静かな予鈴
想像するの。
毎晩毎晩。ベットの中で。
自分の世界を、世界に潜っていくのを。
1番幸せで、けれど決して叶わない時間。
あぁ。本当に。世界に潜っていければいいのに
高校に入って1年がたった、
中学の時は漫画みたいな高校生活を想像してた。けど、そんな夢もないとわかった。
漫画のキラキラしたようなものはなかった。
けど漫画みたいなくだらないいじめとかいうものはあった。ターゲットにされるのは簡単で…
溜め込んでおくのもそろそろ限界だ。
とか思い始めた頃。私の人生は突然変化した。
いつものようにベットの中で自分の世界を想像していた。自分世界へ深い深い海にゆっくりゆっくり沈んでいくように潜っていった。
今日はどんな世界を想像しよう。
あぁ。そうだ昨日見たアニメ…うん。あんな世界にしよう。
未来、全部光の力で…なんでもできちゃう世界…あんなのがいいな…。
………………。
沈めない……潜れない……。
なんで…世界に行けないの。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
あぁ……全部壊してしまいたい……。
消えて……しまい……たい……。
「ひ……ま…ひ……さま」
……なに……うるさい。消えてよ
「姫様!ルヴェナ様!」
「……ん。」
「あぁ姫様。大丈夫ですか?」
「え……?」
「ものすごくうなされていたんですよ。」
…っ!なにこれ。頭の中に流れてくる…っ!
記憶…?誰の…姫?あの人が言ってる……ルヴェナ…?頭が痛いっ!
「きれい……」
「え?どうされました?」
綺麗な銀髪……?私じゃない…?
私はルヴェナ?
……やった。世界にもぐれた……潜れたんだ!
「…ううん。何でもないわ。おはようシエラ」
「おはようございます。姫様、今日は皆様おそろいなのですよ。
姫様を待っておられます。さぁ準備を!」
「えぇ…。急がないとね。」
------------------------------------
……記憶は全部把握した。
けど世界を支配する国の第一王女だなんてものすごい地位ね……。まぁ兄様2人もいるから女王にはならないでしょうけど……。
-----------------------------------
「おはようございます。お父様お兄様」
「おはよう。今日も美しいな我が娘は」
「ふふっ。朝から何を……」
「可愛い妹…なかなか会えずさみしかったよ。」
「私もですわ。ルタお兄様。」
「嘘はいけないよルヴェナ。
君は勉学に励みさみしがる時間なんてなかっただろう」
「あら…ふふバレてしまいましたか。流石ですわラグノお兄様」
「ルヴェナ…最近学園ではどうだ?お前の活躍はよく聞いておるが…」
「ふふっ毎日面白いことばかりですわ。もうすぐ会長戦で……」
「…会長になれそうか…?…」
「わかりませんわ。1人強い方がおりまして……」
「ふむ…ラスタ公爵の所か」
「ええ。あの方の実力は本物ですわ。ぜひ決勝で戦いたいものですわ」
「そうだな。楽しみにしているぞ。」
「…失礼します、そろそろ姫様のお時間が…… 」
「あら、もうそんな時間かしら?」
「学園の時間か…」
「ええ、それでは失礼しますわ。」
「あぁ、可愛い妹よ、もう行ってしまうのか兄は寂しいよ」
「ふふ。行ってきますわルタお兄様。今日は一日?」
「ん、あぁ昼は出るが。夜はいるぞ?一緒に寝るか?」
「あら!……ふふっ失礼しますわ。」
------------------------------------
……学園。精霊使い…魔法を扱うものの中でも選ばれた者だけが通うことの許される学園
……王立ユグラシル魔等学園。強い者が上に立つ。そんな学園。
はじまるのね。私の学園生活が…。