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異世界でも、チートよりも大切なこと。  作者: 芳賀勢斗
世のため国のため。
18/97

リュミの決断。

昨日は更新できず、すみませんでした。第一志望校の合格発表前日だったもので…。緊張して昨日は執筆を止めました。でも無事に合格したので今日からまた頑張ります!

「いつもの吉晴さんが好きですから…。」

い、言えました…。出会ったばかりの人に言う言葉ではありませんのに…。嫌われてしまったでしょうか…。あ!?わ、私ったら、吉晴さんのお嫁さんの前でこんなこと…。もうだめです…。私ったら周りが見えなくなる癖があったのでした…。出会ってすぐで、初めて私達を受け入れてくれた方々なのに…。吉晴さんが何か言っています…頭には入ってきません…。でも困っているようです。当たり前ですよね…いきなり好きと言われて困りますよね…。あ、ミーシャさんが話始めました…きっと私へ不満があるのでしょう…。全て聞き入れましょう。

「吉晴様。リュミちゃんと結婚してあげてください。」

あへ?遂に幻聴が聞こえてしまいました…。私も心の病気になってしまったのでしょうか…。そうに決まっていますよ…だってそうじゃなきゃ、あれ?そうじゃなかったらどうなるのでしょうか…。そうでした。吉晴さんと、けけっけ結婚するのでした…。でも、仮にもしそれが本当なら………ポンッ


あれれ?いつの間に寝てしまっていたのでしょう…。そうでしたか…やっぱりあれは夢だったのですね…。そうですよね…魔族と人間が結ばれる事なんて無いのよね…。シヴィにも聞いてみましょう。

「残念だけど…それは夢でもなければ幻でもない事実よ。あの時ミーシャさんは確かにリュミと吉晴さんの結婚を勧めたわ。リュミはどうする気なの?」

「え、嘘よ…。魔族の私なんかが…勇者の吉晴さんとけけ結婚なんて…シヴィ…?」

シヴィはなぜか黙りこんでしまいました…。何で涙を流して…でもあの顔は怒っています。いったい何に怒っていると言うのでしょう…。

「私はリュミに一生つくすと決めているわ。これは私の意思よ。あなたと一緒に遊んだり勉強したりするのは本当に楽しかったし一緒に追放されたときもなんとかなる。そう思ってた…。けど実際はリュミを守り抜くことはできなかったわ。むしろあの川で吉晴さんと出会っていなければリュミは死んじゃってた…。私は何もできないまま…。でもね私はリュミを助けてくれた吉晴さんに信頼はまだ無理だけど…感謝はしてるわ。リュミを預けても良いと思ってる。でも、…でも何でリュミは変わろうとしないの!?吉晴さんはあのあと言ってたわ…リュミの気持ち次第だって。」

「そんなの嘘だよ…。」

「それよ!!今まで信じて裏切られ続けられたのは一緒にいた私も痛いほど知ってる!でも、それでも信じなきゃ始まらないのよ!それとも何?リュミは吉晴さん達と一緒に行動するんでしょ?その中で夫婦から一歩下がった位置で吉晴さんを眺めるの?私なら持たないわ。」

「だって…だって私は魔族のヴァンパ…」

『だからそれをやめなさいって言ってるのよ!!』

「!?」

その声は静まり返る部屋に余計に響き渡った。リュミはシヴィがここまで声をあげる姿は見たことが無い。

「魔族のせいにしてるんじゃないわよ!吉晴さんは全てを知った上で魔族でヴァンパイアのリュミを受け入れようとしているのよ!?差しのべられたチャンスをリュミは裏切られる事が怖いから拒絶するの?そんなのただ逃げてるだけだわ!私は親友…いえ家族同然のリュミを人間である吉晴さんに託しても良いと決心したわ。でもリュミはいつ変わるの!」

「わ、私だって吉晴さんと一緒にいたい。結婚もしてみたい。結奈さんもミーシャさんもとても良い人たちで仲良くやっていけそう…。でも…それでも怖いよ!また裏切られるのが!信じた人に裏切られるのはもうたくさんなの!でも…吉晴さんとは離れたくない…離れたくないよ…」

あれれ…もう言ってることめちゃくちゃだよ…。でもほんとのこと。次に裏切られたら今度こそどうにかなっちゃいそう…だからこそ怖い。吉晴さんが裏切るとは思っていない。でもどうしても考えちゃう。思い出しちゃう。信じた人に裏切られる心の痛さを…。それでも自分が変わらなきゃいけないことぐらい自分でも知ってる。信じなきゃ始まらない事も分かる。だけど一歩が踏み出せない…腕を伸ばせばきっと吉晴さんが引っ張ってくれる。でも私はその腕を上げることができない。どうしてもそんな簡単な事ができない。そんな自分が悔しい。

「やっぱり私には…」

『いい加減にしなさいよ!』

シヴィが私のほっぺたを平手うちした。シヴィに打たれるのは初めてだ。シヴィの平手うちは痛くはなかったがそれ以上に心が痛い…。不意に涙が出てしまった…。

「ごめんなさい。私がやり過ぎたわ…」

「シヴィ!待って!」

シヴィは部屋の外へ飛び去ってしまった。すぐに追いかけたがもうすでにシヴィの姿はなく、ただ無機質な廊下が続くだけで私はあてもなくただ泣きながら歩いた。もう自分がどこにいるのかさえ分からない。

「どうしました?リュミさん?」

薄暗い廊下の片隅で膝を抱えて泣いていた私の肩にそっと手をかけてくれるニミッツさんに今まで以上の想いが溢れてきて、私はとうとう本当に泣いてしまいました。。

「あらあら…どうしたのです?」

私はニミッツさんに今までのことをすべて話した。だけど気持ちが晴れた訳じゃなく、まだなにも変わらない。

「シヴィ…シヴィまで嫌われたら…私…。シヴィ…」

「そうでしたか…。そうですね…。ちょっとつい来てください。」

ニミッツに連れられリュミはまだ涙が止まりそうもない目を擦りながら後を追った。

「ようこそ、リュミさん♪私だけの特等席に♪」

リュミはふと下を向いていた顔を上げた。

「き、きれいです…。」

目の前の光景にリュミは今さっき自分が泣いていたことを忘れ、ただ自分が体感している壮大な景色に意識を集中させた。

「ここは、私しか知らないし何時もは鍵をかけて来れないようにしているの。艦長もここには来たことありません。でもリュミさんは特別ですよ?」

リュミが連れてこられたのは、原子力空母ニミッツの艦橋の上。レーダーやアンテナなどのしたに位置する場所でありその場所は景色を遮る場所がなく、とても広い海がと雲ひとつない青空が一望できている。

「どおです?空から見る海と、ここから見る海は全然違うでしょ?私も辛いことがあったらここに来るんですよ…。」

「本当に…。ここの海を見ていると、やなこと全部忘れちゃいそうです…」

「そうですね…。リュミさん。でも失敗や辛いことは忘れてはいけないんですよ。」

「え…?」

ニミッツは優しい声だけれども力強い声でリュミに言い放った。

「私がここに来る理由は、気持ちを切り替えるためです。二日前の夜も海賊船団と戦いました。でもその時に海賊に捕らわれた家族も一緒に沈ませてしまいました…。その時もここに来て暗い海を気がすむまで眺めました。でも今も忘れてはいません。忘れてはいけないのです。その失敗から学び、再び繰り返さないことを考えるのです。いつまでも過去の過ちや辛い経験を引きずっは自分はなにも変わることは出来ません。自分を切り替えるのです。」

「自分を切り替える…。」

「そうです。過去の自分を見つめ、何が正しく、何が間違いなのか。そんなことを私はここで考えるのです。リュミさんにどこまで役に立てるか分かりませんが、私はそうしています。」

「ニミッツさんは心が強いのですね…。そんな立派な事ができるなんて…私なんか…。」

「あら…そんなことはありませんよ?リュミさんも十分に強いと思いますよ。シヴィさんと喧嘩したのでしょう?自分の本当の気持ちを他者にぶつけるのはそう簡単なことじゃないのです。それができたリュミさんはとても強いですよ♪」

「私が…強い…。」

「えぇ。リュミさんは強いです。過去の自分と今の自分を切り替えることが出来たらもっと強いですよ♪さぁ行きなさい?貴女の会わなくてはならない人は元の部屋に今いますよ♪」

「ありがとうございました!!」

リュミは光輝くその綺麗な銀色の髪をなびかせながら、走り去っていった。

「あらあら♪若いって良いわね~」

ニミッツさん…十分美しいです。


シヴィ…シヴィ!ごめんね…私が間違ってた。シヴィは凄いよ。私と同じ年なのに…私より凄いもん…だからね私も変わるよ!だから…  リュミは勢いよく扉を明け中にいるであろうシヴィに本当の気持ちを伝えた。

「私、結婚します!…ぅ?」

リュミは自分の言葉がどんどん小さくなっていくのが実感した。なぜなら部屋の中にはシヴィだけではなく…「そ、そうなの?やったね吉晴君!」

「決心してくださいましたか。良かったです。これで路頭に迷う魔族も減らすことができます♪これからよろしくお願いしますね♪リュミさん!」

「いきなりだったな…これからよろしく頼むな♪リュミ!」

「リュミったら、意外に大胆だったのね…。」

「ち、違うの!こ、これはぁ…違うの~!」

この様にして吉晴君のお姫様はまた一人増えたのでした。

「ねえねえ、また結婚式やるの?」

「けけけ結婚式!?無理です!無理ですよ!私はまだ人と触れ合うのは馴れていなくて…結婚式なんて無茶です!」

「それもそうかな~」

「ではここで小さく執り行うのはどうでしょう?私達だけで♪」

「それなら何とか…」

「なら、もうそろそろ時間が無いから急ごう!」

もう二時間弱でトローデスの港に沖合いに到着してしまう。そこで早急にニミッツに相談すると

「洋上結婚式…空母結婚式…なかなかロマンチックじゃないですか♪私が司会を勤めさせてもらいましょう!」

「そんなことを頼んでもいいのか?」

「おきになさらないでください。これは私がやりたいのです。リュミさんの為にも♪」

「そうか、それならお願いするよ!」

「はい!最高の結婚式にさせます!」

あとは衣装か…。リュミの綺麗な銀髪に合わせて純白か…いやいやあえて反対色の黒にするか…って何で俺が考えてるんだよ…。

二回目の結婚式に汗を流す吉晴はリュミの為に少ない時間でできる限り豪華な結婚式を計画するのであった。

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