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フェイの賑やか家族観察  作者: L☆E
とある一日
24/77

高校3年生3人は皆の安定剤


 和茂の誕生日の少し前、珍しく風邪でかんなとさやか、ちなみとななこがダウンした。おそらく中学でもらった風邪がうつったのだろう。

 受験勉強をがんばっていたななこがへばる直前まで頑張っていたのを止めたかんなとさやかが10年ぶりぐらいに風邪をひいたらしく、皆びっくりしていた。

 休日と放課後は全ての家事と看病をほとんど和茂が一人でやっていた。手伝うと言っていたきりか達受験組には一切手出しさせず。非受験組にも部活を優先させ、何も用がない人に少しずつ頼む程度だった。


「いざというときは友達の親の工場に就職するから大丈夫だ。お前らが失敗するよりはマシなんだから・・・」


 そう言った和茂にきりかとみさきにしては珍しく本気で怒った。


「受験勉強本格化のときに受験組全員で決めた『全員第一志望校合格!』はあんた提案でしょ!」


とみさきが始終大声で怒鳴ったり、こういうときこそ助け合うものだと優しく諭してたきりかでさえも、手伝わせようとしなかった和茂に最後は切れた


「一人で全部抱え込むものじゃないわよ!」


 机をたたくほどの怒りを見せて、初めて怒鳴ったんじゃないかと思うほど皆が驚いた。

 その間ずっと弟妹たちは有紗に誘導されて全員声の届きにくい部屋に行っていた。

 その後はその喧嘩の騒ぎで目を覚ましたかんなとさやかが、本調子ではないもののもう大丈夫だと言ってまたいつもの家事に取り組んだことによって収拾がついた。

 それからはまた3人は普通の状態に戻っていたが、弟妹には不安だったのだろう。

 なんだかんだいって信頼のある長男が優しい2人と兄妹喧嘩するということが。


「フフッ、結構考えてくれるんだね、お兄ちゃんの事」

「お前も後でちなみやるりこに泣かれてただろ、みさきと一緒に焦ってたの知ってんだぞ?」

「いつものことよ、お母さんもお父さんもいなくてかんなたちにも構ってもらえなきゃ、私たちが見るしかなかったんだから。そうじゃなくて、あの3人が・・・って思ったから」

「結は俺等3人の事が信頼できるしいっぱい話聞いてくれるから一番好きだって言うし、秋と隆はきり姉とみさ姉はすごく信頼できるし優しい自慢の義姉ちゃんだって笑うんだぜ?そういうのって意外と喋るからな、皆。それ聞くのが好きなんじゃ俺、翔のシスコン笑えないよな。思いだしては勉強する手が止まるし」


 落ち着く香りのする袋を見ながら和茂はケタケタと笑う。

 弟妹に遊ばれる馬鹿なこの家の長男ではなく、時には長女も頼る優しい長男の顔を見せて笑った。


「うん、ありがとう。でも、やっぱり就職の道があるからって勉強やらないのは駄目だからね?」


 きりかも姉妹の中で一番の可憐な笑顔を見せた。大抵の異性ならイチコロなのだが、和茂は普通に受け止める。和茂にとって血は繋がっていなくとも自分の義妹であるとして区切りをしっかりとつけているから、ときめく事はきっと一生無い。


「あの時は夜更かししてやったんだぜ。今だってちゃんとやってるだろ?今日なんか可愛い(!?)弟たちを無視しながら」

「可愛いって思ってるなら手懐けておいて欲しいんだけどねぇ?(黒笑)」


 突然ドアから聞こえる恐ろしい声・・・・。

 平和な空気がぶち壊しだぁ!!


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