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【第11話 冒険の始まり】

昨日投稿する予定でした。

( ˘ω˘)スヤァ…してました。


今回は3話更新です。

【第11話 冒険の始まり】



「あっ」


「ん?」


「トト、先に言っておくね?最初のボスは一人で倒してね」


「なんで?」


「最低限それだけのPSが無いとこの先無理だから」


「あー………把握」


「あと」


「なに?」


「ストーリーに沿って行動してる時はなるべく素を出さないようにする。だから、素で話す時は焦ってる時か仕様について説明してる時だと思って欲しい」


「了解」


昨日の湿っぽい空気を残すことなく今日もゲームだ。

トトがログインしてくるまでに色々と情報を集めたりダンジョン回ったり……辛かった。

友達のストーリー手伝いがあるからって逃げてきたけど、男キャラ約20人は辛い。

筋肉ムキムキマッチョメンがたくさん周りに居るとかどんな罰ゲームだよ。


「待て」


次の街へ向かう為、アジンの北門にいる。

出発しようとした瞬間にフィンから制止の言葉が掛かる。


「PTのリーダーがグランのままだ。イベントが起きない」


「あ………解散しまーす」


素で完全に忘れていた。

いつも通りログインしてきたトトにPT申請を飛ばし、認証してもらった。

今のままだと放浪者に勇者が付き添ってることになる。


「申請送ったよ………なんかこう言ったシステム的なことすると空気壊れるね」


「なるべくなら言いたくなかったが………必要だったからな、仕方あるまい」


「えへへ……失敗しちゃった」


トトから送られてきたPT申請を受領する。

普段は放浪者でシナリオに関係ないことしかしてないから忘れてたよ。

ボス戦直前に気付くんじゃなくてよかった。


「それじゃ改めて行こうか」


「うん!」


「ああ」


トトの言葉に俺は元気よく、フィンは静かに返事をする。

なるべく素を出さないように、シナリオの雰囲気を壊さないようにしないとね。

初見の楽しみを奪うのはあまりよろしくない。






出発してから少しして、ふとトトが足を止める。

PTのリーダーと言うことで先頭を歩いていた為、俺達も止まる。

一応周りを確認するが、敵は見えない。


「そういえばグラン君」


「なぁに?」


「装備が変わってるけど、性能を教えてくれるかい?PTメンバーの戦力把握はリーダーの仕事でもあるからね」


「いいよ!」


今現在の俺は革鎧すら身に着けていない。

多分、防御力が気になるのだろう。



【防具】風の服 品質6

防御力13 AGI+5 耐久 100/100

着ると素早く動けるようになる深緑色の服。

ほぼ全ての能力をAGI増加に費やしている。

製作者:ソル



【防具】大地のズボン 品質6

防御力8 VIT+2 スタミナ切れ耐性 耐久 60/60

着ると何故か長時間戦えるようになる茶色のズボン。

不思議な効果が原因か他の性能は低い。

製作者:ソル



【アクセサリー】隠密の革ベルト 品質5

防御力9 隠蔽+1 耐久 80/80

隠蔽効果の付いた黒色のベルト。

自身が持つ隠蔽スキルのレべルを+1する。

製作者:ミスティ・トール



【アクセサリー】隠密のマント 品質7

防御力4 隠蔽+2 耐久 100/100

隠蔽効果の付いた黒色のマント。

自身が持つ隠蔽スキルのレべルを+2する。

製作者:ミスティ・トール



【アクセサリー】隠密の腕輪 品質6

防御力8 隠蔽+1 耐久 120/120

隠蔽効果の付いた黒色の腕輪。

自身が持つ隠蔽スキルのレべルを+1する。

製作者:カラミティ



「あー………なるほど、方向性が凄く分かりやすい」


「えへへー………死ぬと怒られるからね。午前中にダンジョン2つ踏破したから作るのは簡単だったよ」


「ハイライトを消さないでくれるかな?ちょっと怖い」


「うんっ」


「ハイライト消えてるから!戻して!」


現実で見た目通りの年齢の子供がハイライト消してたら即通報だろうな。

とりあえず事情説明とか後で聞くからって思っちゃう。


「ありがとう………ちょっと待って。君達、今レベルいくつ?」


「34だよっ」


「俺も34だ」


「………え?僕はまだ23なんだけど……上がり過ぎじゃない?」


「50レベルまで簡単に上がる仕様だからしかたないねっ」


「ちょっとステータスを見せてくれるかい?不安で……」


「はーい」


本来なら他人にステータスを見せるのはあまりよろしくない。

問題は無いんだけど、一種のマナー的な物で、信用出来る人以外には見せない風潮だ。



【名前】グランエル

【種族】人間

【職業】盗賊

【性別】男

【レベル】34

【ステータス】

 HP:760

 MP:760

 EN:87%


 ATK:56

 DEF:31


 STR:100

 VIT:0(+2)

 DEX:260

 AGI:300(+5)

 INT:0

 MIN:99

 LUK:100


残ポイント:0pt


【スキル】

 短剣:Lv10

 盗む:Lv1

 隠蔽:Lv15(+4)

 体術:Lv10


残ポイント:0pt



「わー………美しさすらあるバランスだね」


「えへへへ……照れちゃうよ」


「他のスキルは取らないのかい?」


「隠蔽が20まで上がらないとあまり信用出来ないからそれまでは保留してるんだよ」


「うむ、次に吾輩のを見せよう」



【名前】フィン

【種族】ドワーフ

【職業】戦士

【性別】男

【レベル】34

【ステータス】

 HP:1155

 MP:430

 EN:81%


 ATK:346

 DEF:298


 STR:240(+11)

 VIT:240(+16)

 DEX:132

 AGI:10

 INT:66

 MIN:132

 LUK:10(+5)


【スキル】

 長剣:Lv10

 体術:Lv10

 大盾術:Lv10

 スタミナ回復:Lv6

 攻撃回復・HP:Lv2



「わー……えー………」


「やっぱり複数着れる服と金属鎧じゃ上昇率が全然違うね~」


「当然であろう?多少効果が落ちるとは言え、吾輩も服を着ているからな」


その発言はちょっと危険じゃないか?

まるで効果が無ければ服を着ないみたいな発言だぞ?


「この攻撃回復・HPってスキルは何かな?似たようなのがあった気がするんだけど……」


「文字通り、敵に攻撃すれば自身のHPが回復するスキルである。似たようなスキルと言うのはMPの方だろう。トトが持っているMP回復との違いは回復量と回復タイミングだ。そちらは一定時間毎に自動回復する代わりに回復量が少ない、こちらは攻撃しなければ回復出来ない代わりに回復量が多いと言う訳だ」


「攻撃回復・MPじゃなくてMP回復がお勧めされる理由は、単純だよ。魔法は発動した時点でMPを消費する。だから、攻撃を当てることが出来ない場合は回復することが出来ずに消費する一方になる。だから、回復量が落ちても安定して回復出来るMP回復がお勧めされるって訳」


「範囲魔法で当てれば簡単じゃないの?」


「お?言うね。今から俺の本気を見せてやるよ。フィンは解説を頼む」


俺はスキル【体術】に内包されているスキル、【ステップ】を使用する。

体術レベルが高ければ高い程、ステップの移動距離、速度、無敵時間が延びる。

そして、このスキルは俺の両足が地面に付いていればクールタイム無しで発動可能だ。

俺がメインで伸ばしているAGIと合わされば―――


「「「「ふははははははははははは」」」」


俺は大量の残像を残して移動する。

つまりは、分身して見える訳だ。


「うわっ、キモッ」


「スキルレベルとAGIの高さが原因で今見ているように分身して見える。更に恐ろしい事に、このステップ中は無敵だ」


「え?は?」


「【体術】の内包スキルである【ステップ】は発動後一定時間無敵になる。が、本当に一瞬しか無敵になれない。しかし、スキルレベルを上げ、AGIに特化すれば、無敵時間が切れるより先に次の【ステップ】を発動することが可能になる」


「そしてスタミナ切れを起こして役立たずになる………しんどい………」


「おい」


このバグに近い現象は、AGIが300以上、体術のレベルが10以上必要だ。

装備が重ければ不可能だし、MPとスタミナが一瞬で切れる為、実用性の無い一発芸扱いされている。

まぁ、LUK100の俺からすれば5秒程度とは言え無敵になれるのはかなり有難い。


「他にも欠点がある。超高速移動することによる視界情報の欠如及び吐き気だ。移動速度が速すぎてプレイヤー自身も自分がどこにいるのか把握出来ない。前後左右に移動する為、かなりのGが身体に、脳にかかり、吐き気の状態異常が発生する。MPにスタミナ、本人の体調不良に身体への高負荷等、デメリットが多すぎるロマン技と呼ばれている」


「うぷっ……おえぇ………」


「あ、マジで辛そう……」


「このレベルでの無敵はそう無いが、1つの属性を一定時間無効にするだったり、一定以下のダメージを無効化したりと、ボス側も色々と持っている。相手によっては回復出来ない可能性があるのは否定できないのだ」


「なるほどね……グランが何であそこまで身体を張ったのかは分からないけど、よく分かったよ」


ゲームだから実際に吐くことは無い。

けど、吐いた方が楽になれるんじゃないかと思うほど、吐き気がやばい。

ちなみに、アクションにも吐くモーションは存在しない。


「ふ……ふらふらする……うぷっ………うぅ………」


「大丈夫?」


「あと5秒…」


「あぁ、状態異常だから時間制限あるのか……忘れてた」


「無ければこんな技、広まったりはしないな」


「ふぅ………MPポーション飲まなきゃ……」


「あの薬っぽい味好きになれないんだよね……」


「課金すればいいじゃん」


「え?」


「課金すると味選べるよ?俺は今狭山茶(さやまちゃ)にしてる」



ポーションの味。

HPもMPも薬っぽい味がする。

製造時に果物の果汁を入れたりすれば爽やかでおいしくなるが、難易度や製造費が上がる。

しかし、課金すれば全てのポーションの味を自由に決めれる。

しかも、運営に要望を出せば別の飲み物の味を実装してくれる。

俺が今飲んでるのは狭山茶、埼玉県のお茶らしい。

STR特化のフレンドが地元のお茶だって物凄くアピールしてるからこれに設定してる。

月額500円(税抜き)だけど、色々楽しめるからお得だ。



「…………明日ポイント買ってくるか」


「クレカ登録しないから……」


「クレカ登録は必須では?」


「俺はお前らみたいに仕事でVR機器は使わないの!」


どんなゲームが自分の戦闘スタイルに影響を与えるかは分からない。

だから、自分のスタイルに活かせそうなゲームはすぐに手を出す。

その為に一々外出してられないから、本体にクレカを登録し、そのまま使えるようにしている。

月々の決済が怖いけど、気にしたら負けだ。


「どんなクソゲーでも、学ぶ所はある。活かせる所はある。だから、買う必要があるんだ」


「カッコいい事言ってるように聞こえるけど結局はゲームが好きなだけでしょ?」


「うん」


ちょっと呆れたような目で見られた。

好きじゃ無ければ毎日ゲームやらないからね?


「っと、突っ込み足りないけど敵さんのお出ましだ」


「んじゃ、頑張ってね」


「え?」


「悪いが、トトですら適正レベル以上ある。練習の為にも1人で戦ってくれ」


「いやいやいや」


「魔法の発動から着弾までの時間、相手の移動速度、相手との距離、回避に専念するかどうか、色々なことを学ぶ必要がある。前一緒にやってたゲームだと俺らが守ってたからね、そこら辺がかなり下手だった」


「………………いや、その………えっと………………」


「なのでここらで鍛えようかなと思いまして」


「頑張ります……」


「危なくなったらカバーする。出来る限りのことをしろ」


「がんばれー」


若干納得がいっていないようだが、諦めて敵と向き合う。

敵はゴブリン4体、距離は多分50mくらい離れている。

ダンジョンで戦ったゴブリンよりやや強い位だから、普通に戦えば余裕のはずだ。


こちらをバカにしているかのような笑い声をあげながらゴブリンが近付いてくる。

トトは残りの距離が30mを切ったあたりで漸く魔法を唱え始める。


「【雷】ウォール」


しっかりと敵を見据え、敵集団をまとめて雷魔法で倒した。

俺の記憶が正しければウォールは壁を生成する魔法だ。

魔法操作で縦に出すのではなく、横に出して上から落とす、良い方法だと思う。

そこそこの範囲で、視界外の上からの攻撃だ、そう簡単には避けれない。

が、反省点がありすぎる。


「30点」


「え?フィン高くない?俺10点だと思う」


「……………低すぎない?」


2人合わせても40点だ。

赤点で補習確定です。


「では、吾輩から言おう。魔法を唱え始めるのが遅すぎる。あの距離は敵によっては一瞬で詰めることが可能だ。上位種やバフを貰ったゴブリンでも可能であり、初めて戦う場所で戦う敵に対する警戒が出来ていない。それに、前方の敵しか見ていないのも問題だ。もしも左右の木々の隙間から狙われたら?もしも上空から敵が来たら?もしも足場を崩す敵がいたら?対策があるから何もしないのと、考慮していないから何もしないは雲泥の差だ」


「うっ………求めるレベルが高すぎませんかね……」


「後半の敵はここまで温くない。強敵と戦う直前でかなり厳しい特訓をすると言うならば、今は何も言うまい」


「………頑張ります」


「んじゃ、次は俺だ。魔法を放つ直前に、一瞬だけど下を見たよな?癖になってる、敵から目を離すな。目を離していいのは気配を読めるようになってからだ。俺が相手だったらあの一瞬で距離詰めて殺せるよ?そして倒したと思い込んで余所見した。これも問題だ。もしも敵が雷に耐性があったら?もしもその後ろに増援がいたら?起きなかったからよかったじゃない、起きなかったから問題に気付けなかった、だからね?俺らと同レベルまでは求めてない。ただ、安全地帯以外で隙を作らない努力はして欲しい」


「……グラン達のレベルってどれくらい?」


「銃弾が飛び交ってる中でも敵と味方の足音の違いを聞き分けれる」


「………………正直、引く」


VRSにも色々な種類がある。

SF要素がある物から過去の大戦レベルの物まで様々だ。

大戦レベルの物に多いのはレーダー系が存在しないこと。

これにより、敵味方の区別が付かない為、誤射が多い。

だから、プロでは判別が付くように訓練する。

歩く時の癖は千差万別、それを一瞬で読み取り、理解する。

それが出来る一部だけがプロを名乗り、勝ち続けることが出来る。


「因みにだが………グランは呼吸音も聞き分けれるらしい」


「は!?」


「スナイパー殺す為に確実に発生する音、呼吸音を聞き取れるように訓練した結果だ。出来るようになるまでに1年かかったが……結構役立ってるぞ」


「知らない間に友達が人間辞めてた………」


「俺は人間です………」





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