表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/69

「16歳-でも女子の気持ちなんて全然知らんくて、-」

後醍醐傑との対決の前に、裾野の心の闇などを知った菅野。

ついに対決することになるが、結果は果たして……?

それと菅野の見た目と性格が災いして、トンデモナイ事態を招くことに……。


※思い出しながら、書いております^^

※約7,100字程度です。

2012年6月18日 早朝……

某廃ビル4階 大広間

菅野



 ここは10階建ての廃ビルの4階フロアで、一番大きい部屋やで。

裾野が言うには、元は暴力団が使ってたビルらしいねんけど、警察に一斉摘発されて今では(もぬけ)の殻状態なんやて。……で、蛻の殻って何? 摘発は……逮捕のことかな?

 ほんでそこに呼び出したんは、今日が命日の後醍醐傑や。

俺よりも8つ年上のこいつは、ただ白む空をバックに立ってるだけやのに、どことなく色気のある紫のオーラに見えてん。

「おぉ~どこぞのモデルか。」

後醍醐傑は、二丁拳銃をネイビーのジャケットの内ポケットから出して構えると、俺の言葉も待たへんまま撃ってきてん。

俺はオフィス机を盾にしながら、銃弾を避けてんねんけど、こいつの銃がおかしいんか、一発で机がダメになるねん。映画のイメージやと何発かは耐える筈やぞ!?

ほんでぐるぐる回りながら距離を詰めてるんやけど、リロード時間というものが全くあらへん!

 せやけど、こいつにも隙はあるで?

それに裾野にこの前教わったやつも使えそうやし、やってみるか!

 俺はまず電光石火で一瞬目の前に行って、すぐに後ろに回りこんでん。

ほんで振り向く前に槍で風だけ薙ぎ払って怯ませて、振り向いた時に……!


「ばーん!!」

俺は指を銃の形にして叫んでん。

これで大抵のやつは一瞬気絶状態になる、言われたんやけど、こいつ……真顔やと!?

「お前とは経験が違う!!」

呆然とする俺をローキックで転ばすと、二丁拳銃から小型ナイフくらいの銃剣を出して、そのまま俺の喉元に刺したかったんやろうけど、俺が誰に教わってるか、もういっぺん考えた方がええんとちゃう?

「お前とは教わってる人が違う!!」

俺は転んだ反動と長い脚を使って、一丁を蹴とばしてん。

防弾ガラスやから跳ね返ったけど、部屋の向かい側まで吹っ飛んでん。

「ちっ!!」

後醍醐傑は拳銃をしまうと、散弾銃を背中から出してん。

散弾銃は見るからに強そうな感じで、真っ黒で何個か銃口があってん。

「……っ!」

いきなり爆音を立てて放たれる銃弾にビクッとなったから、俺はとりあえず距離を取ってん。

一旦考えたいんやけど、ただでさえ机と椅子が二丁拳銃一発で壊れはるから、散弾銃やと一発で粉々になってん。

「どうした、殺し屋モデル!? 教える人が違ぇんじゃねぇの!?」

後醍醐傑は散弾銃の爆音にも負けないくらいの大声で挑発してくんねんけど、これにノッたらあかんって教わったから、考えんと……でもどうしたら!?

 こういう時こそ冷静に……って、ん!? ひらめいたで!

裾野がいつもやっとる、あの斬撃。あいつはビビってたやんな!?

イチかバチかの勝負やけど、出来るかわからんけど、イメージやと完全勝利。

負けたら死ぬかもしれへん。

 それでも、勝つかもしれへんのならやるで!!

そう思ってやろうとしたそのとき、あいつは銃弾が切れたんか、何かに持ち替える途中。

チャンスしかあらへんやん!!

「うるるるるるおああああっ!!!!」

槍を横に思い切り薙ぎ払うどころか、吹っ飛ばせばイケる!!

たしかに風を切る音は耳を塞ぎたくなる程やってんけど、多分斬撃飛んでへん……

 それどころか、あいつはさっきとは違う真っ黒に金の模様の入った拳銃を俺の目に向けてん。

――避けへんと、避けへんと!!

そう頭は考えるのに、身体は金縛りに遭ったみたいに全然動かへん……!!

「金縛りにあったみたいなんて思ってるか? この銃口を目で追えば、誰しもそんな顔をして汗を流す。……俺の恨みを知れ!!!!」

トリガーホルダーからトリガーへ。叫びと共に引かれ、一直線に飛んでくる銃弾。

 なんで……なんで動けへんの?

泣き崩れることも、手を動かすことも、呼吸をすることも、何も叶わない今の俺の身体は、死ぬことをただ待つしか出来へんの?


――かわいそうに、かわいそうに!!

――オトンの元へ行けるじゃないか! 裾野を捨てろ、かわいそうな貧乏人!

 やめろ……やめろ……裾野は……


――殺し屋なんかになったから! オトンを不幸にしてまで! アハハハハ……!

――結局はかわいそうなやつで終わり! おしまい、おしまい!! めでたし~めでたしっ!!

――裾野は助けにこねーよ! だって結婚式だもんなぁ!! 花嫁の後はお前の死体と面会!!

――あははははははははははははははは……!!

 俺は瞬きをして心の中で叫ぶ。

裾野は大事な人やから!!

 ん? 瞬き?


「大事やから!!!!」

俺が目を瞑って叫ぶと急に身体が軽なって、俺は一気に後醍醐傑に斬りかかってん。

「……はぁ!?」

状況が呑み込めへん後醍醐傑は、銃口を俺にまた向けるんやけど、また目を瞑って避けてん。

これは厄介やけど、イケそうや。

「はぁ……はぁ……」

俺は汗が白シャツに張り付くのを気にせんと、矛先をしっかり後醍醐傑に向けてん。

喉カラッカラやし、滅多に掻かへん手汗を柄に染みるくらい掻いてるし、綺麗にワックスで整えた髪型もぐしゃぐしゃやねん。

それは向こうも同じで、前髪ぺちゃんこやし、ネイビーのジャケットの下に着てる白シャツが汗を吸いすぎて他の色になってるし、お互い悲惨やねん。

「……殺し屋モデル。はぁ……俺はこの後一件……っ……パフォーマンスが入ってる……はぁ……死ぬ訳には、いかねぇ……から。」

後醍醐傑はそう言うと、散弾銃からも銃剣を出して鍔迫り合いになってん。

「後醍醐……。相棒の……っ……結婚式……はぁ……行きたかったで!!」

俺がバッと押し返して突くとそこには誰も居らんくて、後ろを振り返ると首に峰打ちを食らって、俺の意識も、勝利の雄たけびも吹っ飛んでん。



数時間後……


 俺は見覚えのありすぎる部屋で目を覚ましてん。

白い天井、白いベッド、白い壁、青いパーテーショ……ん!?

ほんでガバッと起きると、やっぱり裾野と俺の部屋やってん。

しかも居心地悪い思ったら、裾野のベッドで寝かされててん。

「後醍醐傑を相手によく頑張った。あいつが優しくなかったら、今頃目覚めたら天国だったぞ。」

そう言うてパーテーションをくぐってきたんは、タキシード姿の裾野。

……え!? 結婚式どないしたん!?

「……脱がせて悪かったな。あまりに服が汚くて。」

裾野はバツが悪そうにしてるんやけど、そこやない。たしかに起きたら裸もビビるけど、ツッコミポイント間違ってる……。

「そ、そうやないって……」

「ん、じゃあ何だ?」

裾野は俺のベッドに腰かけて言うんやけど、どうしてそこまでするんやろう……?

「結婚式は……?」

俺がボソッと言うと、裾野は「あ~それか!」て、悪気無く言うんやけど……どういうこと?

「挙げないことになったんだ。」

裾野は寂しそうな顔で言うてるんやけど、もしかしておじいちゃんのことかもしれへんな。

「父上様と兄弟全員で話し合って、今年いっぱいは挙げないことに。大丈夫だ、それは向こうも納得している。」

裾野は手袋を口で取ってベッドの上に置くと、少し前のめりになって俺の頭をわしゃわしゃ撫でてん。

うわ、めっちゃ手汚れるやろな思ってたら、逆にふわっとシャンプーの香りが漂ってん。

「……」

気絶した俺に……そこまでしてくれたん……?

それに物凄く疲れた顔してはるやん……ほんまに迷惑かけてばかりやんか。

「あ~疲れた。学校には休むって言っておいたから、今日は寝る日だ。」

だるそうに言うと、裾野はジャケット、ネクタイにベルトを脱いで俺のベッドの上に畳むと、シャツのボタンを3つ開けて俺の背後から布団に入ってきてん。

1人用やから、2人なんて入れへんから!!

「は!? なんでこっち来たん!?」

俺がたまらず叫ぶと、裾野は後ろから腰に腕を回してきて自分の方に引き寄せて、

「抱き枕~。」

なんて滅多に出さない甘えたような声で言ってん。

背中に息がかかって、めっちゃくすぐったいし、多分唇押し付けてるやろ……。

まさか飲んでるとか無いやんな……でもタバコ臭いことは確かやな。

「……」

逃げようにもガッチリ捕まえられてるし、仕方なくこの日は寝ることにしてん。

はぁ。これだから感謝しにくいねん。



7月14日 昼……

藍竜組付属高等学校 1年D組

菅野



 俺は寄ってきた女子たちとくだらない話をしたり、お笑いの話で盛り上がってたんやけど、休憩終わりのチャイムが鳴って別れたときに、背中に嫌な視線を感じてん。

ハッとして振り返ると、そこにはスポーツテストの時から関わりのある、ビッ……で有名な矢代さんが立っててん。

その顔は鬼そのもので、髪も1番明るい金髪でぐるぐる、スカートはギリギリまで短くしてて、腕を組んでいてん。

めっちゃ怖かったわ。


 ……放課後。


 人が少なくなり始めた教室。 

あの矢代さんの様子やと会ったら殺されそうな雰囲気やし、早めに帰ろうとしたんやけど、矢代さんたちに呼び止められてん。

「かーんーのーくーん? 廊下集合ね。」

矢代さんが感情の無い声で言うと、他の女子たちも腕を組んで迫ってきてん。

せやった……矢代さん、チャラチャラ系女子たちのリーダーやったわ……うわ。

せやけど、何か俺したんかな?

 何もわからんまま廊下に出ると、そこには十数人のカラフルな髪色の女子たちが()ってん。

「菅野くんさぁ、どうして呼び出されたかわかるよね?」

矢代さんは髪を指先でイジリながら言うんやけど、それがわからんから困ってんねんな。

「……ごめんやけど、全然。」

「だよね! でもそのせいで、この子たちがどんだけ苦しんでるか、知ってる?」

矢代さんたちは、俺をじりじりと壁際に追い詰めていく。

本当なら槍で薙ぎ払ってでも逃げたいんやけど、学校内武器禁止やし殺人も禁止や。

 ほんで俺がどう逃げようか考えてると、女子たちが鳥のように次々文句を言ってきてん。

「なんでいつも……私たちを好きにさせといて逃げるの……!」

「そうよ! アイドルみたいな目で見てたら、なんとかちゃんと付き合ってさ!」

「いっそ諦めのつく裾野さんと付き合ってよ!」

「本当、本当!」

「いっつも思わせぶりな態度取ってさ!」

……口々に浴びせる俺への不満。

ほんまなら、これが外なら突き飛ばし返して逃げられる。

せやけどここは……!!

 俺にとっては皆友達やし、好きになったら恋人やと思ってた。

せやから淳は恋人やし、裾野は……ようわからんけど、友達とちゃう……せやけど、裾野にとって俺は恋人にしたい人? 日本語不自由すぎや、ごめん。

 こんな考えの俺のせいで、こんなに……。

人の気持ち、全然考えてへんかったんやな……俺は。

「今すぐ淳と別れなさい!」

「なんでや! 淳は……何も関係あらへんやん! 悪いのは俺やろ?」

「そうよ。だから連帯責任。あんたが拒否れば、電話一本で彼女が死ぬの。」

頭のよさそうな女子は、携帯を振りながら言うてん。

「まぁ逃げ回ってるみたいだけどね~。」

「あら、この学校の女子の数は何人だとお思いで? そんなの変身術が使えない限り無理よ。」

「そうよね~。さ、別れなさい。」

「……意味わからへんし、俺は絶対別れへん!」

俺が叫ぶと、女子たちは一層詰め寄ってきて、

「そう。それじゃ、そんなあんたなんて……要らない!!」

俺の逃げたい気持ちもあったんか、いつの間にか後ろは階段で、矢代さんにドンと突き飛ばされて……

満足げな女子たちの笑い声。「少しでも痛い目に遭え!!」という矢代さんのドスのきいた声。


――もしかして、裾野も……俺の態度のせいで……?

スローモーションで落ちる俺の身体。

このまま壁に頭をぶつければ、間違いなく死ぬ。

裾野が言ってた、「死人に口なし」は恐ろしいもので、真実を塗り替えられる言うててん……。

このこともきっと……勝手に俺が落ちたことになって……


「菅野くん!!」

この声は銀もやし!? せやったら裾野も……って、居らんやと!?

「ちょっ……鳩村はん、危ないて!」

俺がそう叫んだときにはもう、鳩村はんは俺の下敷きになっててん。

それと同時に聞こえた、何かを吐きだす音。

慌てて鳩村はんの方に目を向けると、口元には血がベットリと付いてて、床にも鮮血が……!

「……ごめん……菅野、くん。」

「何で鳩村はんが謝るん!?」

「僕の身体が……もっと…………丈夫、だったら……」

言い終えるとすぐに苦しそうに咳をする鳩村はん。

女子たちは悲鳴をあげて、先生を呼び俺をめっちゃ指差して「コイツが! コイツが!」言うてん。

……真実を塗りかえる…………怖すぎる、やろ。

「先生!」

そんな絶望の中現れたんは、視界が若干霞むから怪しんやけど、声的には龍也さん。

「この目で見ていましたが、菅野は突き飛ばされていました。」

「何だと!?」

先生の睨みを見た女子たちは雲の子を散らすように逃げて、龍也さんは俺に「退いて」言うて、鳩村はんの様子を見てん。

肺と喉あたりを見てたんやけど、俺にはサッパリ……。

「……先生! 手術室、お借りします!」

「わかった! すぐに手配しよう!」

先生は電話しだすし、龍也さんは鳩村はんをお姫様抱っこして急いで運んでいってん。


 1人残された俺は、鳩村はんの血を見てまた泣いてん。

ほんま……クソ泣き虫ヘタレや……どうしていつもこうなるん?

 すると段々近づいてくる革靴独特の足音が聞こえて顔をあげると、そこにはスーツでカッチリキメた総長が居ってん。

「淳は、淳はどこです……?」

俺がゆっくり立ち上がりながら言うと、総長は鳩村はんの吐いた鮮血を眺めながら、

「ハトリョーがあんな状態だからね。」

とだけ言うてん。多分、ハトリョーは鳩村はんのことやと思うけど、そういうってことは……。

「また……俺のせい。」

俺がブツブツ言うと、総長は鮮血を避けて俺の顎をクイとあげると、

「裾野はお前に迷惑かけられて嬉しいんだってな。……まぁ知ってるとは思うが、この組は同性愛を認める気はない!」

そうピシャリと言うた総長やけど、今度は表情をやわらげて、

「……だが将来を見据えれば、もうそれは通用しないだろう。……菅野。アダムになる気はあるか?」

そう目を細めて言うと、総長は俺のだらしない制服をピッチリ直してん。

「え? 何です?」

何になるって……? こん時の俺は聞き逃してて、適当に返事も出来へんから困っててん。

「何でも裾野に訊くがいい。時代の変革者よ。」

総長はそう言い残して、立ち去ってん。

俺は何か訊きたかったのに、総長の説明できへんあのオーラがそうさせへんかってん。


――ピリリリ……

俺のカバンから電話の呼び出し音が鳴って、誰からかも見ずに出ると裾野やってん。

「お探しの淳は見つかったよ。鳩村のことも心配するな、龍也さんは医者だから。」

裾野の声は、ほんまに……オトンみたいで、ほんまに……嫌やってん。

いつも俺より1つ上で、女子の先輩や後輩に囲まれても上手くやってのけてる裾野が。

「うん。」

「部屋で待ってる。」

「……うん。」

俺はわざと力を込めて電源ボタンを押してん。

なんでいつもこうなるん?



数分後…… 夕方

藍竜組 菅野&裾野の部屋

菅野



 部屋に入ると、裾野はあの日みたいに風に当たっててん。

あの日もそんな夕日やった。すっごく眩しいのに、どこか寂しそうな、そんな夕日やった。

「おかえり、菅野。」

裾野は俺と目を合わさへんまま、独り言くらいの音量で言うてん。

「ただいま……。」

「俺がもし、お前にこの2択を出したらどうする?」

裾野はそう呟くように言うてん。

「なんや?」

「淳か、俺か。」

裾野は驚くほどの無表情で、振り返って俺を睨んできてん。

「……え?」

それに怯んだ俺は、さっきの総長の言葉を思い出してん。

「裾野、待ってや? さっき総長に会って、なんちゃらにならへんかー言われたんやけど……それって何?」

「アダムの話か。俺が保留と言ったから、周りを固めたがってるのだろうな。それは無視でいい。」

裾野は窓枠に肘ついて言うてるんやけど、ほんまに何の話かサッパリ……。

「俺がお前に手を()してしまえば、この組は変われる。だが、淳とそのまま何もせずにダラダラ付き合うのなら、この組は変われないままだ。」

「何言うてるん? 裾野、怖いで?」

俺が後ずさりをすると、裾野はパッと表情を変えて、

「怖がらなくていい、ただ言ってみただけだから。」

言うてパーテーションをくぐって、台所に行ってん。


 ……ほんまに裾野、色々大丈夫?

そう思って台所に入ると、いつもよりドンヨリしている裾野が居って……

このままおかしなって欲しくなくて、いつもの仕返し代わりに後ろからぎゅっと抱き着いてん。

「……ん?」

裾野はビクッなって、肩越しに俺と目があってんけど、俺はまだ……裾野に謝れてもないことを思い出して、

「ごめんなさい。」

言うたら、裾野は「なんだ、そんなことか。」言うて俺の手をぎゅっと握ってん。


――そのとき、夕日が映し出した俺の影から、3人の男の子が消えていた。



現在に戻る……

藍竜組 菅野、裾野&騅の部屋

菅野



――ガチャ!

「お邪魔しまーす!!」

言うて急に入ってきたんは、淳やってん。

「うわっ、淳やん。」

「淳か、どうぞ。」

「えっと……?」

騅はめっちゃ困惑モードやったけど、リヴェテは嬉しそうに足にスリスリしててん。

ほんで裾野は淳の隣に立って、手のひらで指しながら、

「菅野の彼女の龍勢淳だ。」

言うてくれ……って、それ俺が言うべきやつやん!

「当事者だったりするけど、一緒に聞きたくて~。」

「構わないよな?」

裾野の威圧的な目線……なんやの、こいつ。

「……ええけど?」

「今回のはもう、この後の夜は――」

「ねこきーっく!」

「ぐはっ!」

「……」

俺は黙るに限るわ。

「ちなみに夜は……はぁ。」

裾野が大げさにため息をつくと、それを合図に親子も、

「あー……。」

言うてん。何やその、許してやれよ~的目線は!



 この出来事の数か月後。

俺はついに騅が片桐組に下ってしまったことを知ることとなる……

次回は、本編28話あたりの話と被ります。

騅が月道の仕事を見た後の絡みの裾野&菅野の心情ver.が見られるので、お楽しみに♪


仕入れた情報によると、更新日は12日(土)のようです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ