001 生徒会×日常=終わり
「それにしても将太よ、今は二人しかいないのだから部活のときみたく、『会長』呼びは止してくれ。」
会長こと白沢美姫先輩が提案してくる。
「いえ、誰が聞き耳立ててるか分からないので遠慮しておきます。」
「むぅ…。気にし過ぎだと思うのだがな…。」
顔を顰め不満気な美姫先輩。
しかし、ここは俺も譲れない。
そんなことがもし剣道部以外の他人にばれたら、面倒どころでは済まないので、とは言えないが。
「それにそろそろ着きますから。」
「…少しくらい良いではないか、全く。」
小声で不満を漏らす美姫先輩。
本人は聞こえていまいと思っていそうだが、聞こえてしまっている。
俺はどっかの鈍感主人公ではないからな。
ここで反応してからかうのも一興だが、そんなことで俺の学生生活を棒に振りたくはないので、ここは無反応を決め込む。
そうこうしているうちに生徒会室に着いた。
「皆すまない、少し遅れたな。」
美姫先輩が扉を開け中に入る。
正直帰りたいが仕事なので、俺も黙って続けて入る。
「美姫、そんなに待ってないから大丈夫だよ。……。」
金木先輩が美姫先輩には声をかけ、俺には声をかけずに一瞥する。
「美姫会長、竜也さんの言う通り全然待ってないですよ。」
桃井が金木先輩に追従する。
ちなみに俺は視界には入っていないらしい。
「美姫先輩!時間通りなので気にしないで下さい!…ちっ!」
雨水は美姫先輩に抱き付きそうな勢いである。
尻尾が有ったら、凄い勢いで振れているに違いない。
俺に気づくと、他の人には分からないように嫌悪感丸出しで睨み付けてくる。
これらの反応にも慣れたものだ。
「そうか。では早速で悪いが会議を始めたいと思う。皆、席に着いてくれ。」
「「はい!」」
5人全員が着席するといつも通りのの会議が始まる。
折角だからここで俺の通ってる高校の生徒会のメンバーを紹介しよう。
まずは生徒会長の白沢美姫先輩。
三年生。剣道部女子主将でもある。身長168cm。髪型は胸くらいの黒髪ロング。容姿端麗で勉強、運動も上の上という才色兼備な人だ。また性格も面倒見が良く、誰にでも優しい。その上、社長令嬢でもある。故に男女共に人気が高い。ファンクラブまで在るほどだ。だからこそ、その被害を俺が被ってるわけだが。
次は副会長の金木竜也先輩。
三年生。バスケ部のエースである。身長185cm。髪色は茶髪。某アイドル事務所クラスのイケメンで、スタイルも良く、運動神経も抜群だ。頭も悪くはない。だからファンクラブも存在する。しかし、性格は女好きでいろんな女を口説いて回っている。正に男の敵。因みに美姫先輩も口説いている。失敗に終わっているが。その原因を俺の所為にしている。
次は会計の雨水芽衣。
二年生。手芸部。身長155cm。髪型は下目の黒髪ツインテール。容姿はかわいい系で中の上。文科系で勉強は出来るが運動が苦手。性格は根暗。生徒会長大好きな若干アレな女子。生徒会に入ったのも美姫先輩と一緒にいるため。そのため、美姫先輩が関わるとキャラが変わる。白沢美姫ファンクラブ、会員ナンバー8。
次は書記の桃井千佳。
二年生。バスケ部マネージャー。身長158cm。髪型は茶混じりの黒髪セミロング。容姿は綺麗系で上の中。勉強も運動もそこそこ。性格は明るく、他人には強気。金木先輩に惚れている。そのため金木先輩が気にいらない人は気にくわない。金木竜也ファンクラブ、会員ナンバー41。
最後に庶務の俺、黒田将太。
二年生。剣道部のマネージャー。身長173cm。容姿はこれと言って特徴がないのが特徴。勉強も運動も基本的には中の中。生徒会には美姫先輩に半強制的に連れて来られた。そしてこの物語の主人公!
「…自分で主人公とか気持ち悪。」
「ん?将太、何か意見あるか?」
「いえ、何でもありません。続けて下さい。」
また、独り言が漏れたようだ。
「それでは今日の会議は以上とする。」
どうやら考え事をしている間に終わったようだ。
他の人は美姫先輩の所に集まり談笑しているので、俺は一足先にお暇しようと思い立ち上がった時、
急に床が光りだした。
「っ!?…動けない?」
荷物を掴み、光の中から出ようとしたが足が動かない。
「な、何事だ!?」
「なんだ、これは!?」
「「きゃーっ!竜也さん(美姫先輩)!」」
…どさくさに紛れて抱き付いているのが二人。
「…面倒なことにならなければ良いけど。」
そして、光が生徒会室を埋め尽くし―――
―――収まった頃には生徒会室は、無人の部屋と化していた。