双子の弟は超変人
オレは気づいた。布団の中で怪しい笑みを浮かべてる変態に。
『逃げ・・・』
「兄弟相手に夜這い(嬉々)?」
結論・・・正真正銘こいつは朝から頭のイッちゃった変人だ。関わるのが間違い。
朝から変態思考。それに相手は(悪いけど)お世辞にも(性格は)魅力的とはいえない結城だ。・・・本人には絶対言えないけど。
「(無視)起きてるな、じゃあ兄貴のとこだ」
流石秋光の姉というべきか。それともそういうのに興味がないからか。適切に回避できている。
・・・・そういえば初めて見たときも無視されていたな。毎度無視されているのに懲りないのも見上げた根性だと思う。
変人の秋光は奥野家四男にあたる。正直結城にこんな弟がいるなんて認めたくない。
全体のバランスは結城とそっくりだが髪型は結城と前髪が少し違って長く、髪の色も秋光のほうが茶色っぽい。また、目は結城とは逆にいつも笑みの形に歪められている。それでもパッと見て見分けはつくぐらいには差がある。目つきだけではないはずだけど、あんまよくわからない。感覚?
二卵性双子で結城が姉。協調性はそこそこある自由人だが、同性好き?(基本女の子に興味を欠片も持たない)の変人。隆星も同性好きな為かよく意気投合している。が、実の姉である(結城を男だと信じているからかはわからないが)結城の事は例外に大好きで、毎日いろいろ仕掛けているものの、全て無視されている。それ以外の基本的な常識は必要最低限は持っている。年相応の事をやるが、学力は結城と違ってかなり低い。
その為か、こいつを見てるとほんとにあの馬鹿のことを思い出す。もう3年経つのに鮮明に覚えてるのはきっと秋光のせい。だって、旧ご主人様にいろいろやっても全て無視されるか邪険にされてたから。
秋光を無視して結城は部屋を出る。その後を2人がちゃんとついていくのは朝の楽しみのためだ。もちろん、オレも羽根を懸命に羽ばたかせて廊下を走る3人についていく。
2人の部屋と階段を挟んで隣の部屋。そこには3人の兄が寝ている。
半開きだったドアを隆星が蹴り開け、今朝一番の大声を上げる。
「バカ兄~っ!!朝だぞっ!!!」
「ウザ兄、起きて」
「マゾ兄、3秒以内に起きろ」
布団に入ってしまえば3秒で寝て、朝まで起きないという眠りの深さ+寝起きが悪いという睡眠欲求が高い奥野家の兄がこの程度で起きても布団から出る訳がないということはもちろん知っている。3人は各役割を果たすために動く。
今日はベッドの階段を秋光が上って上、結城がその下、床に直に敷いてある布団を隆星が覗く。
「和兄。お・き・て♪」
「翔兄、本気で殴って起こしていいか?」
「恭兄、俺もやっていい~?」
朝一番に兄3人のテンションが低いのはこのせいだ。気色悪いか、恐ろしいか、気味が悪いかのどれかだ。