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神殺しの転生者  作者: 大入り福袋
第一章 入学 
13/16

12話 心の友

更新遅れてごめんなさいっ!!

 SIDE~貫在恭也~


「おい、平民。昨日はよく眠れたかい?」


教室の後ろ側から入った途端、不快な声が掛けられる。

 目の前をゴミがふさいでいた。

 


 貴族について。

 俺がこの世界で調べたところによると貴族は全部で二十八家あり、その中から『四大将軍家』を抜いた二十四家が、ちょうど半分に十二家ずつ武器族ヴァッフェ暦族モントに分かれているらしい。ちなみに容姿は金髪碧眼で半分くらいが美形。


闘気を主に使うのが武器族ヴァッフェで苗字にそれぞれの家に伝わる聖武具の種類の名前が入っているという。目の前にいるゴミで言えば「盾」元のように。


それに対して暦族モントと言うのは主に魔法を使うらしい。それが何故、「暦」族という名前なのかと言うと、魔法で偶に月に影響される物があって、空の月と暦の月と掛けて苗字が睦月、如月、弥生などになっているからなんだと。


最後、四大将軍家。

四大将軍家というのは国軍の大将に常に位置する家で、その位は世襲制らしい。通常、世襲制にすると稀に能無しの馬鹿が生まれたりするんだが、今のところは無いらしい。その理由としては四大将軍家は家の長子を武器族ヴァッフェ暦族モントと結婚させて常に新しく優秀な「血」を取り入れているから、と言うのが定説だ。


以上、説明終了!


(だから誰に言っているんですか!!)


 おわっ、月夜か。勝手に思考内に入ってくるな。


「おい、貴様!聞いているのか!」


 盾元ナントカが醜く顔を歪ませながら聞いてくる。


「聞いてないです」


「そこ否定しちゃうんですか!」


 隣の真唯がすかさずツッコんでくる。

 なかなかキレがいい。


「ふざけるなよ、平民が!……っとまあいい。今は貴様に伝えることがあったから声を掛けただけさ」


 怒りを抑えながら盾元は言う。


「今日の『決闘』は12時から、第一訓練場。よく覚えておくんだね、無能者」


 いつの間にか模擬戦の名前が変わっている。が、むしろ生徒の間では『決闘』のほうがポプュラーな呼び方のようだから良いんだろう。やることは同じだからな。


 ていうか『決闘』するには場所を借りたりと面倒な手続きがあるらしいがすべて済ませたみたいだな。やる気のあることだ。


「了解した」


「……逃げるなよ」


 俺が面倒くさそうに返事をすると奴が凄んできた。


「逃げようったってこの敷地に住んでいるんだから無理だ」


 投げやりに言うこの言葉を俺の恐れと受け取ったのか、盾元は嘲りの目を向けてくる。


「心配しなくても死なないようにはしてあげるよ、エリートの僕が事件を起こせばいくらなんでも耳に障るからね」


 俺が昨日みたいに反抗的じゃないから盾元は少し機嫌をよくしたようだ。


「そうか、それじゃ宜しく頼む」


 おれは盾元の嫌味を軽く流す。こういう奴は嫌いだ。

なるべくなら会話したくない。

だが奴はお構いなしに続けてくる。


「あ、そうそう伝えることがもう一つ」


 まとめて伝えろ。


「君との『決闘』の前に『下克上』を入れてあるからもしかしたら遅れるかもしれないが……しっかり待っていてくれたまえよ」


 お前は遅れんのかよっ。何が、くれたまえよ、だ。


「了解しました馬鹿貴族様」


「なっ!?」


 俺は極めて真面目な顔を保ちながら言葉を紡ぐ。

 かなりの時を生きているからポーカーフェイスも得意になった。


「ところで……いつまで通行の邪魔をする気なのでしょうか。そこまで必死に、通路をふさぐゴミの真似など為さらなくても」


「ゴミの真似って!!」(真唯)


 盾元の顔は怒りで真っ赤に染まっている。


「き、貴様ァ!!!!…………ふん、まあせいぜい好きに言っていればいい。後でしっかりと罰を与えてやるから楽しみに待っていてくれたまえよ……」


 そう言って真ん中のほうにある自分の席に戻っていった。


――――俺には罰を楽しむ趣味など無い。


「ふう、とんだ粗大ゴミだったぜ」


 少し大きめの声量で呟くが、


「きょ、恭也さん!聞こえちゃいますよ!」


 ワザとなんだがな。


 焦る真唯に背中を押されながら俺は席に着いた。



☆★☆★☆★☆★☆★


 鐘が鳴った。



 席順は出席番号順で生まれた順だった。

 俺の誕生日は三月十九日。このクラスで一番最後みたいだ。


前の扉を開けて赤崎先生が入ってきた。

挨拶などを済ませ、今日の予定をつたえてくる。


「今日も授業は一時間で終わる。本格的な授業は明日からだな。そして、その時間で君たちにやってもらうのはギルドに登録するチームのメンバー決めだ」


 教室内が少しざわつく。静かに、と先生が声を掛け説明を続ける。


「とりあえず詳しい説明は一時限目にするということで。HR終わり!」


 そう告げて先生は挨拶を促した。


 ☆★☆★☆★☆★☆★


「恭也さん!組みましょうよ!」


 真唯が元気よく話しかけてくる。


「別に構わないがこういうのは使う武器にもよるんじゃないか?」


 武器には相性ってものがあるからな。前衛にばっかり偏ってもしもの事態に対応できないようじゃ仕方が無い。


 ていうかなんか皆こっちをチラチラ見ている気がするんだが……。


「あ、そうですね。で、でも例え相性が悪くても私は恭也さんが良いんですけど……」


 不満げに顔をしかめる真唯。


「まあ、そんなに言うならいいけどな。でもとりあえずは説明を聞いてからにしたほうがいいんじゃないか?」


 と、言おうとしたんだが、いいけどな、といった後に即効で真唯が割り込んできた。


「本当ですね!!約束ですよ!破ったら短剣ダガー千本飲ませますからね!」


「その言い方、さては真唯、お前本気で言ってるな?」


「もちろんです♪」 


「満面の笑みで言うことじゃねえ!」


 真唯は心底楽しそうに笑っていた。


SIDE~OUT~


 ☆★☆★☆★☆★☆★


「なあなあ、あの二人付き合ってると思うか?」

「さあ?」

「俺、朝二人仲良く登校してたの見たぞ」

「あ、俺も俺も」

「……真唯ちゃん、かわいいよな」

「だよな!あの同い年にも敬語の所とか、特にいい」

「俺、狙ってたんだけどなあ」

「あ、俺も俺も」

「あの貫在って野郎も俺らと同じFクラス「落ちこぼれ」なんだろ?」

「…………イケメンはずるいよな」

「全くをもって同意見だ」

「あ、俺も俺も」

「……そういや、さっき先生が言ってたチーム、どうする?」

「先生で思い出したけど、あの先生もかなり美人だよな」

「確かに、あの爆弾ボディーからは目が離せない」

「あ、俺も俺も」

「さっきから同じ事しか言ってない奴がいるぞ!!」

「二回目くらいから気づいていたけどな」

「正直、ウザイ」

「同感」

「あ、俺も俺も」

「その事言ってんだよッ!!」

「……話戻すけどさ、チーム、どうするよ」

「お前はどうするんだ?弘斗」

「俺?俺は……貫在恭也と組んでみたいかなあ」

「はあ!?今イケメンは死ねッ、見たいな話したばっかじゃ

ん」

「そこまでは言ってないだろ」

「理由としてはあいつが面白そうだからってのが一つ、もう一つはあいつと組むことによって俺に利益があるんだ」

「…………女の子と仲良くなれる?とか」

「俺は三次元女子に興味は無い!!!」

「じゃあ何で涙目なの?」

「うるさいやい!」

「で、本当のところは?」

「それは…………ひ・み・つ♪」

「ウザ」

「ひどいっ!!」


☆★☆★☆★☆★☆★


 SIDE~貫在恭也~


 ――――外野長いな。


(ですよね。私もそう思います)


 あ、俺も俺も。


(マスターだった!?)


 


 


「この学校ではギルドの依頼をクリアすることを課題にしたり、課題を依頼として出すこともある。他にも戦闘訓練などをチーム内でしたり、六月にある校内対抗戦では団体戦をそのチームで出場することにもなる」



 赤崎先生は少し疲れたように説明している。

 おそらく、昨日の盾元の脅しでだろう。

 こんなにいい先生に迷惑を掛けるなんて。

 …………あいつ、殺してしまおうか。


(だめですよ!)


 でたよ、月夜。


 


「人数は3~7名。多いと戦略が広がるが、少なければギルドでの報酬の配当が上がる。武器や戦闘スタイルの相性なども考慮しながら決めてくれ。なお、期限は今週の金曜日までにこの学校の隣のギルドの受付に提出だ。だが、希望を言わせてもらうなら今日のうちに決めてくれ。後になるとこっちも面倒なんだ。…………じゃ、以上の点を踏まえて……っと忘れてた。一度提出しても今週中なら変更可能だ。しかしその後は追加は出来ても抜けることはこの先半年は無理だからな。じゃあ今度こそ……以上の点を踏まえて…………開始!……………………ふぅ」


 先生はそう言い切って一息ついた。


 


「恭也さんっ」


「わかってる」


 隣の席の真唯が勢い良く迫ってくる。

 俺はそれを押しとどめ、でも、と続ける。


「お互いの戦闘スタイルくらいは知っていたほうがいいだろう?」


「それもそうですね……」


 真唯は納得顔になった。が、言いづらそうに口を開いた。


「言いにくいんですけれど……私は魔法しか出来ません」


「大丈夫だ。このクラスにいる時点で、それは分かっているからな」


 俺は真唯が少しでも話しやすいように、雰囲気を和らげようと努力した。


「そうでした……じゃあはっきり言っちゃいます、私が使えるのは水の、攻撃、防御、強化、治癒系統の魔法で一応、短剣ダガーもまあまあ使える、ってくらいです」


 真唯は開き直ったのか必要な情報を一気に伝えてきた。

 俺は彼女を安心させるように軽く微笑んだ。


「ああ、了解した」


「っ!?/////////」


「「「「キャーーーー!!!!/////////」」」」


 どういう訳か、先ほどから俺たちのほうをチラチラ見ていた女子の集まりの中から黄色い悲鳴が上がり目の前の真唯が頬を染めた。


「どうしたんだ?」


「い、いや何でもないんです!それより恭也さんの方は!?」


 真唯は真っ赤な顔で取り繕うように早口で答えた。


誤魔化された気がしたがそこまで気になることでは無いのでスルーしてやり、質問に答える。


「俺は間に合ったときと一緒だ、まあ近接戦闘技術全般、といったところか」


「あ、やっぱりそうなんですね。……じゃあ前衛と後衛で相性良いですね、私たちっ!!」


 真唯は心底嬉しそうに言ってくる。

 ……俺との相性でそこまで喜んでくれるなんてな。

 しかし、昔と違って今日の真唯はなんかこう、ガンガン来る。楽しそうだから別に良いんだが。


 俺は真唯に残りのメンバーについて尋ねる。


「……ところで、後最低二名はどうするんだ?」


「う~ん、そうですね………… ああ! 私、昨日仲良くなった娘いるんですけど、彼女でいいですか?」


「本人が了承するなら俺は構わない」


「それじゃ、ちょっと行ってきます」


 真唯はさっき叫んでいた女子の集団に混じっていった。


 ってあの中からつれてくるのかよっ。


「なあ君、俺と、組まないか?」


「はあ?」


窓側の壁に寄りかかりながら頬杖をつき、真唯のほうを見ていた俺に突然、声が掛けられた。いや、気配は分かっていたが。


「昨日も言ったけど一応もう一度、俺は正山弘斗。気軽に弘斗って呼んで」


 何故か馴れ馴れしく言ってくる。


 目の前の男は身長は170無いくらい。

雰囲気がどうにも、ふざけているのか、真面目なのかよく分からない。

 顔もまあ普通くらい。

 でも…………なんかこいつ、面白そうだ。


「で、早速だけど兄弟ブラザー


「誰が兄弟だ」


「君だよ、恭也ちゃん」


「その呼び方やめろ」


 弘斗はヘラヘラ笑っている。


「君の得意分野せんとうすたいる、おしえてよ」


「ちょっと待て、俺はまだお前をチームに入れたわけじゃ」


「ふむふむ、近接戦闘技術全般、と」


「聞いていたのかよっ。じゃなんで聞いたんだよっ」


「あ、俺のほうは土属性の魔法と情報戦ね」


「聞いてないし。…………まて、情報戦?」


「お、そっちのほうに興味あり?他の誰かなら貰うもん貰うところだけど……、他でもない親友の恭也ちゃんの頼みだったら、初回ぐらいはタダでもいいよ?」


 コイツ…………情報屋のほうを主にやっているな?


 だが、この学校について知る上では結構使えるかもしれない。


「それじゃあ……」


「気になるあの子の水着写真からスリーサイズまで、幅広く取り揃えてるよ」


 すがすがしい笑顔で親指まで立ててくる。


「……………………」


「おっとちがった?んじゃ真面目な方か…………で、お求めの品は何ですか?親友」


「…………ここの教員の個人データ」


 弘斗はさすがに真面目な顔になった。


「……具体的には?」


 俺は周りに聞こえないようになるべく声を潜めた。


「戦闘力、戦闘スタイル、経歴……そういったものを諸々頼む」


「スリーサイズも?」


「それはいい」


 マジ顔のままで聞いてくる。


「ちぇー」


 弘斗は不満そうに口を尖らせた。


「…………それで、できるのか?」


「タダでそれはちょっとばかしきついが……まあ、サービスするって言っちゃったしね。やってやるよ」


 …………ヘラヘラしてて、馬鹿みたいな奴と思ったが……その言葉だけは真剣に言ってると理解できた。


「……分かっているだろうが」

「守秘義務は守る。これでもお金貰ってやってる事だからね」


 今回は貰ってないけど、と、弘斗。


 …………先を越されてしまった。

 でもまあ、ほとんど難しそうな顔をしないところをみると、可能なんだろう。これが出来るって言うなら認めてもいいかな?


「頼むぞ……親友」


「お?いいの?」


 弘斗が嬉しそうに笑う。


 ――――と、ここで、


「そいつとは関わらないほうがいいと思うよー?」


 元気娘って感じの女子が口を挟んできた。


 



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