おそらく戦争中が一日で一番真剣
お互いが何気ない話をしながら人の気を引き、他の奴におかずを奪わせ、他の奴のを奪う手伝いをしてもらう。急造の連携や相手の隙を窺う独自の技を皆編み出している。協力したり、裏切ったり、すごいときには目だけで会話してるんじゃないかって言うのもある。
そして今日も・・・・。
「別に息抜き代わりにいくつもりでサボる気はなかったんだぜ(溜息)」
「息抜きなら明日あるよ、和兄」
「兄さんも秋も馬鹿なんだから今日は明日の分まで勉強するべき」
「凡人の翔兄も人の事言えないだろ(黒笑)、成績落ちてるんだって?」
「珍しく翔兄に黒発言しながら俺の茶を飲むなよ。せっかく和兄の奪ったのに」
「あっ、テメッやりやがったな」
『結城、お茶が狙われてる』
「秋、その手をどけろ」
オレが結城のものを見張っておくのがいつもの約束。ご主人様に使えているのだからこのくらい当たり前。ちょっと反則かもしれないが、役に立てるのならばやる。それにこのときの秋光が危険な気がしてならないから。
「いつもよく気付くよね。恭兄のは和兄のも一緒にさっき隆が全部飲んでたのにまだ気付いてないし」
『それはオレが見てるからです』
「ちゃんと(フェイが)見張ってるから」
「お茶ぐらいいいだろ~・・・って俺の魚が小せぇ!」
「ん、恭兄の狙ってたときに翔兄に盗ってもらっといた。その分今度返すよ、翔兄」
和茂の話題に乗った秋光に注意していた和茂は何時の間にか恭助にすり替えられていた。そして一口飲んでさりげなく反対側へ置いたのだが、隆星に飲まれていた。
そのときに隙を作ったために、隆星の切り身は半分ほど左隣に座っていた翔平に盗られて秋光にまわっていたが・・・。
「あっ、俺の味噌汁・・・!」
「それはこっち、翔兄とアイ・コンタクトしてる隙にごちそうさま♪」
「代わりにお前の飯よこせ!さっき茶は奪えなかったし!」
「んじゃ、あげるよ。秋・・・これで隆にアーンしてもらえ(極上の黒笑)」
結城の笑みに皆が気をとられている間に和茂が何かを探っているのが見えた。恭助の茶碗を空になった自分のとすり替えながら片手でカメラを取り出している。
「・・・無理。むこうで和兄がなんでカメラ構えてるし(泣)」
「どっから持ってきたのさ、兄さん」
「母さんに頼まれてた食事風景の撮影のためずっと持ってた」
「えぇ~やってやるのにぃ」
「ふん、じゃあやらねぇ。ごちそうさま」
『結城、もしかして和茂とグル?』
「まぁね。今日もいっぱい食べれたし」
「・・・! 気がついたらご飯盗られてるし!」
「恭から奪った奴?食べといたよ、ごちそうさま」
「翔と結は相変わらずだな」
いつも翔平と結城が大量の収穫を得る。逆に盗られるのは恭助と和茂だ。隆星と秋光は半々と今回もいつも通りの結果だった。
というか、強い結城と組んでるのに被害者になる和茂って・・・どんだけ弱いんだ。