景を2度と見なくてすむ世界にしたい。全ての種族が手を取り合える世界に変えたいです」


「けど、本当にそんなことが出来るのか、本当にそんな世界がありえるのかって悩んでもいます……」


無理無理、絶対に無理だって。

甘いってレベルじゃ……睨むな。

ちゃんと話聞いてあげろよ大賢者。

さっきから俺の事見過ぎだぞ!


大体、大賢者とか言ってるけどこの部屋から出てないニートだろ。

お前最後にこの部屋から出たの何百年前だよ。

あ?おい。

言い返してみろよクソ爺。

こっちはお前の正体知ってるんだぞ?

お前を殺す方法だって知ってるんだぞ?

お?やるか?


「―――だと思うんです。だから、本当にやりたい事は何なのかは……自分でも……」


『そうか……』


やっべ、半分くらい聞いてなかった。

ずっと真面目にトトのフォローしてたからさ、ネタに走りたくなってさ。

こう……何て言うの?

シリアスが続くとギャグに逃げたくなるって言うか……。

だから……その………ごめん。


『迷いつつも、よい目をしている。立ち止まらない、そんな意思が宿った目を……な』


そんなの見て分かるの?

俺全然分かんない……はいはい、黙りますよ。

さっきから睨み過ぎだろ……。


『それでは、真実を伝えよう。とは言え、知っているのはほんの一部だけだがな』


嘘乙。

魔王倒した攻略クランと考察クランが色々聞き出したの知ってるんだぞ。

ここでそれ暴露したらおもs……はいはい、大人しくしてればいいんだろ。

ったく……我が儘な爺だ。


『まずは……そうだな。私は先代の勇者の仲間だ。そして、魔王は先代の勇者である』


「え?」


トトの驚きの声が聞こえる。

そこまで意外か……って、そうか。

俺とフィンが常に情報を与えていたから街で探索してないのか。

NPCと会話すればヒントや伏線は色々あるけど、攻略優先でまったく情報収集してない。

これはちょっと探索の時間作るべきかね……フィンに相談しよ。


『なぜ、勇者が魔王になったかは分からぬ。しかし、彼はかつて魔王を倒してから変わってしまった』


俺は知ってるけどね。

そこら辺の情報は既に考察クランから聞いてる。

まぁ、ありきたりな理由だったよ。


で、長いお爺ちゃんのお話を纏めると、


・今の魔王はかつての勇者

・突然魔王を名乗り、世界に敵対した

・仲間だった事を利用し、接近、即封印

・即封印したおかげで勇者が魔王だとばれていない

・あの村に行かせた理由は勇者の心を知りたかったから

・迷いつつも前に進むことを決めた覚悟を知り、話す気になった

・魔王を、先代勇者を止めてくれ


らしい。

うん、合間合間に思い出すように遠い目をするから長い。

大人しくしてたけど、諸事情でこの話を何十回も聞いている以上、聞き飽きてる。


ちなみに、ここが本当の意味での始まりと言われている。

なんとなく、剣を抜いたら勇者になった。

なんとなく、行けと言われたから行ってた。


それが、ここで目的を持って冒険することになる。

悲惨な現実を見て、魔王について知って、自分の意思で物語を進める。

だから、ここからが始まり。

序章が終わり、第1章が始まる。

まぁ、魔王倒した後の事を考えると序章の序章が終わったレベルなんだけどね。


『本来なら私が止めなければいけない……しかし、私はこの部屋から出られない。次代の勇者トトよ、私の代わりに魔王を、彼を止めてくれ』


「約束は出来ません……けど、やれることはやります」


『すまない……頼んだ』


大賢者が頭を下げ、トトが了承する。

これで、ここでのイベントは終了となる。


VRはイベントスキップ機能を実装出来ないから長い話は疲れるし嫌いだ。

早くのんびりしたい。






「……………このゲームのこと、この世界のこと、全然知らないんだな」


「当然でしょ?だって情報収集してないもん」


「…………………………………そう言えばそうだね。知ってる方がおかしいよね」


「うむ、大方大賢者が勇者の仲間だと知って驚いたのだろう?NPCに聞けば事前に知ることが出来たぞ」


「探索するべきなのかねぇ……」


大賢者の話が終わり、3人で喫茶店で寛いでいる。

漸くまったりとした、のんびりとした空気が戻ってきたぞ……地味に長かった。


「自分で探したいならするべきじゃない?教えてって言うなら……まぁ……うん。ヒント程度は出すよ?」


「情報収集した方がいい場面かどうかだけ教えてくれる?2人ともここら辺全部知ってるだろうし、なるべくサクサク進めて3人で初見の部分にいきたい」


俺はその言葉にそっと目を逸らす。

ごめんよトト……。

俺、考察クランとは仲が良いから普通に初見の部分が無いんだよ。

既に2つ目の月が何かすら知ってるからね……。


「ねぇ」


「何かな?」


「その満面の笑みで確信したよ。何を隠してるのかな?」


「別に隠してないよ?ただ……」


「ただ?」


「考察クランから情報貰ってるから魔王討伐後の事も知ってるんだよね」


「………おい。初見の楽しみは?」


「うっす、昼間に同行してるんで。実は昼間にも大賢者からクリア後の情報収集してたんですよ。うっす、サーセンっす」


どこにでも居そうなチンピラ風に謝る。

謝ってるのかこれ?

まぁ、煽ってるのは自覚してるからいいか。


「腹立つなぁ……どこまで把握してるの?」


「ネタばれにならない程度に話すなら……先代勇者が魔王になった理由、先代勇者の目的、大賢者の秘密、2つ目の月が何なのか……くらいかな?他は概要すらネタばれになる」


「………地味に多いね」


「まぁね。ネタばれになるけど、どれか聞きたい事ある?」


「月の話を聞きたい。金玉説は潰れたんでしょ?」


「潰れてないから」


「え?嘘でしょ」


「事実である……いや、1度は真実の判明により無くなった。が、グランが新たな金玉説を出して復活させたのだ」


「えぇ……何してんのお前………」


爽やか系イケメンのジト目とか需要無いからやめろ。


「じゃあ、ネタばれするね。そもそもの話、この世界は1つじゃないんだよ」


「ん?う、うん」


「分かりやすく言えば魔界や天界とかがこの世界にはある。昔……神がこの世界に居た時代くらい昔なんだけど、その時は別の世界に行き来出来てたんだよね」


魔界や天界って言ったけど、実際はそんな名前は無い。

本当にただの別世界で、雰囲気からここは○○の世界だな程度でしか呼べない。


「で、他の世界と行き来するのにゲート、つまりは門を使ってたんだよ。ここで問題なのは、魔法的な門じゃなくて物理的な門だったこと。今、この世界にはそんな門はない。じゃあ、どこに行ったのかって話になる」


「もしかして……それが月?」


「うん。2つ目の月は、かつてこの世界にあった別世界への門を一塊に集めた物なんだよ」


「ってことは最終的には別世界に移動するってこと?」


「もう別世界に行った事あるよ?」


「え?いつ?」


「ダンジョン。あれは、月になった門から溢れた別世界への移動する為の力らしい。本来の力を出せてないから、ランダムで一時的にしか移動できないって制限があるけどね」


「……………マジか」


うん、俺も同じ顔になったよ。

実はダンジョンは別世界で、クリア後の物語に物凄く関係があるとかね。

ただのシステム的なやり込み要素だと思ってたから凄く驚いたね。


「で、この事が分かったことによりあれは金玉じゃないって話になったの」


「そりゃそうでしょ」


「うむ……ここで金玉説は無くなったな」


「それに納得いかなかった俺は再度金玉説を提唱したんだよ」


「そこ理解出来ない」


「だって面白くないじゃん。お遊び要素が無いゲームとかすぐに飽きられるよ?」


「まぁ……分からなくは無いけど……で、新しい金玉説は?」


「何で門を壊したのか、何でそれを月にしたのか、そこはまだ判明していない。なら、門を壊して月にした神の目的……あ、門壊して月を作ったのは神の1人ね。誰かまでは判明してないけど、神が壊した事は確定してる」


「寧ろ神以外で壊せる存在がいることに驚きだよ」


「残念なことにたくさんいる。詳しくは言わないが、イベントで神代の時代にいた生物と戦う機会があってな……まぁ、倒させる気があるのか疑問に思うほどの強さを持ったレイドボスだったとだけ言おう」


懐かしいな……超獣神王ベヒモス……………の子供。

まさかの高さ50m超えの怪獣と剣や魔法で戦うことになるとは思って無かったよ。

けど、物凄く楽しかった。

怪獣を倒すにはどうすべきかを議論したのは控えめに言って最高だった。

特撮好きには堪らないイベントだったよ。

あのカバ元気かな……。


「話戻すよ?神が壊して月にした理由が分からない。つまりは、その理由をこっちが考えていい訳だ」


「ん?んん?」


「門を壊した神は、金玉を作りたかったんじゃないかって説を出しても否定できない訳だ」


「…………お、おう」


「で、馬鹿の一つ覚えで悪魔の証明で説の1つに押し上げた」


「馬鹿なことやってるな……」


「その後はあれだね。神が月を壊した理由大喜利大会が始まったな」


最初はこの世界を守る為だったとか神同士の争いが原因とか話してた。

途中から、主に俺の金玉を作りたかった説を出してから流れが変わった。

門はゲートボールのゲートで壊して遊んでたとか世界の管理に飽きたから壊したとかね。

普通に考えたらそんな設定でゲームは作らない。

けど、だからこそ、もしも本当にくだらない理由だったら面白いと盛り上がる。


ちなみに、金玉説を出した後に別スレを建てて真面目に議論してる人達の邪魔をしないようにした。

あんまり怒られることしたらダメだからね。


「この話はあれだよ?さっき会った大賢者から聞いた話だからね?」


「………めっちゃ知ってんじゃん」


「うん。凸ってごう……お話して聞き出した」


「今拷問って言おうとしたよね」


「身体に聞いた」


「ちょっと卑猥」


「実際に卑猥な手段も使ったからね……あ、見たい?ガチホモの大賢者責め」


「いいです……」


「あのプレイヤーの世界線にいる大賢者は変わった性癖持ちになったからなぁ……可哀そうに……」


「マジで可哀そうだな……」


正直に言えば、生温い方法は使ってない。

どれくらいひどい事をしたかと言えば、運営からメールで注意が来るくらいだ。

交渉で教えてくれないなら交渉(物理)を使っただけって言っても、怒られた。

別ゲームでの適度に壊す拷問技術が役立ったよ。

こう言う時はVRの自由度の高さが仇になるから運営は困るよね。


「あ、大賢者で思い出した。なんか途中でグランの方をめっちゃ睨んでたけどアレ何?」


「全部見てたとかストーカーだよなぁ……とか、ここで大賢者の秘密暴露したら面白いだろうなぁ……とか、アホな事考えてた」


「お、おぉう……予想以上にくだらない理由だったな………え?てか、待って。俺が勇者のロールプレイを頑張ってる後ろでそんなこと考えてたの?」


「ぶっちゃけ精神的な疲労がやばいからね……アホな事考えてリフレッシュしないと耐えれなかった……」


「………ごめん」


これは誰も悪くない。

アレはきついからね……俺もロールプレイしてる時なら良いけど、暇な時はどうしても思い出しちゃう。

あの悲惨さを、臭いを、苦しみと憎しみに染まった顔を。

付添いだから何も出来ない事を理解してる。

だからこそ、辛い部分がある。


「それにしても……トトがちゃんと乗り越えるとはねぇ………」


これは、嘘偽りの無い本音だ。

言い方は悪くなるけど、トト程度じゃ無理だと思ってた。

良くも悪くも普通の人間じゃ、普通の感性じゃ耐えれないからね。


「吾輩も驚いたな。こうやって普通に話せているだけで、吾輩以上の精神力がある」


「フィンはホラーやグロ耐性が無いからトト以下の可能性あるよね」


「…………ノーコメントだ」


「ははははは………まぁ、正直に言うとグランのおかげかな?」


「やっぱり?」


「うん……要所要所で助言もあったし、暗い雰囲気壊してくれたりね……結構助かってる」


それを狙ってやってたから当然でしょ。

適度に緊張を解すのは普段から俺の役目だから慣れてるからな。


「ちょっと空気重いし、時間も微妙だし……ちょっとだけ情報収集の基本を教えて今日は終わろうか」


「うむ、照れてるな」


「小耳に挟んだんだけど、次のイベントってホラーらしいよ」


俺が満面の笑みで伝えると、フィンは一気に動きがおかしくなる。

照れ隠しでボディへの1発だよ、受け取れ。


「そ、ソースは……?」


「とあるホラー映画の先行チケットに、何故かここの運営会社が関わってるらしいんだよ」


「………………ちょっと急用を思い出した」


「今から急用?イベントが始まるまでに終わるように手伝ってあげよう」


「だ、大丈夫である……わ、吾輩個人の問題だからな……て、手伝ってもらう必要はないぞ」


こっちを一切見ない。

声が震えているし語尾が不自然に上がっている。

誰がどう見ても嘘ですね。


「フィンってこんなポンコツだっけ?」


「うん。普段は頼れるけどホラーとグロはゴミ以下の役立たずになる」


「苦手分野で頼られても困るぞ」


「幼少時のトラウマだっけ?」


「うん」


6歳か7歳くらいの時にホラー映画を見たらしい。

それがトラウマになって今でもずっと心に残ってるとか。

まぁ、現実と創作の違いが理解出来ない年齢で見ればそうなるな。

俺も結構似たような経験してるし。


「すまないが、調子が悪い。先に落ちさせてもらう」


「おつかれ~。公式出たら怖い画像あるかどうか連絡するわ」


「頼む……」


「おつかれ~」


フィンがログアウトする。

まぁ、自分の嫌いなグロとホラーが連続で来たからね。

実際に見てないとは言え、トラウマを呼び出すには充分だ。


「さて、探索の基本を教えようか」


「おなしゃす」


「まずは大前提、何を知りたいのかを確認する」


「ふんふん」


「これを忘れると大賢者に剣の力が何かを聞き忘れたトトみたいに後悔することになる」


「あ」


やらかしたみたいなアホ面している。

聞いてないのを俺はちゃんと把握している。

あの爺は意外とケチで、こっちから聞かないと黙ってる事が多い。

本当に性質の悪い爺だよ。


「教えて」


「雑に言えば神の力。どの神の、どんな力なのかは……自分で調べようか」


「………ですよねー。大賢者に聞いてたら教えてくれた?」


「うん。多分この神だと思うって文献を渡される。その文献を読むと色々と書いてあってその剣が何かある程度知ることが出来る」


「やらかした感がやばい……」


「どんまい」


その後も、色々と教えた。

街にある酒場の種類や情報屋の場所、相場等。

これを活かせるかどうかはトト次第だけどね。





正直に言うと、この作品の作風はなろうに合ってない気がする。

なんでこんなPVや評価があるんだろうって疑問に思う毎日。

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