ご主人様と相部屋の義妹
隣の部屋の扉を静かに開けたきりかは女の子にしては少し散らかっている部屋を大またで歩くと2段ベッドの上をのぞく。
「ななこ~」
「ん・・・おはよ、きり姉」
きりかが起こすのは実妹のななこだけで、一緒の部屋で寝ているオレのご主人様である義妹の結城は完全に無視する。なぜならご主人様は超がつくほど寝起きが悪く、かなり苦労するからだ。義妹だからという理由はないと断言できる。それだけきりかは普段の行いからの信頼があるってことだ。それにご主人様が良く懐くからだ。
ななこを起こすときりかは一番苦戦するであろう1階に行ったみさきの手伝いに行った。
汐見家五女のななこは弱冠ドジだが周りを考える優しい子だ。
かんなが小さくなったかのようにかんなそっくりのルックスの持ち主である。そのうえかんなと同じような髪型にしているため、かんな度が更に上がっている。ただし、かんなよりは子供っぽい。
今年受験生の15歳。元から学問に優れているためにまだ家事を手伝う余裕があるのだが、かなり大雑把でドジなところもある困ったちゃんでもある。さらにかんなが怒ったときと同じようにに少々きつい性格も見え隠れするが、姉の手伝いや妹限定で勉強を教えたりと根は優しい女の子である。そこが旧ご主人様とは全然違う。旧ご主人様なら全力で全身全霊で酷いことしそう・・・・今の発言はなしだっ!!
ななこはベッドの上で大きく伸びを一つすると下で眠っているご主人様をのぞく。
いつもご主人様は狭くはない布団の端っこに寄って掛け布団に包まって丸くなっている。夏でも必ずタオルケットに包まっているけど・・・暑くないのかと思う。今は結構寒いからちょうどいいんだろうけれど・・・猫みたいだ。
「起きて~」
「・・・ねみぃ」
「遅刻するよ」
「勉強時間削ればいい」
「かんな姉さんに怒られるよ」
「・・・チッ、起きればいいんだろぉ」
ぶつくさ文句言って舌打ちもしていたが、ちゃんと起きるくらいには真面目な人間なのだ。夜型+寝起き最悪というご主人様を苦もなく起こすと、ななこは部屋を出ていった。