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『虎と呼ばれる男の素顔、そして龍の奏でる交響曲』  作者: 趙雲
~☆~☆~☆~季節限定☆~☆~☆~
36/69

「季節番外曲-バレンタインデー直前で、男だらけのほわふざ!-」

サブタイトルの「ほわふざ」とは、ほんわかふざけの略である。

また、ほわほわふざけとも解釈され、その意義や定義は多岐に渡る。

そのうえ男だらけに限らず、女性においても言い表すことのできる便利な言葉なため、

劇場やドラマ、小説等で幅広く使われている言葉でもある。


また以上の説明は、全くのデタラメである。


閑話休題がいくつあっても足りない。

バレンタイン直前に、片桐組同期らがチョコで暴れます!!

ポロリもあるよ!(ありません)


※約4,400字です。

※お約束のBLと、作者自ら出演致します。

以上のことが苦手な方は、ブラウザバックをオススメするのです!!

2017年2月12日 日曜日 午後(天気:晴れ)

関東中心部 奔放な女神がトレードマークのカフェ

裾野(後鳥羽 龍)



 俺、茂、あことし、ゆーひょん、そして佐藤が合流し、同期組でカフェの入り口に集合していた。

居酒屋案も出ていたが、防音個室がある店舗を茂が見つけたらしく、1室しかない個室に入った。


 内装は例のカフェと同じであったが、一般的な店舗よりも高級感があり、シャンデリアまで下がっていた。

その独特な威圧感に、あことしは「やっぱり引き返そう」と、何度も俺にせがんできたが、ゆーひょんに背中を押され、結局今に至るのだ。

 中には円卓と奔放な女神のカフェのグッズがある。

それからテーブルの真ん中には、CODIVAのチョコレートアソートが置いてある。

……何かおかしい。

バレンタインデーは、女性から俺たち男性にチョコやクッキー等のお菓子をあげるという一大イベントだ。

だがここに居るのは、片桐組時代の同期組。もちろん全員男。

「……待った。今日はバレンタイン直前企画なんだよな?」

扉の近くに座っている俺がガタッと立ち上がると、同期組は一斉にそれぞれの驚きの表情を見せた。

「そうでしたね。たしかにバレンタインを謳っているのに、女性が1人も居ませんね」

茂は長くなった艶やかな黒髪を1つに束ねており、前髪は昔よりも若干伸びていた。

「そうだね! しげちゃんの言う通り! って……え、これって何? これで賭け事すればいいのかな?」

あことしは個装に包まれたチョコをいくつか手に取り、ポーカーやBLACK JACKで使うカードのように自分の手札にしようとした。

あことしの容貌は、昔よりも大人っぽくなったくらいだが、確実に違うのは……昔よりも多少は賢くなっていて、頼もしそうな印象を受けたことだ。

「違うでしょ、あことし。それにしてもそうよね。女の人が1人くらい居たって……」

かなりガタイがよくなり、肌がすっかり黒くなったゆーひょんは、昔のように顎に手を添えて考え込んだ。

その時突然個室の扉が開き、ここにいる誰もが見たことのある人物が目に入った。


「そういう系か、バレンタイン直前企画って」

佐藤は手鏡で自分の巨漢スタイルを確認し、頬杖をついた。

「あ~……作者さんか~」

あことしはCODIVAのチョコを元に戻し、自分の隣をポンポンと叩いた。

席の配置は、扉に1番近い俺から茂、佐藤、ゆーひょん、あことしの順だ。

要するに作者さんが座る位置は、俺の隣ということにもなる。

「作者です。だって、こういう機会が無いと作品に進出できないじゃないですか! それにパソコンの前で怖い顔をしたり、泣いたり、ニヤけているだけというのも……でしょう?」

そう文句を垂れながら席に着く作者さんの容貌については一切記述しないが、メンバーの中で言うなれば唯一の女性だ。

「知ってる知ってる。それで、これが俺の為に用意したチョコレートってことかな!」

佐藤は急にナルシストを発動させて食ってかかったが、作者はひょいと箱を取り上げ、

「これは皆さんへのバレンタインプレゼントですよ。義理ですけどね」

と、ため息混じりに言った。

「義理でも構わない。本当にありがとう。いつも違う世界で、当日の描写相談や事前打ち合わせで世話になっている上に、実況動画にまで出してくれているからな」

俺は照れ臭く笑いながら、他の4人を見回した。

他の4人もこの先実況動画に出るらしいから楽しみだが、メインが俺、菅野と騅であることについては、誰1人文句を言わなかった。

作者さんも人選には自信があるらしく、

「いえいえそんな! さっすが裾野さん! 気遣いの天使と言われるだけありますね~」

と、下手なウィンクをかましてきた。

「そうだね! 今回ってチョコをいただきながら、話でもする感じなの?」

あことしは続けて、「作者さん、ありがとー」と、嬉しさを隠しきれない笑顔でトリュフの個包装を開け、まったり味わって食べている。

本当に幸せそうに食べているので、俺もついトリュフの個包装に手を伸ばしてしまった。

ん、おいしい……これは抹茶か?

「だいたいそんな感じですけど、ネタバレ一切無しという縛りがありますからね。盛り上げの為に、チョコに辛子やら唐辛子やらタバスコやらハバネロを仕込んでみました。他にも百味ビーンズが入っているのもありますからね。しかもドギツイ味だけ。……青りんご味等最初からなかったのだ、なのです」

作者は人差し指を立てて言うと、平気そうな顔をするあことしと俺に笑顔を向けた。

これは次から無事だと思うなよ、と言った顔だろうな。

 すると隣の席から嗚咽と苦しそうな咳が聞こえてきた。

「う、うぇ…………何だ、これ。作者ぁ!! 1番美しいこの俺に、一体何を仕込んだ!?」

佐藤は用意されていたバケツにチョコらしきものを吐き出した。

「あーそれですね。百味ビーンズの鼻くそ味です。そうですね、私が元より知っている百味しか入れていないので、あとはゲロ、耳クソと芝生かな。ちなみにゲロ味は、学生時代に同じクラスの男子が食べて本当にトイレで吐いたという威力の持ち主です。そのとき私は真面目だからという理由で、青りんご味をいただきましたけどね……」

作者は心から嬉しそうに言っているが、その男子はトイレで吐く結果になったのだぞ……。

その後保健室に行って診てもらったのだろうか?

今でも元気なのか、気がかりだ。

 そうこう考えているうちに、全員がハズレで苦しむ中、次々と当たりを食べているのはあことしで、

「ん! おいしい! 作者さん、流石に俺の目は騙せないよ」

と、フンと鼻を鳴らして自慢げに言う。

当然だ。無敗のギャンブラーが、あっさりハズレを引いてもらっても困る。

……俺に過去1度コイン勝負で負けているけどな。

「ふ~ん。ですけど、それくらいは予想済みです。残り5つになったところで、あと残っている味を発表しますね」

作者さんは同期全員があと1つずつ食べなければいけない状況を作り、わざわざ立ち上がって発表をした。

「百味ビーンズ部門からはゲロくん、耳クソくん。辛い物部門からは、ハバネロくん、非公表にしていた青唐辛子くん、それから最後の1つだけは、私の手作りチョコレートになっておりまーす!」

と、高らかに言うと、あことし以外の同期組は水を全て飲み干した。


 勿論、今の作者の行動であことしは当たりが分かっている筈だ。

それならあことしが手を伸ばしたチョコを取る前に取ってしまえば、俺は当たりということになる。

だが引っ手繰ってしまえば、選択権を失いかねない。

 そうしてあことしの様子を見ていると、佐藤が直感でピンク色の個包装のチョコを取った。

それを引き金にゆーひょんは黄色の個包装を、茂は青色の個包装を取った。

 あとは2つだけ。

残ったのは、赤色と茶色の個包装。

自分のカラーで考えるなら、勿論茶色を取るだろう。

だが赤色は菅野の色。

取られたくない、だがそれが罠なら……。

俺が考え込んでいると、懐に入り込む優しい声で、

「すそのんのん。どっちも外れだよ」

と、肩をガックリと落とすあことし。

「……信じていいのか?」

俺は疑いたくはないが、どうしてもギャンブラーであるあことしをこの場面では信じきれない。

「いいんだよ」

あことしは、ポーカーフェイスなのか本心なのか、その境目のような笑顔を向ける。

「……」

俺は黙って赤色の個包装に手を伸ばす。

するとあことしは、茶色の個包装に手を伸ばし、俺の腕と交差する時に顔を耳に近づけ、

「ありがとう」

と、にんまり勝ち誇った顔で言われ、やはりあことしとギャンブルはすべきではないと、改めて自分にお灸をすえた。


 もちろん、あことしの予想通り俺のチョコは個包装を開けた瞬間からグロテスクで、いくつもの赤い斑点のついた透明な百味ビーンズが埋め込まれたドーム型のホワイトチョコがそこには居た。

「…………作者さん?」

俺は美味しそうに手作りチョコを食べているあことしではなく、この悪意しか感じない作者さんの仕込みっぷりに怒っているのだ。

「あら、いいじゃないですか。ご自分で菅野の色だーとか心の中で言って選んだんですから」

作者さんは、心得程度らしいが多少人の心が読めるらしい。

裏の顔までは分かる人と分からない人が居るというが、その実どうかは断定できない。

それとも、今までの対人箪笥の中からの分析なのかもしれないが。

「まぁな。はぁ……」

俺が包装から顔を出すホワイトチョコに手が付けられないまま、他の3人の反応を楽しんでいたのだが、ゆーひょんは辛党なのでハバネロを無表情で食べてのけたし、茂は辛いのが苦手なのに耳クソを当てて白けさせてしまうし、佐藤は青唐辛子に悶絶してくれてはいたが、手鏡を離さないところに、どうしても嫌気がさしてしまった。

「……裾野、いや……マイスウィートハニー!! そんなに食べられないなら、俺が口移しで食べさせてあげるよ!」

佐藤は勇敢にも唇でそれを挟み、向かい合う形で俺の膝の上に乗ると、一気に口を近づけてきた。

「やめろっ……! なぁ、作者さんも何とか言ってほしいのだが!」

俺は顔を逸らして、厚い胸板を両手で押しのけていると、両手の空いている佐藤は以前付き合っていた時に散々開発してきた腰と腹に指を這わせ、

「何年振りなのだろう!! マイスウィートハニー!!」

と、チョコを咥えた隙間から涎を垂らしながら、頬を赤く染めてしまう俺に自然に重ね……そうではなくて、チョコを喘ぐ俺の口へと滑り込ませた。


「うぐ…………こ、これ……は……」

俺は無理矢理佐藤に飲み込まされ、喉と胃を通った時に確かに感じてしまった。

吐く寸前の酸っぱいような、苦いような、形容しがたい人間の胃液の味を。

腹筋にめり込むぐらいの拳を喰らわない限り味わうことのない、この独特な不快感と、全身を掻きむしりたいような、どうしようもない気持ち。

「うぅ……」

俺は次第に唾が飲み込めなくなり、ついには話せなくなってしまった。

こうなるともう吐くまで5秒前ぐらいだ。

佐藤はそんな状況にも関わらず、俺の膝の上から退こうともせず、むしろ口を大きく開けて吐くのを待っている。

「青ざめた顔のマイハニー、素敵だな……。だが俺の方が美しい!」

と、自慢げに胸を張って言うと、酸っぱい液が口内いっぱいに溜まりこみ、耐えきれなくなった俺の胃液を、全て飲み込んでしまったのだ。

 …………汚らしい話で本当に申し訳ないが、本当のことなんだ。

「もうですね、閑話休題ですよ!」



「あれ以上は記述したくないとの裾野さんのご希望がありまして、今回はここまでです。でもあの後、あことし、ゆーひょんと茂は居酒屋に行ったみたいですよ。ですが今回は裾野編の更に番外編ですから、体調が回復したあと個室でその……えーっと……な行為をしているお2人を書く訳にもいきませんし……ね」

作者である私は投稿ボタンを押し、自分で作ったチョコを味見し、CODIVAには程遠いと思い溜息をついた。

「本当にこんなくだらない茶番を読んでくださった皆様に、感謝感謝です! これからも、シリアスな裾野編をよろしくお願いいたします!!」

本編にもありますが、本当にこんなくっだらない茶番にクスリでも笑ってくれたら、泣いて喜びます。


番外編本編の次回投稿日は、こちらでもアナウンスしておきますが、再来週の土曜日(25日)でございます。

これからも応援、宜しくお願い致します!

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