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フェイの賑やか家族観察  作者: L☆E
とある一日
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絶対服従の義姉2人と元女番長の実姉


 本日、過ごしやすい秋晴れの日。半袖でも長袖でも大丈夫そうな気温に暖かな日差し。湿気も風邪も丁度よい過ごしやすい天候である。

 まぁ、オレにとっての快適な温度は40度~-20度位だし、その間なら服もいつもと同じ薄手の長袖で充分だから関係ないけれど。人間にとっては一番丁度良さそうな天気である。


 今日をいつかこれを読む物好きな方にこの家の一日の例として教えよう。


『理由?・・・・(旧)ご主人様の実験に手を貸さねばならないという恐ろしい夢を見てしまって怖くて眠れないんだ(泣)』


 誰だって絶対安全言われたって得体の知れない見るからに危なそうな機械の実験動物なんてやりたくないだろう!?恐ろしいほどに黒い笑みを浮かべてたら尚更だ!!

 ・・・・それはさておき、もう怖くて寝れないオレはこの家一番の早起き娘のいる部屋へと向かっていった。

 都合よくドアは開いていたため、何の苦もなく入れた。

 それなりに広い部屋は比例して物がある。部屋ははっきりとした境界線はないが趣味の差で3つに分かれている。どこも多少の差はあるものの必要最低限の整頓はされている。

 明るい色合いながらも落ち着いた雰囲気もあるシンプルな物が置かれた区域には現在なにかの紙の山が積まれている。おそらく数日のうちに完璧に片付けられるのだろうが、地震が来たら速攻で崩れそうな量である。

 その隣の年頃の女の子らしい小物がこまごまと置かれている区域は一番片付いている。小物は薄紫で統一されており、大人らしさも醸し出している。いつも同じところから同じものが取り出されているのは見た目どおり整頓がしっかりされているのだろう。

 普段は一番雑然とした雰囲気なはずの区画は現在、一番普通な感じがしている。使用感のある・ないがはっきりとしている物たちは大体が決まった場所に置かれ、少数があちこちにある。本人はきちんとどこに何があるとしっかり把握しているらしい。

 そんな部屋の中では既に人影が動いていた。


「起きろーーー!!」


 親の代わりを務めている、兄弟の仲でも最年長の汐見家長女のかんなだった。

 はつらつとした笑顔が浮かぶ明るい顔。肩にかからないほどの長さで適度に切りそろえ、小さく二つに結わえた髪と小さなアホ毛がさらに元気らしさと若さを象徴している。

 今年で21となる彼女は兄弟の中でも一番厳しいしつけを受けて真面目な人柄へと育っているようで、いつもこの家の中心にいる。学力にも恵まれており、大学のトップの座に居続けている事も聞いている。家事もこなすために体力もつき、文武両道の天才。普段は優しい人柄だが、本気で怒らせると恐ろしい程にたくさんのお仕置きが待っている為に弟妹たちは絶対服従せざるを得ない。既にその様子を見た他所の何人かはその様子がトラウマになっている様が、なんとなく旧ご主人様を思い出す。

 かんなの最初の仕事は同部屋の2人を起こすことだ。

 ベッドを降りて2人の布団を順番に引き剥がすと、場所がないと幼い頃から使っている少し小さな3段ベッドの中央で寝ているさやかが身体を起こす。

 一番下のベッドで寝ている有紗は布団の上で寝返りを数回しながら目をこする。


「ん~・・・起きる~」

「ダルーイ・・・」

「ダルくても起きる!バイトなんでしょ」


 汐見家次女のさやかは要領良しの裏情報通。

 セミロングの綺麗な黒髪に細渕の黒い眼鏡をかけた美人。真っ白なカチューシャを頭につけ、おとなしげなイメージを放っている。白衣を着れば旧ご主人様が完成しそうだ。

 今年20歳を迎える彼女は姉のかんなが厳しくしつけられる様を見ていたからか要領良しに育っている。でも基本は真面目でちょっとサディストっぽい性格。黒い笑顔まで綺麗な人だ。今は通信制の専門教育を受けながら家の事をかんなと共に担っている。人脈が広く、その外見とは裏腹に危険な情報の数々を手にする為に時に姉のかんな相手に主導権を奪うことも度々目撃した。が、かんなと敵対したところは見たことがない。裏情報の多くは弟妹たちにとって恐ろしい武器になっている。その為、姉同様絶対服従であるようだ。

 奥野家の長女の有紗は元不良。

 必要最低限の手入れをしているだけの茶髪はベリーショートにカットしている彼女には不良の風格が今もなお顕在している。

 番長という肩書きも手に入れていた為に弟妹の同級生からのいじめ(ご主人様には無縁だったとご主人様から聞いた)をその存在で遠ざけていたようだ。学問には難があるが、体力と体術は成人男性以上で、弟たちの殴り合いを止める女性はもっぱらこの人。汐見家の2人に劣等感を抱いて幼少の頃から素行の悪さが目立っていたが19になって改心、アルバイトに没頭した。ただし、改心しても性格が少々酷く、接客業は不向きな為に低賃金な日雇いのもの。重労働が多く、滅多に家事はやらないがアルバイトの収入の大部分を家のために使っているという感心な人だ。

 まだ暗い朝のうちから3人の仕事は始まる。かんなと有紗は朝食作りのために2階の寝室を出て1階へと降りる。さやかは隣の部屋で寝ている妹たちを起こしにいく。


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