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「17歳-1番ショックだったのは、この時期かな……-」

 騅の運命の歯車を止めようと奔走する裾野と菅野。

そしてついに告白された菅野。その裏には……。

 ……ここにきて新キャラ登場!?


※約7,700字程度です。

※ルビがあるところは、菅野が読めない字という想定に誰が気づくのだろうか……。

思い出しながら書いております。

2012年8月20日昼……

裾野&菅野の部屋

菅野



 今日も何気なく見ている事後報告ニュース。

俺はテレビを観るにはもってこいの裾野のベッドの上に腰かけて、裾野は料理をしながら音声だけで楽しんでてん。

何となく最近気分悪くて、ぼーっとする時間が多いねん。夏の暑さのせいなんかな……?

 せやけど、次の女性アナウンサーの一声で2人同時に振り返ってん。

〈本日の名家ニュースです。後醍醐家の養子として育てられている後醍醐騅さんが、片桐組に出入りしていることがわかりました。後醍醐騅さんと会っているのは、毎度お世話になっている、NEGA-PIOXさんのリーク情報によると、えっ!?……失礼致しました。片桐組のエーススナイパーの黒河月道さんと会っているそうです。残念ながら話の内容はわかっておらず、更なる情報を求めております。……〉

 名家ニュースは、二強の家についての特集とか財産ランキングの発表とかやってるニュースやねん。

いつもなら後鳥羽家が出るから嫌やって言う、黒髪の欲しがりのせいで見られへんのやけど、今日は鳩村はんから連絡が入ってて、絶対見て!って言われててん。

「そういうことか」

裾野は(たくま)しい腕をブンブン回して、肩を動かしながら言うてん。

「なぁ、裾野? 黒河月道って誰や?」

俺がベッドの上に胡坐(あぐら)を掻いて座り直すと、パーテーションの向こうに居る裾野に聞こえるように言うてん。

名家ニュースでは基本顔写真も出えへんから、全然わからんねん。

いつも胸を見せつけてくる女の人か、ムサ苦しい男の人の顔を見るしかあらへんねん。

「……」

裾野は黙ったまま。物音もせえへんし、何があったんかな……?

そう思ってパーテーションをくぐったら、めっちゃ真剣なオーラでスマフォをいじくる裾野が居ってん。

料理も途中やし、もしかして大事な連絡なんかな?

大事な連絡なら尚更やりたくなることがあんねん!


 それは、邪魔しまくることや!

いつもなら、邪魔する手前で頭をガシッて掴まれるか、機嫌が悪いと蹴りいれてくるから、今日もバレずに邪魔するで! 今日こそイケるやろ。

 少しずつ距離を詰めて無事に背後に回れたから、右の脇の間から画面を覗いてん。

裾野はもう大人やし、俺が見たらアカンものでも見てはるのかな、と覚悟してたんやけど、普通にメールの画面やってん。しかも宛て名……黒河月道!?

あいつは片桐組のエースなんちゃらやぞ!?

まさか裾野……裏切るつもりなんかな?

もっと見たい……宛て名までしか見えへんし……思って、少しずつ脇の間から頭を……

「ん? どうした、菅野?」

上から降り注ぐ裾野の冷たい目線。しれっと見よう思ったら、スマフォの画面は俺に背ける形にしててん。

「それ……見たかってん」

俺が携帯を指差しながら言うと、裾野は腰に当てていた手を俺の腰に回してきてん。

「お前にはまだ早い話をしてるだけだ」

「相手黒河やん。そいつ、いくつなん?」

「本人に聞いてくれ。多分、こいつとはまた会う気がするから」

裾野はそう言うと、スマフォをジーンズの尻ポケットの中にしまってん。

それから、フフッと思い出し笑いをすると、

「まぁ強いて言うなら、お前が苦手なタイプだろうな」

言うて、俺のことを解放して腹を抱えて笑ってん。

俺めっちゃムッときて、裾野のスマフォ目がけて蹴りいれようとしたら、俺のふくらはぎを掴んで、寂しそうな表情で俺のことを見下ろしてきてん。

「菅野、あのな……?」

「な、なんや?」

俺が左脚を引っ込めようとピョンピョン跳ねながら言うと、裾野は素直に手を下してくれてん。

「お前が仲良くしたがっている後醍醐騅は、明日殺人を犯すことになっている」

「……」

俺は無気力になって、その場にへにゃんと座りこんでん。

どこからの情報や? とか、なんで? とか、今まで何かできなかったん? とか……今なら思いつく質問も、この時は何も思いつかなくて、ただ死んだ目で床をじっと見ててん。

「お前はここに残れ。精神的にくるだろう?」

裾野は俺の目の前にしゃがんで、頭をふわふわ撫でてくれてん。

その顔はほんまに優しくて、うっかり頷きそうになるくらいやった。

せやけど、そうしたらきっと一生後悔する気がして、俺はゆっくり首を横に振ったんや。

「ん、わかった。夜に仕事が1本入ってるから、お昼ご飯でも食べてゆっくりしててくれ」

裾野はそう言って手を離そうとしたんやけど、俺の髪が結婚指輪に引っかかってん。

「痛っ……」言うと、裾野は目を丸くしてんけど、すぐにゆっくり俺の前髪から抜いてくれてん。

 ほんで御粥を温めている裾野が、ボソッと言った言葉は今でも忘れられへんねん……。

「もう……結婚生活なんて疲れたな……」

多分やで? ほんま多分。俺のこの時の予想やと、ときどき弓削子さんの為に御飯を作りに行ってるんとちゃうかな?

実際は……ま、これは裾野に訊いてや! 俺は知らんもん。

 それから俺は御粥で体を温めながら、まどろんでてん……気づいたら17時……あー、寝てたやつやな。

いつの間にか食器は無いし、身体を起こすとスルッと何かが肩から落ちてん。

「毛布……?」

ネイビーの薄い生地の毛布。これ、ここに来た時からあったやつやな……。

まだこんなに綺麗なんやな、ほんま物持ちええわ!

「お前の席だと、直に冷房が当たるだろう」

裾野はあきれた顔でそう言うてるんやけど、たしかに……横からガッツリやってん。

「大丈夫か?」

「……うん」

裾野はニコッとほほ笑むと、「武器メンは?」って冷ややかな目で見てきたんやけど、そう言えば終わってへんわ!

あー……槍穂と鎌研ぐの面倒やわ~。

そろそろ言うとくか! 俺の使ってる槍は裾野からの貰いものやけど、管槍(くだやり)っていう槍やねん。薙ぎ払いと突きに強いで。

メンテナンス以外に話すこと……せや、体調は万全になったで!



その日の夜……

都会の某ビル前

菅野



 俺と裾野が車を降りると、ちょうど視線の先の空に流れ星くらい強い光が走ってん。

裾野はすぐに「あいつか」ポツリと言うて、何も知らん俺の腕を掴んで引っ張ってってん。

階段を上っている間に鳩村はんからメールが来て、

『藍竜組が放った間者の死亡が確認されたよ! 犯人は黒河月道。出来れば殺さないでね……裾野くんは知ってるけど、彼は片桐総長の大のお気に入りだから、お願いね!』

この感じやとめっちゃ焦ってはるな……。

それにしてもそいつ、総長に好かれるなんて……裾野っぽいんとちゃうん?

……とか何とか思ってた俺の予想は、この後あっけなく崩れ去るんやけどな。


 屋上に着いた頃には、黒河は撤収を終えててん。

……ま、ここからは騅が話してくれたから、省略するで。

俺のこの時の黒河の印象は、めーっちゃ最悪や。

愛想ないし、ロン毛やし、女っぽいし、偉そうやし、つまらなさそうやし、訳わからん。

それと裾野が言うてた脅迫要件やけど、俺は初耳やで?

「俺ら」なんて言うてたけど、初耳やで?

何ならもう1回言おか? しつこいな、ごめん。


 ほんじゃ、騅が話してくれたところの後の話をするで。

裾野につままれて階段を下りた後、一旦組に帰って裾野と一緒に報告をしてん。

藍竜総長は残念そうにしてたんやけど、殺したのが黒河と聞いた瞬間、「仕方ないか……」言うててん。

 そんなに”お気に入り”を大事にせなあかんの?

アホな俺にはようわからんねん……。嫌いやから邪魔やからで殺したらあかんの?

そないなこと考えてたからか、不満そうな顔をしてたらしくて、総長は俺に呼びかけてん。

「後醍醐騅という人を助けたいなら、人の力を使いなさい。最後に1人で突っ走ることは良いが、それまでは何人でもいいから、人を頼りなさい。君たちにはもう時間が――」

「総長。その辺でよろしいですか?」

総長が何か言いかけた瞬間、裾野が刺々しい声でそう言うてん。

それに対して総長は苦笑いを浮かべててん。

はぁ……ほんまこの2人の話には付いていけへん。

せやから出て行くときに、「ありがとうございます」とだけ言うてん。

総長は嬉しそうに頷いていたんやけどな。


 ほんで部屋に戻ると、裾野は電気を付けながら「ベッドに座って待っててくれ」とだけ言うてん。

しばらく待ってたら、裾野がそっと隣に座ってきてん。

横顔を見ると、真剣そのものやねん。何の話やろう?

「先程総長の言葉を遮ったのだが……それはな、俺に副総長になれとのお誘いをしていたから、時間が無いとでも言って、返事を渋っている俺へプレッシャーをかけたかったのだろうな。」

裾野は一旦そこで言葉を切ると、自分の唇を2,3回なぞって、

「もし俺が副総長になれば、お前との相棒は解消だ。だが、恋人同士なら……そのまま相棒で居られる。…………急な話であることはわかってる」

裾野は拳をぎゅっと握って、声を震わせて言うてん。ずっと1人で悩んでたんかな? それとも鳩村はんや龍也さんに相談してたんかな……?

「菅野、俺と付き合ってくれないか?」

今、俺にはいくつもの選択肢がある状態やんな?

裾野の真剣な告白を受け入れる、断って1人になる、または淳と組みなおす、保留。

 もちろん、裾野のことは好きやで? でも、そういう意味やない……オトンみたいな存在やし、相棒として信頼している方の好きやから。

 1人にはなりたくないねん。料理作れへんし、何にも出来へんから。

 淳と組み直してもええで? でも男女共用の部屋にお引越しやねん。そうなると、個人部屋やないねん。男女8人の共同生活が待ってる……淳と居られるのはええけど、これはちゃう。ゆっくり出来へんし、嫌や。

「保留!」

俺の渾身のドヤ顔に、裾野はブッと吹き出して笑ってん。

「何だそれは? 全く、俺に似てきたな。」

そう言うて笑ってるんやけど、オーラはどこか寂しそうやねん。

「はぁ!? どうせ裾野のことやから、予想出来てたんとちゃうん?」

俺がそう言ってからかうと、裾野は俺の両肩をガッシリと掴んで、

「お前なら予想出来てたやろって? ……そんな訳あるか。前も言ったが、俺は神様でない。強いて言うなら、後鳥羽様だ」

関西弁下手やし、後鳥羽様言うてる裾野の顔が真剣やから、今度は俺がツボにハマッてん。

裾野は何でウケたのかわかってへんらしくて、キョロキョロしててん。

 しばらくして落ち着いたときに、俺の気持ちも伝えなあかん思って言うてん。

「裾野のこと好きやで? でもな、それは相棒としての信頼感やから……。それに裾野はきっと色んな事したいとかそういう好きやろ? それなら……保留や。せやけど、これからも迷惑かけるから……その……よろしくな」

俺が握手を求めると、笑顔でぎゅっと強く握ってくれてん。

 なんだかんだやってるけど、今でも保留やで?

言いそびれるところやったけど、この後淳から俺の体調を心配するメールが届いてん。

それを裾野に言うと、「女の勘か」言いながら自分のメールも見せてくれてん。

送り主は龍也さんやったけどな……。



 翌日。言うても午前3時45分。現在地はまだ後醍醐家前。

あれからまた仮眠してたら、いつの間にか3時10分になってて、慌てて準備して後醍醐家に乗り込んでん。

時間と場所は鳩村はんが教えてくれたし、移動車はいつも通り裾野のやで。

何とかして騅が標的を殺す前に、俺が突っ走ってでも……!

 そう思って後醍醐家に乗り込むと、誰も居らんかってん。

「片桐組の黒河月道と佐藤永吉が居る筈だが……。ということは、もう手遅れか……」

裾野は「ちょっと見てくる」言うて、殺害現場の別棟に入ってってん。

 騅はまだ遠くに行ってないんじゃ……?

俺はそう思ってキョロキョロしてたんやけど、どこにも金髪は居らん。

 ほんまにもう逃げた後……?

黒河……大分教え込んだんやな。

 そう思って待っていると、裾野が首を横に振って出てきてん。

「あの刺し傷……殺す時に人格が変わるタイプだな」

「……」

「遺体を見たのだが、何で私が?って顔で白目をむいていた……」

「……もう、やめてや……?」

俺は想像しただけで心をチクチク針で刺された気持ちになって、ガクッと俯いて言うてん。

「悪い。でもこういう話に慣れないと、将来鬱病になるぞ」

裾野は俺の手を取ると、ぎゅっと握ってくれてん。手、めっちゃ温かい……。

「……温かい」

俺が顔をあげて言うと、裾野が何か言いかけてんけど、男の人の怒号でそれがかき消されてん。

「森の方だな」

裾野は俺の頭をポンポンと撫でると、森の方に入っていってん。

 俺も後に続くと、そこには傷だらけで倒れている黒河と、そのそばで言い争う片桐組軍服の男の人2人が居ってん。

1人はめっちゃ背が低くて、もう1人は屈んで話しててん。……大人と子どもの口喧嘩なんかな?


「俺は黒河月道を殺す!」

「絶対ダメっす!! 総長に殺されてもいいんですか!?」

「こいつのせいで、こいつのせいで! 実力で奪い返せって言われてるんだよ、俺はぁ!!」

「あーうっさい! 奪い返し方が卑怯だっつってんの!」

……これ、面倒すぎひん?

俺、めっちゃ帰りたい……。

そう思ってたんやけど、裾野は2人の間に堂々と入っててん。

「まずは黒河月道の手当からでは、生け捕り許可証を持った忍者? それとあなたは確か、元エーススナイパーでしたよね? 日ごろの鍛錬とメンテナンスを怠ったと聞いてますが?」

「……」「……」

うわっ……2人とも黙った!!

裾野の記憶力と観察力に拍手やんな!

「……はーい。」

チビ忍者は黒河の胸とお腹をぺちぺち叩いて起こそうとしてるんやけど、それでええの……?

言うてる俺もそうしそうやけど。

「外傷はそこまで大きくないな……。木と茂みがクッションになったみたいだ。忍者、回復体位にしてくれ。」

裾野は少し黒河の身体を触ってから忍者にそう指示すると、今度は元エーススナイパーの前にドンと立ちはだかってん。

「安定したら、こいつを運んでください。忍者では身体が引きずられてしまうから。……いいですね?」

「は、はいっ!!」

元エーススナイパーは、ビシッと敬礼までして大声で言うてん。

ほんま裾野は味方がええなぁ……せやろ?

「あと、騅が逃げた先は?」

「ひぃっ……あ、あの――」

「知らないでーす。あ、よく見たら裾野さんだ。兄が泣きながら電話を寄越してきて面倒だったので、半殺しは()してくださいよー」

忍者は唇を突き出して不満そうに言うと、すぐに何度も黒河の名を呼んでいてん。

 裾野が苦笑いしながら俺のところに戻ると、どこかで空間が引き裂かれそうなくらいの悲鳴が聞こえてん!!

「今の、方向わかる?」

「任せろ」

と、俺に言うとすぐに後ろを振り返って、

「怪我人だから慎重に運んでくださいね!」

そう大声で言うてん。気配りの天才やんな~?


 ほんで裾野の背中を追いかける形で走ると、3軒離れた斜め向かい側の1軒の家のドアから返り血まみれの金髪の男の人が見えてん。

……あれが……騅?

ほんまに騅?

笑顔の似合うあの騅?

なぁ……なんで?

俺は……どうして……?

もっと早く……もっと……かわい――

――ガバッ!

「その痛み、半分くれないか?」

その言葉と同時に、俺は裾野の腕の中に居てん。

そのおかげで、返り血に染まった騅は視界に入らへんから、正直助かっててん。

「うん……」

もうこの一言を言うだけで、ダム決壊やねん。

「男だから泣くな、とは言わない。だが、もう少しだけ我慢できないか……?」

裾野が呆れた顔で見下してくるんやけど、これはもうしゃあないと思うで~?

「だって……」

「ハイハイ」

裾野はそう言うて、背中をさすってくれてん。


 ほんで「もうええよ」言うて離れたときには、景色がいっぺんしててん。

門が無いからガッツリ見えるんやけど、その目の前で腰を抜かしているのは新聞屋の人。

せやけど、新聞屋さんは慌てながらも警察に通報してて、しばらくしたらパトカーが何台か来てん。

俺は捕まりたくないから、裾野に「離れようや~」言うたんやけど、「まず顔が割れてない時点で平気」言われて、顔って割れるんやな~って思っておいたで。

 今ならわかるけどな……バレてへんってことやと。


 しばらく警察の動向を見る羽目になったんやけど、そしたら1人の刑事らしき人がこっち向かって来てん。

オレンジがかった黒髪短髪で背が高くて、めっちゃガタイがええねん。

柔道強そうなイメージのある人で、古風な顔立ちをしててん。

スーツは茶色で、シャツは真っ白、ネクタイは紺色やってん。

 ま、警察なら倒せるやろ!

俺はそう思って、そいつに立ち向かったんやけど、俺の力を利用して危うく投げられかけてん。

「おー危ない、危ない。刑事は人を守る仕事だからな、ハッハッハ!」

とか言うて、俺を解放してくれてん。

めっちゃ豪快そうな人やな……俺の第一印象はそれや。

 ほんでその人は、警察手帳を広げると、

「名乗りそびれたな。警視庁捜査一課長の紅里慶介(こうさと けいすけ)だ。うなぎとは幼馴染でな~。見るとついつい話しかけたくなるッ!」

紅里さんはハッハッハと豪快に笑うと、後ろ頭を掻く裾野を見下ろしててん。

うなぎ……? 裾野のどこがうなぎやねん。

「はぁ……けーちゃんって呼ぶぞ」

「大歓迎だぞ、うなぎ~!」

紅里さんは、大きく広げた腕で裾野を包んで何回か音が響くくらい強く背中を叩くと、すぐに離れてん。

「はぁ……あのな、けーちゃん。今捕まった人、知り合いなんだ」

裾野はため息をつきながら言うてん。けーちゃんって呼ぶ裾野、めっちゃ面白(おもろ)い!

キッチリしたイメージが強いから、違和感しか感じへんの。

すると、紅里さんは裾野の頭を笑顔で2回ポンポンしてん。

「わかった。……一応、頼む」

「おうよ!」

そう言うと、紅里さんは巨体を翻して現場に戻ってん。

 え、今何が起こったん……?

「菅野。帰ったら鳩村に豚箱を探させる。だから、鳩村と俺を信じてほしい」

裾野は少しやつれた顔でそう言うと、自分の髪の毛をわしゃわしゃ乱して歩き出してん。

「ちょっ、ちょっと待ってや! 色々わからんねん、裾野~!」

その後ろ姿をまた追いかけながら、俺は言うてん。

 いつまでもこうしてたい俺と、離れてみたらどうなるか気になる俺が、背中から伸びる影に現れてん。



現在に戻る……

裾野、菅野&騅の部屋

菅野



「裾野~! なんて叫んでみたいです!」

騅、ウキウキしながら喋ってはるけど……お前がもうちょい遅く着いてたら……!

まぁ俺の寝坊のせいやけどな、間に合わなかったの……。

「裾野さん。どうして”うなぎ”なの?」

リヴェテは小首をかしげて言うてん。俺も訊こうと思っててん!!

「……うなぎが食べられないからだ。」

「はぁ!? 贅沢言うなや、金持ち!」

「明日から、ナスと納豆定食だな」

「あ、裾野さん。学校ある日は、学食に来て下さ~い。特上うなぎをご用意して待ってま~す。」

おっ、淳ナイス!! 俺も淳と一緒にドヤ顔して見てんけど、裾野は「グルか、お前ら」とだけ言うてん。

「へぇ~……!! 裾野さんでも好き嫌いあるんですね! やはり、人間は平等です!」

騅は目を輝かせてメモしてはるし……。ほんま知識欲?ってやつ、すごいわ~。


 次は騅の話でもあった、俺の大活躍!

って、これ自分で言うたら半減するやつやん……。

騅の話では、あんな感じやったけど、あれには深~い裏があんねん。

そんなに深くないけど。

警察に捕まった騅を救出するため、裾野、菅野、鳩村、淳、龍也が動き出す!

そこに立ちはだかるのは、片桐組の面々!!

一体この先どうなる!?


来週の土曜日で、ついに菅野の過去が最終話を迎えます。

最終話以外にも特典話アリですよ(ニヤッ☆

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