「IF-Another Black Story-」
バッドエンド1
IF……もしものお話。
内容を読む前に、BlackなStoryになる条件のようなものを下記に記します。
・淳と付き合わずに合宿を終える。
・弓削子さんと異常に仲が良い状態。
・裾野から嫉妬や心配をされている。
……以上3つの条件があった場合、バッドエンドになる。
分岐ポイント:騅の初殺人目撃後、けーちゃんと話して部屋に帰る。(番外編本編では、楽しそうに帰っています<番外編本編19話参照>)
その時に裾野が答えを訊いてきます。
※約2,700字程度です
※BL注意、そういうシーンはR18設定ではないので飛ばすにしても、注意報発令
※病み注意。一切の責任を負いません。弱い方は読まないことをオススメします……
2012年9月6日深夜……
裾野&菅野の部屋
菅野
俺は弓削子さんと仲良すぎて困ってるくらいやねん!
合宿で淳に告白もしないまま、結局ダラダラ帰っているところに現れて、突然唇を押し付けるなんて……。
路上やぞ!? ちゃうな、組織敷地内やぞ!?
もう、ほんまどないしよ?
裾野は気づいてるんかな~?
そんなことを考えながら部屋に戻ると、裾野がバッと振り返ってん。
その顔は……鬼そのもの。赤黒いオーラをバンバン出して、俺のことを睨みつけてん。
せやけどすぐにいつもの顔になって、手招きながらパーテーションをくぐって行ってん。
どないしたん……? 最近精神的に辛いんか、騅の返り血まみれの顔を見た瞬間、崩れ落ちてたし……。
ほんでパーテーションをくぐると、裾野は自分のベッドに腰かけてて、俺のベッドを指差してん。
やっぱり表情やつれてるなぁ……今日は早く寝かせよう。
明日は弓削子さんとデートやから。それじゃ俺も早う寝んとな!
俺がベッドに胡坐を掻いて座ると、裾野はギリッと眉を潜めてん。
「菅野。あの時の返事を聞かせてくれ。保留はナシだ。」
裾野は俺の心を見透かそうとするような……鋭い目つきをして訊いてきてん。
せやけど俺は……俺は……弓削子さんのことを本気で好きになったんや。
イケないことやって……皆に言われた。
それはもう”不倫”やと。
弓削子さんの単なる暇つぶしかもしれない、とも言われた。
それでも……好きになってしまったんやから……もう、言うしか……イチかバチかで言うしかあらへん!!
「俺は……弓削子さんが好きやねん。せやから裾野、頼むから――」
俺が胡坐から正座に座り直して真剣な表情で言うと、裾野は俺のベッドに近づきながら、
「では、弓削子からお前を奪えばいいんだな?」
そう満面の笑みで言って、俺を押し倒してん。
「な、何言うてんねん!? 裾野が弓削子と別れればええやん!」
俺が抵抗しながら言うと、裾野は「そうじゃない……俺は……」とか何とか言いながら、俺の服に手をかけてん。
「い、嫌や! 離せや!!」
無理矢理首に顔を埋める裾野を引き剥がそうとしても、”怪力”相手じゃ歯が立たへん。
そう思ってたんやけど、不意に力を抜かれて突き飛ばすと、裾野はまた俺に覆いかぶさってきてん。
ほんでお互いの鼻がぶつかりそうなくらいの距離で、真顔で……こう言ってん。
「俺はお前が欲しい。お前の”心”が欲しくて、今まで優しくしてきた。」
裾野は、わなわな震えて声にもならへん声で助けを呼ぼうとする俺を抱きしめてん。
「……本当に苦労したよ。一度女を好きになれば忘れると思っていた。だけど違った。お前が……お前だけが……俺の失った”ココロ”を埋められると確信したんだ。だから――」
裾野は俺から身を離すと、ニコッとほほ笑んで、
「オレノモノニナッテクレ。」
そう憑りつかれたように言うた後の裾野は……裾野やなかってん。
今まで触られたことも、触ったことも無い場所を無理矢理咲かされ、あまりの痛さや怖さに抵抗すれば……
「言うことも……キケナイのか……」
ぜぇぜぇ荒い息をしながらポケットから取り出したのは、いかにも頑丈そうな手錠。
それは遊びで付ける緩い手錠とは、とても比べ物にもならんかってん。
ほんで俺の両腕とベッドの柵に括り付けて、俺は涙を浮かべて、貪り食らう獣をただただ見ることしか出来へんかったんや。
もしかしたらこれが本物の裾野なのかもしれへん。
辛いことを経験しすぎて、おかしなったんかな……俺のせいで……。
次の日の朝。
記憶があんまりないんやけど、お風呂に連れていかれて後処理みたいなことをされた後……どこから買ってきたんかは知らんけど、リード付きの首輪で俺を縛ってん。
手錠はあれからされたままやけど、俺の両腕を腹の前で縛った形やで。
ほんでな……服も着させてくれへんねん。
「今日からお前は俺の”モノ”だ。服は”人間”様が着るものだろう?」
言うてな。
俺は”商品”扱いされたあの時がフラッシュバックして、もう言い返せへんし、全身が恐怖で震えがって逆らうことも出来へんかってん。
それに携帯も没収されて、目の前で壊されたんや。
そんな状態やから、学校にも行かせてくれへんねん。
せやけど友達が多い俺のことやから、きっと誰か……誰か迎えに来てくれるんやろう……?
誰か……誰か……助けて……
――ゴンゴンゴン!!
――ガチャガチャガチャ……
「菅野!! 菅野!!」
「ここを開けてくれ!! 裾野さんが帰ってくる前に逃げよう!!」
……言いそびれてたわ。裾野は「お前をしつける道具を買って来る」言うててん。
このままここに居ったら、それこそ手遅れやけど……ここで逃げたら……庇ってくれた皆はどうなるん?
皆……裾野に殺される。
俺も……二度と……うぅ……。俺はその気持ちを伝えるために、扉の前に立ってん。
「皆、ありがとう。でもここで俺が逃げたら、裾野に見つかったら……皆は……死ん――」
「総長が匿ってくれる言うてるで! 早う出んかい!」
……淳の声や。あの時言えへんかったのに、彼女は俺を助けようとしてくれている。
俺はこの気持ちに応えるべきなんやないの……?
――そう思って鍵を開けて出ようとした、そのとき。
「人間語が通じるとでも思っているのか……?」
裾野の一声で、俺は一気に希望の崖から突き落とされてん。
もう……ダメや…………皆、逃げて……。
「ほら、退いた退いた。始業ベルまで後5分だぞ。」
裾野は陽気にそう言うと、扉を開けてん。
そして中に入ろうとする同級生たちを押しのけて、バタンと鍵も閉めてん。
外には扉をたたき続け、ドアノブを回し続ける同級生たちが居る。
ほんま……ごめん……。
ほんで裾野の両手を見ると、袋に入った大量の道具、ロープ、変な色の薬に、液体……。
その光景に嫌気がさした俺は後ずさりをしたんやけど、裾野はドサッとそれを置いてその場で俺を押し倒してん。
「イイコにしてたか? 俺の猫ちゃん。」
そして”印”の上に手のひらを置いて、
「”一生俺の言うことを聞け”」
言うてん。そしたら、Master:と書かれたあたりに、じゅわっと焼ける音がして慌てて見ると、”Susono”と書かれてて、「嫌だ!」と言おうとすると、体中にビリッと電流が走ってん。
「……っ!!」
「これで一生、お前は俺の”モノ”……。何でも聞いてくれるよな?」
裾野は俺の太ももをゆっくり撫でて、舌なめずりしながら言うてん。
こんな裾野……嫌や……そう思っても、勝手に俺の口からは、
「はい。」
という力ない言葉が出てきてん。
現在に戻る……
ほんで今はどないしてるかって?
それは……
「おい、猫。俺を癒せ。」
裾野……いや、マスターはベッドで俺を呼んでいる。
「……はい。」
俺は今日もマスターの為に身体を差し出し、”ココロ”を埋めてさしあげている。
ドンドンと響く外野の音を聞きながら……
IF-Another Black Story-
”マスターはあなた”
バッドエンド2、ハッピーエンド1,2もあります。
病んだ、うわっ……と思った方、すぐにハッピーエンドをお読みください!(一旦、目次に戻りましょう)
また、こんなもん、平気だ! もっと来い! と言う方は、バッドエンド2へ。(次の話から読めます)




