優しい長男は美人双子姉とも仲良し
中の様子を見て溜息をついた2人。
この中の惨状を見れば普通の事だ。みさきは頭痛を感じるのか頭を抱えていた。姉同様義弟に呆れる毎日に少し慣れてしまったことに放って起きすぎたと反省があるのだろう。
反対にきりかはいつまでもうるさいが弟に素で懐かれている和茂に少しの羨ましさも感じているような目で見ていた。まともな愛を受けていたとはいえ、忙しそうな親や姉に甘えることはなかなかできずに弟妹の世話役になったきりか。みさきと一緒に実妹には好かれているだろうが、ここまで一緒に遊んだりする年でもない。ましてや受験前。こんなに気楽に和茂のようにできるほどきりかも楽天家ではない。
そんなきりかに気付いたのは和茂だった。
「隆、秋、ちょっと別の部屋行っててくれ。・・・・きりか、ここ教えて」
和茂は2人が背から降りるのを待って付箋の張ってあるページを開いてきりかを呼んだ。
「きりか、先に部屋戻ってるから」
事情を察したらしいみさきがそういい残して部屋の前から立ち去るのを見届けて和茂は引き出しを開けた。引き出しの中から何かを掴むと、きりかの前に出した。
「和?」
「流石にもうここはわかるって。基礎だからな。・・・ほらよ」
付箋の貼ってあるページは基礎の部分。そこを開いたままひざの上に乗せると和茂はきりかに何かを握らせた。
きりかの手の中に入っていたのは小さな袋。いい香りがする淡い紫の袋はとてもきれいだった。和茂にはお世辞にも似合いそうの無い物。それも2つ。
「・・・・?」
「まだ少し先だし、きりかもみさきも気楽にいった方がいいんじゃね?ぶっ倒れるよ(笑)」
「いや・・・励ましてくれるのは嬉しいけど・・・なんでこんな女の子っぽいのを持ってるの?」
「・・・結と秋と隆が誕生日にくれたんだ、嫌がらせ込みでだと」
「なにそれ(笑)」
「嘘だよ。誕生時プレゼントと一緒にもらったんだよ。本当はあいつらがちょっと前に俺とお前らで喧嘩した後に気使って買ってくれたんだよ。これ渡して仲直りしろって。別に誕生日プレゼントはもらったよ」
それは、オレの記憶にも新しい。
珍しく結城がかなり不安そうな顔をしてたのも鮮烈だったから。