元不良の姉に恋人発覚
「姉貴・・・成人と会ってたのか?」
「うん、プチデート♪(幸)」
「成人先輩って・・・えっ(冷汗)」
和茂だった。
オレも成人といえば聞いたことがある。確か和茂の友人で2回ほどこの家に来てたはず。この家はこれ以上人数が増えると大変なので、原則友達は呼んではいけない。それなのにこの家に来た理由・・・その理由は成人の家に他の友達と遊びに行ったら家にいた成人の姉に未成年なのに酒を飲まされて酔い潰れた和茂を送るためだ(ったはず)。かなりのイケメンな上にその後、事情をよく知らなかった姉たちが無言で飲酒にないして恐怖の制裁を下そうとしてたのを顔を真っ青にしながらも必死に止めていたという性格も文句なしの人だった。
だから2回目は特例で招待されて、更に特例、1泊という異例中の異例を汐見家・奥野家共に満場一致で許可された唯一の人物。
ここまでしか聞かなけば翔平が冷や汗を掻く理由はわからないだろう。
だが・・・
「成人って女性嫌いで汐見家外出を余儀なくされた気がするんだけど」
さやかの言うとおり、成人は対女性恐怖症の持ち主だった。汐見家の娘8人は冷や汗の量が尋常ではないのでごゆっくり~といいながら外出。有紗はバイトから5分ぐらいの入れ違いで帰ってきたはずで、出かけなかった。
「確か外出しようとしたのに男の子は大丈夫だからって言われたんだよな、結兄(嘲笑)」
「うるさい。語尾を協調するな、隆」
『ごめん結城、フォローできない』
「(無視)」
失言だった・・・。思わず言ってしまった
でもあの時は翔平と似たような服(和茂のお下がり)を着て、恭助に秋光と隆星と一緒にマジ喧嘩(手を出しているのは結城と隆星と秋光と超一方的)をしていれば女の子だと捉えようがない。
「対女性恐怖症の成人先輩が有紗姉さんと・・・」
「・・・有紗姉も結みたいに男だと思われてんじゃ?っま、結のほうがいいけど」
「朝の制裁を覚えてないのか、秋」
「潰すわよ、骨も残らず」
「マジで死ね、お前の告白はキモイだけだ(怒)」
本当に秋光は末期かもしれない。結城がこれ以上巻き込まれないように願いたい。
「まっ、いいや。風呂わいてるみたいだし行ってくるね。あんず、行くよ」
「・・・(薄笑)」
時間短縮のため風呂は2人もしくは3人がルール。入るペアと順番はほとんど決まっているからいつもと変わらない光景だ。
風呂の言葉に反応した恭助が静かに入ってきた。変態としか取れない薄笑いを浮かべながら音もなく入ってきた恭助に何人かが危険を察知して気付いた。代表者はさやかだった。
「ほんと毎日毎日・・・まだ懲りてないのね、恭。いい加減にしなさい」
眼鏡をはずし、超戦闘モードになった。
にっこりという効果音がつきそうな表情なのに、目がかなり怖い。更に黒いオーラを出している。
この場にいる全員が危険感知した。