ストーリー7
※プレイヤーの選択:①お金はどこかで落とした、と説明する
「いや……その……そう、そうだ! 有り金は全て、どこかに落としてしまったようなのだ!」
思わず口から出た言葉に、ディオスは顔をしかめた。
(嘘をつくとは、騎士としてなんたる恥!! ……いや、しかし、この賊に本当のことを話せば、夢を抱くあの青年の身が危うくなるかもしれん……。この嘘は一人の人間を守るための嘘なのだ! 今回だけはやむを得まい……)
ディオスが心の中で苦しんでいると、エルマの細めた目がディオスの顔を射抜いていた。この様子では、完全に疑われているようだ。
「ふ~~~~ん……。それはホントなのかしらねぇ~?」
ディオスの心臓がバクバクと動いていたが、エルマの溜息混じりの一声を聞いてホッとした。
「ま、いいわ。……ただし! これからは、活動資金はあたしが全部管理するからね! あんたはもちろん、異論はないわよね?」
「ぐ…………ま、まあ、仕方あるまい。私がお金を落としたのが悪いのだからな!」
ディオスはエルマの思惑通りになってしまったことが悔しかったが、金のためなら何だってやりそうな盗賊から一人の青年を守ったと思うことで何とか我慢できたようだ。
「じゃ、さっそく出発しましょ。時間は無駄にできないからね」
エルマはそう言うと、くるりと背を向けて歩き出した。城下町の外へ出る方向だ。
(いよいよ旅立ちか──)
ディオスは気を取り直すと、エルマの後を追った。