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「10歳-こんにちは-」

菅野の人生が180度変わることとなったこの年。

彼の身に何があったのか……?


※前話同様菅野が思い出しながら語るので、話が飛び飛びになっている箇所もあります。

それはあくまでも表現方法の1つです。

※7,200字程度です。長いです。

2005年8月21日 日曜日

槍術全国大会 決勝戦

菅野



 俺は最強やと自負しとるのも、槍術で優勝したからなんや。

せやけど、俺は誕生日にオトンに無理を言って()うて(もろ)た槍術用の新しい装備や武器に興奮するあまりに、ほぼ無人の表彰式をやらざるを得なくなったんや。


 競技としての槍術のルールは前も言ったんやけど、防具無しの袴がユニフォームで制限時間は5分。

時間切れの場合は、ボクシングと似てるんやけど、審判と副審判が得点を見比べて相談して決めるんや。肝心の勝ち方は、相手の槍を吹っ飛ばすか、相手が次に何も手が出せない状態で眉間ギリギリに矛先を向けること。はっきり言うて後者は余程の実力差が無いとほぼ無理な勝ち方やな~。俺も吹っ飛ばして勝ってきたんや。


 ほんでここからが本題やな。勝ち方はもう1つある。前回そう言うたやんな?

それは、”半殺し”……と呼ばれる技や。まさかほんまにする訳、いやでもほぼそうかもしれへんな。

 すばしっこくて気配の無い奴が得意とする技で、後ろからでも前からでもええんやけど、槍の柄の部分の真ん中から上部分に”太刀打ち”ってとこがあるんやけど、そこで手刀みたいに首に思い切り当てて気絶させて勝つんや。

師匠が言うには別に”太刀打ち”じゃなくてもええんやけど、そこを使ったヤツが1番多かったらしいで。


 ほんで、この勝ち方で勝ったヤツの末路聞きたい?

ほんまに後日誰かに殺されるんや。半殺しどころじゃないで。

それも酷い殺され方をされたらしいねん。ほんでその後は、決勝で使う特別な試合会場に晒されていたらしいで。


 俺はそれを決勝戦でやってん。

それまではいつも通りの怪力で相手の槍を吹っ飛ばして勝ってたんやけど、完全にあの時の俺は焦ってたんや。

 決勝戦のときに名前が呼ばれるんやけど、相手の名前、なんやったと思う?

関東代表「関原和斗(かんばら かずと)」やで。

そいつとは顔もオーラも全然似てへんかったけど、「関原」で「かんばら」って読むのは珍しいってオトンから聞いてたから、冷や汗が止まらんかってん。

もしかして俺に弟がいるのかもしれへんっていう恐ろしい考えが、頭をぎゅっと縛りつけたんや。

 そのせいで試合開始前の挨拶の声量も完全に相手に負けてたし、相手は俺の眉間を狙って槍を振り回して攻めていることにも焦って……。だってそれで負けたら、実力差で勝ったと思われるやんか。

道場でも最強、初めて出た試合で、しかも決勝までは最強やった俺が、そんな技で負けてみいや。

恰好つかへんやんか……。

今思えば、そんな恰好なんてちっぽけなもんやったんやけど。


 ほんで焦りに焦った俺は、隙をついて槍を吹っ飛ばそうと振り下ろした筈が、恐怖なんか知らんけど俺を見開いた目でじっと見ている状態で固まっている関原和斗の首に当たって、もちろん向こうは気絶。

その前にあいつの口が何かを言うてたんやけど、聞き取れなかったんや。

まぁ多分、一言か二言かくらいやと思うで。


 そして拍手も歓声も無いまま、試合終了のホイッスルだけが鳴り響いたんや。

ほんで第831回槍術大会は事実上の優勝者無しで、俺はオトンと2人で無言でトロフィーと賞状を受け取ってん。その渡してくれた人も、俺のことを(さげす)むような目で見てたんや。「蔑む」の使い方、あってるか不安やけど。

 帰り道にオトンに俺に弟がいるかどうか聞いたんやけど、見事にはぐらかされたんや。

「その話はまた今度な~」とか言うて。


 それからすぐ俺は道場を辞めて、クラスの皆には「3回戦で負けて~ん。ごめんな~」と嘘をついたんや。

せやけどそれからの俺は何となく元気で、ジレンマやっけな? それも無いまま、俺は殺されなかったんや。とか言うても、一週間もしないうちにとんでもないニュースが飛び込んできたおかげかもしらんけど?


 優勝してから3日後。

オトンがいつもより4時間も早く帰ってきたんやけど、その手には切符が握られていてん。

「竜斗、竜斗! 昨日夜遅くに電話がかかってきてな、オカンがお前を引き取りたい言うてんねん! 弟の和斗も一緒やで! ……あ、今のナシナシ」

と、顔の前で手をブンブンと振るオトンに、俺は裏切られたと思ったんや。

そんなことなんで秘密にしとったのか? なんで槍をやっていることも言わんかったのか?

知ってたら、間違っても5歳から始めたりしなかったんに。


 当時の俺は今よりも短気で口数も少なかったから、すぐに沸点を迎えたんや。

「……やっぱり、あいつは弟やってんな?」

「いや~……ごめんな? 和斗は腹違いの……もう1人のお母さんから産まれた子どもなんや。これ言うたらお前、すぐに会いたがるかと思て内緒にしとってん。せやから、お前が槍を始めたいと言い出した時は鳥肌が立ったんや。和斗とお前は年子やから」

これを聞いた時の当時の俺は、全然気持ちの整理がつかなくて、呆然とするオトンの手から切符をひったくって、荷物を大急ぎでオトンのボストンバックに詰め込んで家を飛び出したんや。

 オトンに裏切られた。和斗は腹違いの弟? 俺は関原家の優秀な一人息子と言われて育ったんに?

オトンは嘘つき。もう大嫌いや。

それしか頭に無くって、学校のこととかあしながおねえさんのことも頭から吹っ飛んでたんや。

かと言うて、冷静になったのは関東駅についてからなんやけどな。


 関東駅に着いた俺はまずオカンが居るかもしれんと思って、駅員さんにアナウンスをかけて(もろ)たんやけど、待合室にオカンは全然来()んまま1日が過ぎたんや。

 2日目。流石に何日も待合室に泊められへんからって追い出されて、俺はレンガ造りの関東駅の駅舎を見て感動しながら歩いていたんやけど、関東の人間の歩くスピードが速すぎて、どんどん流されてしもうて、気がついたら大通りから少し外れたところに来てん。

せやけど、めっちゃ重いボストンバックを漁ってたら2リットルの水が入ったペットボトルが入ってたんや! これは1つ目の奇跡と呼んどる。ぬるかったから、非常用に入れていたのかもしれへんけど。

それからもっと奥まった日陰の涼しい路地裏に移動して路上で初めて寝たで。


 3日目。俺は水を少しずつ飲みながら、道を歩いている人たちにオカンのことを聞いたんや。

せやけど全然あかんくて、結局日が暮れんや。

ご飯は非常食でなんとか食いつないでいたんやけど、ここでまさかの非常食をきらすという事態に陥ってしもて、ほんでボストンバックをまた漁っていたら、1000円札が見つかってめっちゃ安心したんよ~。

それでもこの路地裏で寝泊まり。お金は少しずつ使わなあかんからな。

そしたら、「最近、誘拐が多いんだってね~」「関東大丈夫かよ~」とかいう声が聞こえてきて、俺はすっごく不安やってん。自分、めっちゃ誘拐されやすい状態やんか。


 まぁ運よく何事もない4日目の朝が来て、またオカンの写真を手に何か知らんか聞いていたんやけど、その日も全然あかんかってん。

しゃあないから、人生初のコンビニでおにぎり1個だけ()うてん。

ちなみに味はツナマヨや。塩むすびなら100円やったんに、そこは欲求に勝てんかった。

 5日目。いい加減風呂が欲しくなってきた頃やってん。

流石に5日間風呂無しは、ほんましんどかった記憶があるで。

ほんでこの日は水も切らして、服も5着目やったから、どこか公園にでも行って服を洗おうと思て、移動していたんよ。


 その日の昼はほんま暑くて、2リットルの水が無い分少しは軽なったんやけど、防災グッズが色々入ってたからまだ重かったし、汗だくだくやってん。

ほんでやっと公園に着いて、服を洗ったり水分補給をしてたんやけど、全然人が居らんくて、不安になって入口に戻って看板を見たら、「誘拐注意!」と 子ども用に「ゆうかいちゅうい!」の貼り紙や。


 それにしてもなぁ……とか思いながらうろうろ歩いとったら、突然後ろからアイマスクみたいなものを付けられて、何か叫ぼうかと思っていたら口を軍手か何かした手で塞がれて、そのまま運ばれていったんよ。

ほんで……俺、誘拐されてん。

笑いごととちゃうで。ほんまに怖かったんやからな!


 しばらく車で移動して、また人の手で運ばれて、家のドアが開く音がしたんよ。

そして鍵の閉まる音がして――

ごめんな……ここから結構話すのも怖いんやけど、話すと言ったからには頑張るで。

 俺は誰か複数人に服を脱がされて、お風呂なのか知らんけどぬるめのお湯の中に投げ入れられてん。

深さはそんなに無かったんやけど、押し付けられる度に顔が沈むくらいやから、死ぬかもしれないと思ってん。あの槍術の呪いかとも思ってん。

ほんで、口の中にお湯が入るんも構わず体中をタオルか何かで洗われてて、その途中で女の声ばかりが飛び交っていてん。

「ユミコ! あんたはほんっとうに下手くそね! しっかり洗わないと、‟商品”として出せないじゃないの!」

「すみません」

「声が小さいよ! あんたたちも大事に扱いなさい? このスタイルの良さなら多分……結構値段いくと思うから!」

「「「「はい!!」」」」

 え? ‟商品”? 俺が? 値段?

当時の俺も今の俺もやけど、これの実態については詳しく知らんのや。

せやけど、当時の俺はもっと怖い思いをしとってん。


 自分が……売られる……?

お湯の中に入れられて、ただでさえ死の恐怖から心臓が飛び出しそうな俺に浴びせられる言葉は‟商品”。

……それだけやなかってん。

御贔屓(ごひいき)の方々に買っていただくために、この‟モノ”の身元を調べておくんだよ」

「はい! (あね)さん! 今身元がわかりました! 関原竜斗、今は10歳だそうです!」

「よし。洗い物が済んだら、待機室に送れ。次は明後日だったはずよ」

「左様でございます! それでは、一通り終わり次第送ります。ユミコ、待機室で‟商品”を見張ってなさい。」

「……はい」

俺は魚なん?

当時の俺はまずそう思ってん。

大事に扱えとか、身元、とか、得意先、とか……。

俺はどんどん怖くなって、頭の中は混乱しすぎてこれ以上何も考えられへんかってん。

逃げようとか、オカンが助けてくれへんかな、とかも。全く何も。


 しばらくして何人かに服を着させられ、ドライヤーで乱雑に髪を乾かされた俺は、誰かに腕を引かれて待機室に送られてん。

……待機室がどんな部屋やったのかは知らんけど、暑いとも寒いとも思わんかったから、クーラーでも入っていたんかな。

 そうしてずっと待機室に居ると、だんだん冷静になってきてん。

そこでやっと自分が誘拐されたこと、オトンに謝らんとあかんこと、オカンに会おうとしとったこと、あしながおねえさんのこと、そして学校の皆のことを思い出したんや。


 そしたらな、無性に逃げ出したくなってん。

せやけどアイマスクはされたままやったし、毎日朝昼晩のマズイ濃い味のご飯が出るから、結局じっとせなあかんかった。

それに毎日お風呂もトイレも誰かにされる。

そのことが俺の自尊心ってやつを傷つけていったんや。

せやから今でも……ちょっと女性が怖かったりすんねん。

――槍があれば。

次の日にそういう思考が俺を支配したんやけど、その槍で俺は卑怯な勝ち方をしたんやから、もう二度と見たくなかってん。

それに「たら、れば」なんて叶わへんのも知ってるし……。


 そうしているうちに、「姐さん」と呼ばれていた女が言ってた「明後日」が来てん。

俺はアイマスクをされたまま、車に乗せられてん。

両隣には誰かが居て、腕がずっと当たってたんやけど、そのことが更に俺の恐怖心を煽っていたんや。

ほんで何分乗ってたかは知らんけど、どこかに着いて降ろされて、手を引かれて歩いて、突然アイマスクを外されたと思ったら、どこかの舞台袖やってん。

そんで目が外の世界に慣れてへんかったから男か女かもわからんかったけど、スタッフに後ろ手で手錠をかけられて、俺はステージをじっと見つめててん。


 聞こえてくるのは、楽しそうに司会をする男の声に、俺が聞いたことも見たこともないような大金を叫ぶ男女の声。そして俺と同じ‟商品”のすすり泣く声。

ほんでふと周りを見渡せば、皆俺と同じくらいの年の子たちやってん。

みんな手錠をされ、みんなうつむいて……みんな……いずれ売られる。

その恐怖から俺も正直足がすくんでてんけど、誰かきっと……スーパーヒーローが助けてくれはると信じていてん。オカンでも和斗でもええから、和斗には謝りたかったこともあったし、誰でもいいから助けてほしい。

そう強く願いつつも、スタッフに蹴られながらステージに出たんや。


 眩しくて目を瞑りたくなる程のステージには、赤いスパンコールの派手な衣装を着た司会者が居て、客席を見れば、俺のことを足先からつむじまで舐めまわすように見る客たちが居てん。

今ならある程度の目的は思い浮かぶんやけど、当時の俺にはどうして俺が欲しいのか、全くわからんかった。こんな貧乏人の子なんて……誰が欲しいねんってな。

 そしたらな、司会者が大きく咳払いをして客たちの声を静めて、

「さぁ……続いてはナンバー0031、関原竜斗、10歳!! 関西生まれ、関西育ちの無垢で日に焼けた綺麗な肌の男の子! そしてみなさん、わたくしの背後にある巨大モニターをご覧下さい!! これは販売元から送られた写真ですが、実にスタイルが良い!! 顔だちは近くで見ていますが、かなり端麗ですよ~? 皆さん? この子は実に優良な‟商品”ですので、開始価格はお高くなります!! 2,000万円からスタートです!!」

司会者の威勢の良い掛け声が響き渡ると、しばらくは沈黙に包まれてん。


 なんや……誰も買わへんなら、俺は帰れるやんか。

当時の浅はかな俺はそう考えていてん。

せやけど、そう思った直後に響くのは、「2,500万!」「2,700万!」「3,000万だ!!」

……え? 命はお金では買われへんのとちゃうの?

そう信じていた俺の心を打ち砕く具体的すぎる値段の数々に、俺も前の子と同じように涙を零していてん。

そしたらどんどん会場がヒートアップして、「5,000万!!」「いやその涙は7,000万だ!!」

と、思いとは裏腹に値段が付けられない筈の‟俺”という人間の値段は、つり上がる一方やってん。


 もう俺は顔をぐしゃぐしゃにて泣きじゃくって、その場に泣き崩れてん。

ほんで目を閉じて、何も見ないようにしてたんや。

せやけど司会者に無理やり立たされて、後ろからぎゅっとぬいぐるみみたいに抱きしめて、

「抱き心地も最高ですよ!! 皆さん誰でも、男女兼用でたまには癒されるのもアリかと!! いかがでしょう? 2億でストップですか~?」

と、更にプレゼンをする司会者なんやけど、持ち金が無いのか、客がみんな黙ってん。

ほんで俺を解放して、「らくさ……」まで言いかけた瞬間やったな。

「10億だ!」

という渋い声が響き渡って、会場がどよめいてん。

そしたらな、司会者は嬉しそうに頷いてはった。まるでそのタイミングに言ってくれ、とばかりにな。

そして……「後鳥羽様、いつもありがとうございます!! 落札です!!」という言葉が響いて、今思えば客たちはわざとらしく残念がってたな。

多分、元から後鳥羽家に譲ってたんとちゃうの?

ほんまそういうの嫌やわ~。


 そして俺は一旦、売られる時と違って丁寧にスタッフに誘導されて、舞台裏で後鳥羽ってやつと会ったんや。なんやろ……引き渡しの儀式かと思ったで。

ほんで後鳥羽家の人たちは、値段を叫んだ当主、長男、次男が居ったんや。

そこには俺を売った女たちも来てて、ぺこぺこ頭を下げとったで。

「後鳥羽様、毎度ありがとうございます!!」

声からすると、「姐さん」と呼ばれていた女やってん。

せやけどまだ20歳くらいの見た目年齢やったで。

「こんな良い‟商品”、どこで仕入れたのかね?」

そういう後鳥羽家当主は、高そうな和服でどこか偉そうやってん。

「関東の公園を1人で歩き回っていたので、仕入れてきました」

そう話すのは、「ユミコ」と呼ばれていた女や。

ずっと俺を監視していたらしいから、多分さらったのはこいつかな?

「ほう……。って、父上! 落札したはいいのですが、こいつをどうするんですか? 執事なら足りてますが?」

これが後鳥羽家長男。今ならこうやってわかるんやけど、当時は何が何だかやってん。

「父上。愛子の玩具はいかがです? 後鳥羽家(ウチ)には後白河のような男色はいませんし……」

こっちが次男。見分け方は、背の高さや……ウソウソ、髪型とちゃう?

「そうだな。利佳子にはまだ早いからなぁ……愛子の好きにさせろ」

「かしこまりました」

次男はそう言うと、スタッフに手錠を外させて俺の腕を赤くなるくらいにギリッとねじって掴み上げ、

「俺より顔とスタイルが良いからって、調子に乗るなよ? お前は今日から‟商品”ではなく、妹の愛子の玩具だ」

と、耳元で言われて、背筋が凍ったで。ほんまに。

買われたら終わりとちゃう。

 ここからなんや……辛いんは。

そう実感しとったんやけど、どうもステージの方が騒がしくなってん。

ほんでスタッフは慌てて舞台の方に行くし、楽しそうだから言うて後鳥羽家の人たちも俺と一緒に舞台へ行ってん。


 そしたらそこは……さっきまで華やかな司会者に競り合う客たちやったのに、今は怒号と血の臭いでせき込むくらいの惨状になってん。

それを見た後鳥羽家と俺は、引き返そうとしたんや。



現在に戻る。

裾野、菅野&騅の部屋

菅野



「菅野」

いっこうにその先を話そうとしない俺にしびれをきらせた裾野は、俺を睨みあげてそう言うた。

「なんや?」

「俺と出会う前だから尚更なのだが、その先……気になるだろう?」

「そうですよ~。気になりますよ、菅野さん!」

裾野と騅は、俺をギラギラした目で見てくる……あれ? 区切るところしくった?

「一応、ここまでが中盤やし……丁度ええかなって」

「では人間オークション前にしておけばっ……お前は本当に……!!」

と、眉間に皺を寄せて怒りを抑える裾野に、騅は何度も頷いてん。

「キリが悪いですよ~。長いなら考えて切りましょう?」

「あ~……ごめん。悪いんやけど、その先はまた次や」

そう言うた瞬間、2人と1匹の目の色が変わったことは言うまでもないやんな。

菅野が気になる箇所で切って申し訳ございません。

丁度真ん中と言ったらここらしいです。

ですので、後半を明日(8月7日(日))に投稿します。


人間オークションに出され、後鳥羽家に買われた菅野。

しかし、ステージに戻ると血の海に……一体、この先どうなる!?


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