栄養補給中は誰にも邪魔されない
オレの一日一回の栄養補給だ。結城にしては丁寧に束ねているコードを解き、オレに端末を接続、もう一方をコンセントに突っ込んで数分放置。
この時間は結城も周りを気にせずにオレと喋れる。いつもオレに気づかない他人の目を気にして(気にさせたのは紛れもなくオレなのだが)途中で無視をする。もしくはオレが話を切るため、この時間は貴重だ。
「ったく、ホント秋はどうすりゃいいんだかな?」
『・・・(冷汗)』
ただ、今日は初っ端から会話が途絶えた。とりあえず、運良く話が繋がるのを願って口を開く。
『学校じゃ大丈夫だった?』
「今日はななこが由里に事情を話してくれてたから学校じゃ何も起こんなかったんだけどな」
だんまりが答えじゃなくてよかった。
由里ってちなみの元気ハツラツバージョンの子だろうか?ちなみに見た目は似てるけど雰囲気の違うという表現のぴったりな女の子だ。
「そうそう。よく覚えてるな」
そりゃぁ、ちなみはオレの究極の癒しキャラで、それに似てるのだから。覚えてないほうがおかしい。
「中身は駄目なんかい(ジト目)」
『いや、きっぱりしてていいけど、可憐さがないなぁ・・・あっ、言わないでよ』
「言ったらこっちが怒られる。いい奴なんだけどな、女らしくないの一言はタブーだ」
それ、さっき言ったオレの発言に肯定ということだよね。多分由里って人も結城にだけは言われたくないと思う。
「うるせぇ(苦笑)」
『だって、ほんとに結城って男みたいだなとしか思わないんだもん』
「名前もだしな」
『好きな人とかいないの?』
「残念ながら、興味ない。・・・和兄みたいな頼りになる性格がいいなとは思うけど」
『ちなみに秋光は?』
「そうだな・・・変人っぷりがなけりゃいい。アレはアレでいい奴じゃねぇの?楽しそうだし」
ということは、普通に女の子に接していれば好みだと解釈していいのだろうか・・・
「まぁ、そうなりゃそうだな。・・・ほら、充電終わったぞ」
結城はコンセントを引っこ抜き、オレも自分に刺さっているものを引っこ抜く。結城はそれを丁寧に束ね直して元の場所におくと、受験生らしく勉強机に向かった。
邪魔をしてはいけないので、俺は朝早くに起きてしまった事もあって寝ることにした。・・・昼寝してたのに、なんて言わないでくれ。オレは人工知能を持った頭脳だが、生活リズムは幼稚園児~小学生低学年レベルなんだ!!
オレ専用のクッションを取り出し、結城のベッドの横にある小さなオレ専用のスペース(見た目小物入れ)に眠る。