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神殺しの転生者  作者: 大入り福袋
第一章 入学 
10/16

9話 問題発生?

 

 教室では生徒たちの自己紹介が行われ、半ばほどまで終わっていた。


そんな中、彼――貫在恭也は依然として机に突っ伏して微かに寝息を立てている。


そしてクラスの注意はほとんどが自己紹介中の生徒へ向いていたが、真唯と担任教師である好音を含む何人かの女子生徒の視線は興味深そうに恭也へと注がれていた。


理由はもちろん、クラスメイトとの初顔合わせの場で眠る者がいるだろうか?というもの。まあ、直ぐ其処にいるが。


自己紹介していた者が席に着き、次の生徒――――不機嫌そうな金髪イケメンの生徒が立ち上がった――――――


 


 SIDE~藤達真唯~


 恭也さんは昔とほとんど変わっていませんでした。


唯一、変わっていたところといえば、前に会ったこの人からは感じなかった、どこか眠そうな雰囲気と薄い存在感ぐらいです。


 先ほどは私のことなど忘れられてしまったかと思って、すごく不安でしたが、覚えていてもらって安心しました。


 その後あんなに顔を近づけられてびっくりして(嬉しくもありました)忘れてしまいましたが、思い返してみればとても悲しかったです。


 彼にとって私は思い出そうとしなくちゃ、思い出せない程度の存在だったなんて……。


 私はあの日から、貴方のことを考えない日は無かったというのに…………。


 まあ良いです。こうしてまた会えたんですから。これから頑張れば、もう少し近い存在にだってなれるかも、ですしね。


 


 でも同じクラスに慣れたのは運命を感じちゃいます…………ぽ///


 


 


 ――――と、次の生徒が立ち上がって自己紹介を始めましたが…………。


「盾元涼二だ。初めに言って置くが僕は君たちと馴れ合うつもりはない。そもそも、僕がこの場にいるのは事故みたいなものだ。試験の日、たまたま父上に同行して軍の演習に付き合っていた、ただそれだけの理由なんだからな」


 その言葉を聞いていた全員が唖然としたのは当然のことだと思います。ですが、恭也さんに注目していた私や赤崎先生を含む数人は特に気にしていませんでした。なぜって……、恭也さんの寝顔が見られるかもしれないんですから。あんな金髪イケメンの貴族なんて(名家に属する者を貴族と呼ぶことがあります)どうでも良いです。先生なんて教卓に両手で頬杖を突きながら、恭也さんのほうを見詰めて悩ましそうに溜息なんてついているんですよ!?絶対一目惚れしちゃってるじゃないですか!激しくライバル出現の予感です!!!


 その様子を見て盾元さんはさらに顔をしかめました。本当なら女子の熱い視線を受けるのはこの僕のはずなのに!とか、思っていたんじゃないんでしょうか。あの、プライド高そうな顔を見ればなんとなく伝わってきます。


 しかも、そんな羨ましい状態にありながら当の恭也さんは寝ているんですから。自己紹介も碌に聞いてなさそうですしね。


 彼が不機嫌になるのも無理はないことだと思います。


 ――――でも、そういったような態度が、容姿が良いのにモテない原因なのでは?と私は思いました。


 


 彼はそのままイライラしながら続けました。


「当然、明日にでもAクラスかBクラスの奴に『下克上』を仕掛けるつもりだ」


 ――――この言葉はさすがに気になりました。


 ――――――――――――――――――――――――


 『下克上』――その言葉の意味から分かる通り、簡単に言うとクラス入れ替え制度のことです。


通常この学校のクラス分け基準は、使える「力」が一種類以下の生徒がE、F、クラス。C、Dクラスが二種類の「力」で、A、Bクラスが三種類(順番が下だからと言ってFクラスがEクラスの下、とかそう言った「力」の差はなく同等です。他のクラスも同様)。そして三種類の「力」が使え、尚且つA、Bクラスとは一線を画している人が集まるのがSクラス――――と、そのように決まっています。


つまり最上位がSクラス、上位がA、Bクラス、中位がC、Dクラス、下位クラスがE、Fクラスということです。


 だがこれでは戦闘技術そのもの――――すなわち実戦での実力――――が分かりません。ですから、そのための『下克上』です。


 『下克上』とは下位クラスの生徒が上位クラスの生徒に模擬戦を申し込み、教師か生徒会が審判として、立ち会いの下模擬戦を行います。ちなみに、このとき拒否することは出来ません。なぜならそんなことは騎士にとって不名誉なことであり、恥だからです。もし意地でも拒否すれば校則によって退学になるそうです。


 そして戦闘の結果、もし下位クラスの勝利なら上位クラスの生徒とそのままそっくり所属クラスを交換する、もし下位クラスの人が負けても罰則などは特にありません。


 これでは下位クラスの生徒に対して相当有利な条件に見えますが案外そうでもないんです。


「力」の差は、少しばかりの戦闘技術では全く埋まる様子がないからです。はっきり言って下位クラスが勝つことなんて滅多に無いと聞いてます。


 しかし、そのような事情も分からない愚かな生徒が、毎年数十人ほど医務室に送られているらしいです。


 ―――――――――――――――――――――――――


 なので入学前にそれを聞いていた私とクラスの何名かは盾元さんの言葉を聞いて息を呑みました。……ですが。


「だからもうエリートの僕がこの教室で君たちと会うことはないと思うよ」


 彼がこう発した後、教室後方の恭也さんのほうを向き、馬鹿にしたような声音で言ったセリフに、赤崎先生を含むクラスの全員が、不快感をあらわにしました。


「おい、聞いているか。黒髪の平民?」(貴族に対して普通の人をこう呼びます)


「すぅー、すぅー。むにゃみゃ、すぅー」


 恭也さんは全く気づかず、意外に可愛い寝息を立てています。


「…………おい!!」


 彼は沸点が低いようで、怒気の籠もった声で再度呼びかけました。


「……恭也さん!呼ばれてますよ……!」


 気持ちよさそうに寝ている恭也さんを起こすのは気が引けましたが、さすがに無視するわけにはいかないので彼の体を揺り起こしました。


「んーー。何だ……、真唯?」


「あれですよ、ア・レ」


「あれ?…………ん?」


 起きたばかりの恭也さんの顔には既にいつもの鋭さが戻っており、「アレ」(もう名前で呼びたくありません)のほうを向きました。…………まだ眠そうでしたが。


「何だ?あんたとは初対面のはずだが俺に何か用か?……偉い不機嫌面だが、そんな顔じゃ女の子に嫌われるぞ」


「「「「「なっ!!??」」」」」


赤崎先生を含むクラス全員が、「アレ」までもが、驚愕に目を丸くしました。もちろん私も。


周りが驚くのも当然です。恭也さんは「アレ」の立場を知らないで言ったのでしょうが、それにしたってまずいと思います。相手は『下克上』を行おうとするような実力者、そして「盾元」の人間なんです。


彼ら名家(貴族)に歯向かえば必ず報復を受けます。そんなことは子供でも知っている常識なんですが……。


「恭也さん!マズイです。「アレ」は貴族「盾元」の人間なんですよ」


 私は彼に周りに聞こえないよう小声で言いましたが……。


「そうなのか……。で、それが?」


「……………………」


 ――――いつもの鋭い表情(カッコいい表情)のまま軽く頷いただけでした。


 そのまま問いかける様にこちらを見てくるものですから何も言えませんでした。


 ていうかそんなに見詰められると……て、照れちゃうんですけど////


「「「むーー!」」」


 顔が真っ赤になっているだろう私に向かって、恭也さんのことが気になっている数人の女子から嫉妬の声が上がりました。


 が、何か反応を返す前に驚きから回帰した「アレ」が顔に怒りをにじませ、ジロリ、と恭也さんを睨んできました。


「……おい、貴様……。今なんと言った?「盾元」の者であるこの僕に向かって「平民」のお前が、なんと言った?よく聞こえなかったんだが……」


 密かに地位の違いと自らの権力の存在を主張した脅しでしたが……。生憎脅しなど、恭也さんには意味を成さなかったようで、


「ん?いや、だから何か用か?って。あと、あんまりそんな面ばかりしてると女の子に嫌われるぞって言ったんだが」


 恭也さんは顔色一つ変えず涼しい声で返しました。……ですが、彼をじぃっと見ていた私には微かに、苛立ちの混じった声に聞こえました。


「アレ」を除くFクラスの皆はほとんどが心配そうに恭也さんを見ています。私も、心配です。


 「アレ」は恭也さんの声を聞いてさらに表情を歪め、怒りに顔を震わせていましたが……。途中、何か思いついたようで、急に勝ち誇ったような顔になりました。


「……ほぅ?貴様はまるで自分の立場が分かっていないと見える。よし、この僕がじきじきに教えて上げようじゃないか」


 見下したような声でそう言うと「アレ」は先生のほうを向き、


「赤崎先生。明日の放課後、彼と『模擬戦』を行いたいんですが、……許可しなかったらどうなるか、分かりますよね?」


「なに……?」


 公衆の前で平然と脅しを行いました。


 


 生徒同士の『模擬戦』は『下克上』と同様に、教師か生徒会が審判を務めることによって認められていますが、生徒同士の私情を含む試合、と判断されれば却下されます。


なのでそれを警戒しての脅しだと思います。


「盾元」の当主は「軍」の大佐の地位にあるらしく『大陸護神騎士団』とのパイプも太いらしいです。一人前の護神騎士とはいえ、「盾元」にかかればどうにでも出来るのでしょう


 先生は脅しに屈するしかありません。


 


「だ、だが…………」


 赤崎先生は恭也さんを見ました。彼のことが心配なんだと思います。


 恭也さんは困ったように笑って言いました。


「俺なら大丈夫ですよ。気は進みませんが、受けて立ちます」


「気は進まないだと?内心、震えているくせによく言う」


「震えている?さっきまで顔を震わせていたのはあんたじゃないか」


「「「……クスクス」」」


「アレ」は恭也さんの言いようをせせら笑いましたが、手痛いしっぺ返しを食らったようです。思わず数人が笑ってしまいました。


「ぐっ、貴様…………!!ふっ、まあ良い。精々恐怖して明日を待つがいいさ……!」


 自己紹介が途中にも拘らず「アレ」は、捨て台詞を吐くと教室を出て行きました。


 


 


 


「ところで…………」


 


 


 


 


 


 


「あいつの名前ってなに?」


 

 時間があれば感想、アドバイスよろしくお願いします!!

 あと誤字脱字報告もできたらお願いします。


 4/30大陸騎士団→大陸護神騎士団

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